座標で図形を証明する - 原点と軸の置き方で式の長さが変わる
長方形の 1 つの頂点を原点に置き、2 辺を座標軸に乗せます。、、、 です。
2 本の対角線を 2 乗で比べる。
等しいので 。長方形の対角線が等しいことを、補助線を 1 本も引かずに示しました。
同じ性質でも、置き方を変えると式は何倍にも長くなる。どこを原点にするかは、証明の一部です。
文字の数が式の長さを決める
原則は 2 つ。1 つの頂点を原点に置くことと、1 本の辺を座標軸に乗せることです。
こうすると座標に が並ぶ。 はかけても足しても消えるため、以降の式が短くなる。

左は 1 頂点を原点に、1 辺を 軸に乗せた置き方です。文字は 、、 の 3 つ。
右は座標軸と関係なく置いた場合で、文字が 6 つになる。距離を 1 つ書くだけで項が倍に増えます。そのあとの展開もすべて長くなる。
好きに置いてよい理由
三角形はどこに描いてあっても同じものです。平行移動して 1 つの頂点を原点へ運び、回転して 1 辺を 軸に重ねる。この 2 つの操作で長さも角も変わりません。
だから「1 頂点を原点に、1 辺を 軸上に」という置き方は、どんな三角形についてもできる。特別な三角形だけを扱っていることにはならない。
答案では「一般性を失わないので、 を原点、辺 を 軸上にとる」と一言書く。この断りがあれば、あとは具体的な座標で進められる。
置いてはいけないのは、条件を勝手に足す置き方です。
のように文字を残す。 はどんな正の数でもよく、すべての三角形を代表します。
のように数を入れる。辺の長さが の場合しか示していないことになります。
長さは 2 乗のまま比べる
冒頭で対角線を 2 乗のまま比べたのには理由がある。長さそのものを比べると根号が残るため。
2 乗の値が等しければ長さも等しいといえるのは、どちらも 以上だからです。負の値をとる量では、この言いかえができません。
面積や座標そのものを比べるときは、符号を先に確かめる。
例:平行四辺形の対角線は互いに他を二等分する
、 とし、 と置く。 を自由に置いてはいけません。
平行四辺形なので、 は から を へ運ぶのと同じだけ動いた点、つまり です。4 点目は条件から決まる。

対角線 の中点を求めます。
対角線 の中点も求めます。
同じ点になりました。2 本の対角線は 1 点で交わり、その点はどちらの中点でもある。これが「互いに他を二等分する」という意味です。
平行四辺形という条件を の座標に押しこんだところが効いている。4 頂点を自由に置いてから条件を式で足すと、手数が増える。
例:ひし形の対角線は直交する
同じ置き方で、条件だけ強くする。前の例の を に替えて 、、、 とし、4 辺が等しいという条件 を加える。
対角線 の傾きは 、対角線 の傾きは です。かけ合わせる。
条件から で、分子は分母の符号を変えたものです。積は になり、2 本の対角線は直交する。
であれば になるため、分母が になる心配もない。
条件を座標に押しこめない場合は、こうして式のほうで使います。
三角形の 1 辺を 軸に乗せて証明するとき、頂点の置き方として正しいものはどれですか。
- 、、
- 、、
- 、、
- 、、
例:直角三角形の斜辺の中点
直角の頂点を原点に置く。ここで辺の長さを ではなく と書くと、中点の座標から分数が消える。
、、 とすると、斜辺 の中点は です。
3 つとも同じ値。 を中心に半径 の円を描けば、3 頂点をすべて通る。
直角三角形の外接円の中心が斜辺の中点にあることを座標で示したことになる。、 と置いても示せる。ただし中点が になり、以降ずっと分数を書き続けることになる。
例:3 つの中線が 1 点で交わる
、、 と置く。辺 の中点は です。
からこの中点へ引いた線分を に内分する点を計算する。 が原点なので、中点の座標を 倍するだけ。
これは 3 頂点の平均です。 が原点だから、 座標は 、 座標は になっている。
から引いた中線でも確かめる。辺 の中点は で、 からそこへ 進んだ点は次のとおり。
同じ点です。3 頂点の平均という形はどの頂点から見ても変わらないため、3 本目についても同じ計算になる。
3 本とも同じ点を通り、その点が各中線を に分ける。これが重心です。原点を頂点に置いたことで、座標が 3 頂点の平均だと目で読めました。
座標で示せることと示せないこと
長さ、傾き、平行、垂直、中点、内分、面積。これらはすべて座標の式に書けるため、証明できる。
角の大きさそのものは、座標だけでは扱いにくい。垂直なら傾きの積が と書けますが、 度といった一般の角には別の道具がいります。
円がからむ性質は、方程式に直せば座標で示せる。3 点が同一円周上にあること、接することは、どれも式になります。
長さの 2 乗を比べる主張なら、たいてい座標が向きます。角の大小や合同がからむ主張なら、補助線のほうが短く済むこともある。
正方形 の 1 頂点を原点、2 辺を座標軸に乗せて 、、、 とします。対角線 と が直交することは、どの計算で示せますか。
- 傾き と をかけて になることを見る
- と の長さが等しいことを見る
- と の中点が同じことを見る
の傾きは 、 の傾きは で、積が です。長さが等しいのは長方形でも成り立つ性質で、直交とは関係ありません。中点が同じことは平行四辺形すべてにあてはまります。
よくある誤り
置き方を決める作業は、図を描いたあとの最初の一手です。どこを原点にすれば が増えるか、どの辺を軸に乗せれば文字が減るか。式を書き始める前に、そこだけ先に考えます。










B(1, 0) では辺の長さが 1 の三角形しか扱えません。C(p, 0) では 3 点が一直線に並び、三角形になりません。いちばん下も正しい置き方です。ただし文字を 6 つ使うぶん、式が長くなります。