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中線定理と中線の長さ:3 辺から求める公式と座標での証明

三角形 の辺 の中点を とします。次の等式を中線定理といいます。

、、 の三角形で使ってみる。 は の半分で です。

左辺は 、右辺は になる。 で、中線の長さは 。角を 1 つも測らずに、3 辺の長さだけで決まりました。

中点を原点に置く

座標で示します。置き方は 1 通りではありませんが、中点 を原点にすると式がいちばん短くなる。

、、 とします。、 です。

左辺の 2 つを座標で書く。

足すと と が打ち消し合う。

右辺も書きます。、 です。

両辺が同じ式になりました。

打ち消しが起きたのは、 と の 座標を に置いたためです。 を原点にして とすると、両辺に が残る。最後には消えますが、それまで長い式を持ち歩くことになる。

余弦定理で示す

角を使う道もあります。 を とすると、 は 。

三角形 と三角形 に余弦定理をあてる。

だから、下の式の最後の項は に変わります。

なので、2 つを足すと の項どうしが消えて が残る。

消えるものが、座標では 1 次の項、余弦定理では の項になっている。中点にとったことが効いているのは、どちらも同じ。

中線の長さを 3 辺から求める

3 辺を 、、 と書く。 を入れて、 について解く。

通分すると次の形。

右辺に角は入っていません。3 辺の長さが決まれば、3 本の中線の長さもそこで決まる。

の位置に入るのは、中点をとった辺の長さです。 と はその両端から伸びる 2 辺で、入れかえても は変わらない。

例:3・4・5 の三角形で 3 本とも求める

、、 の直角三角形で、3 本の中線を計算する。公式の に入れる辺を替えながら 3 回あてる。

の中点への中線
の中点への中線
の中点への中線

長さは 、、 です。

3 つ目が斜辺 のちょうど半分になりました。直角の頂点から斜辺の中点までの距離は、いつでも斜辺の半分です。

3 本の 2 乗を足すと 。もとの 3 辺の 2 乗の和は で、その がこの値です。

公式を 3 つ足すと、分子で 、、 の係数がどれも になる。中線の 2 乗の和が辺の 2 乗の和の になるのは、どんな三角形でも変わりません。

例:2 本の中線が等しい三角形

の中点への中線と、 の中点への中線が等しいとする。2 乗して公式を入れる。

になり、辺の長さは正だから 。2 本の中線が等しい三角形は二等辺三角形です。

公式を左から右へ読むと 3 辺から中線が決まり、右から左へ読むと中線の条件が辺の条件に変わる。

、、 の三角形で、 の中点 までの距離 はどれですか。

__RESULT__

です。 は に の長さを入れた値で、 に入るのは中点をとった辺のほう。 は で割る計算を 2 回してしまった形です。

頂点でなくてもよい

証明を見直すと、 が三角形の頂点であることはどこにも使っていません。 を平面上のどの点に替えても、同じ計算が通る。

その点を とします。、、 は前のまま。

は で、 は です。書き直すと次の形になる。

が直線 の上にあっても、 や と重なっても成り立つ。三角形ができない場合まで 1 つの式に入っている。

例:距離の 2 乗の和が一定になる点

、 とし、 を満たす点 を探します。

で、中点 は原点。さきほどの式に入れる。

から 。逆に から距離 の点はすべて条件を満たすため、求める図形は を中心とする半径 の円です。

右辺の値を に替えても手順は変わらない。 になり、 なら円、 なら点 ただ 1 つ、 なら条件を満たす点はありません。

を一定にすると円が現れるのは、中線定理で書き直すと しか残らないためです。

、 のとき、 を満たす点 の集まりはどれですか。

  • 原点を中心とする半径 の円
  • 原点を中心とする半径 の円
  • 線分 の垂直二等分線
__RESULT__

なので となり、 から です。 は を ととり違えた値。垂直二等分線になるのは という別の条件のときです。

例:平行四辺形の 4 辺と対角線

平行四辺形 の対角線は、交点 で互いに他を二等分する。 は の中点であり、 の中点でもある。

三角形 で見ると、 は辺 の中点へ引いた中線です。中線定理をあてる。

、 を入れると、右辺は になる。

平行四辺形の 4 辺は 2 本ずつ等しいため、右辺は 4 辺の 2 乗の和と同じ値。2 本の対角線の 2 乗の和が、4 辺の 2 乗の和に等しくなる。

長方形なら で、左辺は 。両辺を で割ると になり、三平方の定理の形が現れる。

補足:中点を の点に替える

中点は を に分ける点です。 に内分する点 に替えると、等式は次の形になります[2]。

とすれば で、中線定理に戻る。

示し方も座標のまま。、、 と置き、 を入れて両辺を展開すると、どちらも になる。

この形は 1746 年のスチュワートの定理として知られていて、中線定理はその の場合にあたります[3]。角の二等分線の長さも、同じ式から求められます[4]。

中線定理そのものは、パップスの『数学集成』第 7 巻に命題 122 として載っている。もとはアポロニオスの失われた著作にあったものと見られています。1749 年にシムソンがその著作を復元しました[1]。

3 辺から中線の長さを求めるときも、距離の 2 乗の和が一定な点を探すときも、使っているのは という同じ形です。

参考

Apollonius's theorem. Wikipedia(英語).
Théorème de la médiane. Wikipédia(フランス語).
*Triangles II: Circumradius, Area, Medians, Stewart's Theorem*. MA 341, University of Kentucky.
William H. Richardson. *Selected Topics in College Geometry*. Wichita State University, 2017.
三角形の 2 辺の 2 乗の和は、中線と半辺の 2 乗の和の 2 倍に等しい。中点を原点に置いて $B(-a,\ 0)$、$C(a,\ 0)$ と書くと、足したときに $a$ の 1 次の項が打ち消し合います。余弦定理で示すなら、消えるのは $\cos$ の項のほう。ここから中線の長さが $\dfrac{2b^2+2c^2-a^2}{4}$ と 3 辺だけで決まり、3・4・5 の三角形では $\dfrac{\sqrt{73}}{2}$、$\sqrt{13}$、$\dfrac{5}{2}$ になる。頂点を平面上のどの点 $P$ に替えても式は成り立つため、$PB^2+PC^2$ を一定にすると軌跡が円になります。$m:n$ に分ける点へ広げた形と、パップスまでさかのぼる経緯まで。