日銀短観で大企業製造業の景況感が 2018 年以来の高水準に
2026年10月1日 22:03
日本銀行が 10 月 1 日に発表した 9 月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス 24 となり、6 月の前回調査から 2 ポイント上がった [1]。改善は 6 四半期続き、2018 年 3 月以来の高い水準に達している [2][3]。DI は業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた値で、経営者の実感を映すものとして、日銀が金融政策を決めるときの手がかりにもなる [3]。
押し上げたのは人工知能(AI)と半導体に関わる旺盛な需要で、全 16 業種のうち 9 業種で景況感が改善し、半導体製造用の配線などを扱う非鉄金属と、半導体工場で使う機械をつくる生産用機械はプラス 40 を超えた [3]。Trading Economics の集計では、非鉄金属が 36 から 45、生産用機械が 36 から 43 に上がり、石油・石炭製品も 9 から 36 へ跳ねた一方、自動車は 12 から 11 へ下がっている [5]。大企業製造業全体のプラス 24 は、市場が予想したプラス 25 にわずかに届かなかった [5]。
一方の大企業非製造業は 2 ポイント下がってプラス 35 となり、5 四半期ぶりに悪化した [1][2]。原油高に伴うコストの上昇のほか、熊本地震や長雨といった災害と天候の影響が小売りや宿泊・飲食サービスの景況感を押し下げたとされ [2]、宿泊・飲食サービスは大企業で 8 ポイント、中小企業で 6 ポイント落ち込んだ [3]。企業を相手にする製造業と違い、一般の消費者を客とする業種は上がったコストを価格に上乗せしにくい [3]。
中小企業では製造業が 5 ポイント上がってプラス 14 となり、非製造業は横ばいのプラス 15、全規模全産業ではプラス 21 だった [1]。中小の製造業が 2 四半期続けて改善したのは、AI 需要に加えて、中東情勢の緊迫に伴う原油高による値上がりを販売価格へ円滑に転嫁できたためだと産経新聞は伝えている [4]。
3 か月後の先行きは、大企業製造業が 3 ポイント低いプラス 21、大企業非製造業が 5 ポイント低いプラス 30 と、いずれも悪化を見込む [1]。中東情勢を巡る不透明感と原油高によるコストの増加が意識され [2][3]、中小企業も製造業がプラス 12、非製造業がプラス 10 へ下がる見通しである [1]。
企業は 2026 年度の収益の見込みを引き上げ、大企業製造業の経常利益は前年度比 13.6% の増益と、6 月調査の計画から 21.7% 上方修正された [1]。設備投資計画(土地を含む)は全規模全産業で 7.6% 増と 6 年続けて拡大しており、データセンター向けの電力施設や物流施設への投資意欲が底堅い [1][2]。事業計画の前提となる想定為替レートは 2026 年度で 1 ドル 154.23 円とされ、6 月調査の 152.57 円から円安の方向へ動いた [1]。
人手の不足感も強まり、雇用人員判断 DI は全規模全産業でマイナス 38 と、6 月から 1 ポイント下がった [1]。金利の上昇を感じる企業も増えており、借入金利水準判断 DI は全規模全産業で 61 から 68 に上昇している [1]。企業が見込む物価の上昇率は、全規模全産業の前年比で 1 年後が 2.6%、5 年後が 2.5% となった [1]。
日銀は 9 月 17、18 日の金融政策決定会合で、政策金利を 1.25% 程度へ引き上げた [2]。今回の短観は追加利上げを後押しする結果になったと産経新聞は伝え、中小企業を中心に、金利の上昇が資金繰りや設備投資に及ぼす影響を案じる声も出始めたという [4]。調査は 8 月 26 日から 9 月 30 日まで 9104 社を対象に行われ、回答率は 99.4% だった [1]。回答が集まった時期について、読売新聞は次のように指摘している [2]。
調査対象の約 7 割にあたる約 6000 社が 9 月 9 日までに回答しており、9 月 17、18 日の金融政策決定会合で政策金利を 1.25% 程度まで引き上げた影響は十分に反映されていない可能性が高い。
読売新聞(大企業の景況感、「製造業」はAI・半導体堅調で6期連続改善…「非製造業」は原油高などで5期ぶり悪化)
参考文献
- [1]日本銀行(短観(要旨)(2026年9月))
- [2]読売新聞(大企業の景況感、「製造業」はAI・半導体堅調で6期連続改善…「非製造業」は原油高などで5期ぶり悪化)
- [3]東京新聞(日銀9月短観・製造業は上向きの中、円安と食材高騰に苦しむ飲食業…消費税減税「除外」にも危機感)
- [4]産経新聞(日銀9月短観、景況感改善で利上げ継続後押し 中小企業の資金繰りや設備投資には警戒感も)
- [5]Trading Economics(Japan Business Confidence)