『ケインとアベル』の英作家ジェフリー・アーチャー氏が 86 歳で亡くなる
2026年10月6日 12:08
英国の作家で元保守党下院議員のジェフリー・アーチャー氏が 10 月 5 日、86 歳で亡くなった [1][2]。版元のハーパーコリンズによると、執筆の合間に自宅で突然、安らかに息を引き取ったといい、本人が最後の小説と決めていた新作『Adam and Eve』は 6 日に英国で刊行される [1][2]。
前日の 4 日にはロンドンのレスター・スクエア劇場で放送司会者のジャイルズ・ブランドレス氏との催しに出て、満席の会場で数百人のファンの本にサインしており、10 日にもチェルトナム文学祭で新作について語る予定だった [2]。共演したブランドレス氏は X への投稿で、その日の様子を振り返っている [1][2]。
ちょうど昨日、ジェフリー・アーチャーと新作を祝うショーをしたばかりだった。これが最後の小説になると言っていた。この上なく元気で生き生きとしていて、満員の客席から大きな喝采を受けた。面白く、人を引きつけ、自分のことを笑い飛ばせる、最後まで偉大な語り手だった。
The Independent(Jeffrey Archer, novelist and former Conservative MP, dies aged 86)
担当編集者のケイト・エルトン氏(ハーパーコリンズ UK 最高経営責任者)によると、アーチャー氏はこの新作がうまくいけばこれまでのどの作品にも並ぶと話しており、早い時期に読んだ人たちの反応をとても喜んでいたという [2]。訃報は保守党の党大会のさなかに届き、ケミ・ベイデノック党首は「大きな衝撃」だと述べて、この日の朝にもすてきなメッセージをもらったばかりだったと明かした [1][4]。
アーチャー氏は 1940 年に生まれ、イングランド南西部の海辺の町ウェストン=スーパー=メアで育った [3][5]。オックスフォード大学で学んだあと 1967 年に大ロンドン議会の議員となり、1969 年の補欠選挙で保守党から下院議員に初当選したものの、カナダの会社の破綻に巻き込まれて破産の瀬戸際に立たされ、1974 年に議員を退いている [4][5]。破産を避けるために書いた最初の小説『百万ドルをとり返せ!』(1976 年)がすぐにベストセラーとなり、1979 年の『ケインとアベル』は世界でおよそ 3400 万部が売れて、著作の売り上げは合わせて 3 億部を超える [1][3][5]。
日本では新潮文庫から永井淳さんの訳で多くの作品が出て、『遥かなる未踏峰』からは戸田裕之さんが訳を引き継ぎ、ロンドン警視庁の刑事ウィリアム・ウォーウィックが主人公のシリーズは近年、ハーパーコリンズ・ジャパンから出ている [6][7]。シリーズ第 7 作の『そして因果は巡る』(戸田裕之訳)は 10 月 25 日に発売される予定だ [7]。
政界に戻ったのは 1985 年で、サッチャー首相に保守党の副議長に起用されたものの、売春をしていた女性に仲介者を通じて 2000 ポンドを渡したと報じられ、翌年に辞任した [3][4][5]。本人は記者に追われる女性を国外へ逃がすための金だったと説明し、女性との関係を報じた大衆紙デイリー・スターを名誉毀損で訴えて、1987 年に 50 万ポンドの賠償を勝ち取っている [1][3][5]。1990 年にサッチャー氏が退くと、後継を争うジョン・メージャー氏の推薦の書類を本人の自宅まで届けるなど党内での存在感を保ち、1992 年には一代貴族として貴族院に入った [1][4]。
1999 年には初めてのロンドン市長選で保守党の候補に選ばれたものの、名誉毀損の裁判でうそをついていたことが明るみに出て撤退し、2001 年に偽証と司法妨害の罪で禁錮 4 年の判決を受けて服役することになる [2][3]。獄中での日々は『獄中記』として出版され、2003 年に出所してからは貴族院に戻って 2024 年に引退した [1][6]。妻のメアリーさんとは今年で結婚 60 年を迎え、2 人の息子と 5 人の孫がいる [2]。
参考文献
- [1]Sky News(Lord Jeffrey Archer dies 'suddenly and peacefully' aged 86)
- [2]The Independent(Jeffrey Archer, novelist and former Conservative MP, dies aged 86)
- [3]Wikipedia(Jeffrey Archer)
- [4]Sky News(Lord Archer: The outrageous extrovert who lived a life tainted by scandal)
- [5]The Independent(Jeffrey Archer: Gifted, ambitious but dogged by scandal)
- [6]ウィキペディア(ジェフリー・アーチャー)
- [7]ハーパーコリンズ・ジャパン(そして因果は巡る ロンドン警視庁国家要人警護特別任務)