ブラジル上院が労働時間を週 40 時間に縮める憲法改正を可決
2026年10月16日 06:48
ブラジル上院は 14 日、6 日働いて 1 日休む「6x1」と呼ばれる勤務の形をなくし、週の労働時間の上限を 44 時間から 40 時間に縮める憲法改正案を 75 対 1 の賛成多数で可決した [1][2]。下院はすでに 5 月に可決しており、議会が公布すれば改正が成立する [2][3]。
改正案は賃金を下げずに 1 日の労働時間を 8 時間までとし、週 2 日の休みを保障して、そのうち 1 日はなるべく日曜にあてる内容である [1]。企業は公布から 60 日以内に週 5 日勤務へ移って上限を 42 時間に下げ、その 12 か月後に 40 時間とするため、移行には合わせて 14 か月かかる [3]。公務員は対象外で、大学を卒業して月に 2 万 1188.87 レアル以上を受け取る人には 1 日の労働時間の短縮が当てはまらないものの、週 2 日の休みは保障される [1][3]。労使の協約があれば例外として 6 日続けて働くことも認められるが、その場合は同じ月のうちに休みで埋め合わせなければならない [3]。
労働組合の共同調査機関 DIEESE の試算では、正規雇用の 54% にあたる 2200 万人と、週 40 時間を超えて働く非正規の約 480 万人を合わせ、2680 万人が恩恵を受ける [3]。英紙ガーディアンによれば、6x1 で働く人はおよそ 1600 万人にのぼり、小売りや飲食、ホテルといった賃金の低い職場に多い [4]。
6x1 をなくす動きは、薬局で働く店員が TikTok で始めた運動「仕事の外の人生」から広がり、ルラ大統領が後押しした [4]。民間調査会社ネクサスが 1 月末から 2 月初めに行った全国調査では、賃金が下がらないことを条件に 6x1 の廃止に賛成した人が 73% にのぼり、賃金が下がる場合の賛成は 28% にとどまっている [5]。
採決は 25 日の大統領選の決選投票を 11 日後に控えた時期にあたり、第 1 回投票ではジャイル・ボルソナロ元大統領の息子で上院議員のフラビオ・ボルソナロ氏が 47%、ルラ氏が 45.2% を得ていたことから、ルラ氏の陣営は改正の成立で支持が広がることを期待している [2]。フラビオ氏は 5 月には改正が「大量の失業」を招くと反対していたが、採決前日の 13 日に、ブラジルの労働者の大半が 6x1 の廃止を望んでいるとして賛成に転じ、自らも賛成票を投じた [2][4]。反対したのは、ジャイル氏のもとで副大統領を務めたアミルトン・モウラン上院議員だけである [4]。
ルラ氏はフラビオ氏の転換を「選挙目当ての便乗」と批判し、改正の意義を交流サイトで次のように訴えた [2]。
生きる時間、休む時間、家族と過ごす時間、子どもの成長を見守る時間、自分をいたわる時間、人生を楽しむ時間が増えるということだ。
BBC News(Brazil's Congress approves shorter working week in win for Lula)
経営者の団体は生産のコストが上がって最後は物価に跳ね返ると反対してきたが、支持する側は休みが増えれば働く時間の生産性が上がると主張している [2][4]。新しい規則はどれも決選投票までには始まらず、ブラジルの新聞フォリャは、フラビオ氏が当選すれば改正の一部を見直すと企業の経営者らに伝えたと報じている [4]。1987〜88 年の制憲議会のころから労働時間の短縮を訴えてきた労働者党のパウロ・パイム上院議員は 15 日の本会議で、この成果は一人の人や一つの政党のものではなく、長年あきらめずに声を上げてきた多くの人の力によるものだと述べた [6]。
参考文献
- [1]Senado Notícias(Senado aprova PEC que acaba com a escala 6x1 e reduz jornada para 40 horas)
- [2]BBC News(Brazil's Congress approves shorter working week in win for Lula)
- [3]Agência Brasil(Congress approves changes to Brazil’s working hours)
- [4]The Guardian(Brazil cuts work week to 40 hours in win for Lula ahead of runoff)
- [5]Agência Brasil(Survey shows 73% of Brazilians support reduction in working hours)
- [6]Senado Notícias(Paim celebra aprovação do fim da 6x1 e defende PEC da Segurança Pública)