道路予算をめぐる発言と支持者の無料送迎で批判を浴びた簗農林水産相が辞任
2026年10月14日 20:24
簗和生農林水産相は 14 日夜、首相官邸で高市早苗首相と会って辞表を出し、首相はこれを受け入れた [1][2][3]。第 2 次高市改造内閣が先月 17 日に始動してから 1 か月足らずでの辞任で、昨年 10 月の政権発足以来、不祥事で閣僚が辞めるのは初めてとなる [1][4]。
辞表を出したあと、簗氏は官邸で記者団に「国会審議に迷惑をこれ以上かけるわけにはいかない。農林水産行政にも集中できない状況がこれ以上続くことは避けなければいけない」と話し、辞任は「自ら決断した」とも述べている [2]。地元の関係者には「大変なご迷惑をおかけした。おわびを申し上げる」と謝ったものの、記者団の質問は途中で打ち切って官邸を去った [5]。
首相も同じ夜に官邸で記者団の取材に応じ、「国会審議、農林水産行政に集中できない状況が続くことは看過できない」として辞表を受け入れる考えを示した [3]。消費税減税の関連法案の審議や中東情勢、予算編成を挙げて「重要な課題に一つ一つ答えを出す必要があり、申し出を受け入れることにした」と説明し、閣僚が辞任する事態に至ったことについては「任命責任を重く受け止めている」と語っている [6][7]。
9 月末には、2 月の衆院選で自分を支援しなかった地元の自治体の道路予算を「大幅にカットした」と簗氏が語っていたことが週刊誌の報道で明るみに出て、批判が高まった [1][8]。共同通信によると、発言は 5 月に選挙区の支持者へ向けたもので、対立候補を支えた首長のいる 2 つの自治体を指していたという [4]。10 月上旬には、2024 年と今年 2 月の衆院選で簗氏側が手配したシャトルバスに支持者を無料で乗せていたとして、公職選挙法に違反する疑いも週刊誌で報じられた [1]。
簗氏は報道の中身をおおむね認めながら、国土交通省に予算を削るよう働きかけたことはなく、バスの手配も利益の供与や寄付にはあたらないとして、どちらも違法性を否定してきた [4]。首相は道路予算をめぐる発言が出た当初こそ続投させる考えだったが、違法性が確認されれば更迭もためらわないと述べていた [1][4]。13 日夜に簗氏から電話でバスの問題などの説明を受けた首相は、14 日の衆院予算委員会で「皆さまの納得を頂けない説明しかできていない現状が残念でならない」と答弁しており、委員会での簗氏の答弁もふまえて続投は難しいと判断し、事実上の更迭に踏み切ったとみられる [1]。
辞任が伝わる直前には、野党が参院に簗氏への問責決議案を出す構えを見せていた [4]。来週以降には今国会で最大の焦点となる消費税減税法案の審議が控えており、首相は一連の疑惑が審議に及ぼす影響も重くみた [1]。今月下旬に就任から 1 年を迎える首相にとって、閣僚の辞任は大きな打撃になる [1][4]。
道路予算の発言で対象となった栃木県那須烏山市の川俣純子市長は、辞表の提出を受けてコメントを発表した [9]。
疑念は何一つ払拭されておらず、このまま幕引きされることはあってはならない。
下野新聞(那須烏山市長「疑念は何一つ払拭されていない」 簗農相辞表提出でコメント)
同じく対象となった那珂川町の益子純恵町長も、「町民の皆さまの不安が十分に解消されたとは受け止めていない」とコメントしている [10]。
簗氏は 2012 年の衆院選で初当選した 6 期目の衆院議員で、文部科学副大臣などを経て先月の内閣改造で初めて入閣した [1]。栃木 3 区を地盤とするが、いまの議席は衆院比例北関東ブロックにある [1][9]。
参考文献
- [1]産経ニュース(簗和生農水相が辞表 内閣改造後わずか 1 カ月 高市政権発足後、不祥事での閣僚辞任は初)
- [2]読売新聞(簗農相、高市首相に辞表提出「迷惑をこれ以上かけるわけにはいかない」…予算カット発言で与野党から批判)
- [3]読売新聞(高市首相「国会審議、農林水産行政に集中できない状況続くこと看過できない」…簗農相が辞表提出・受け入れ)
- [4]Japan Wire by Kyodo News(Embattled Japan farm minister Yana resigns over controversies)
- [5]産経ニュース(簗農水相「これ以上迷惑かけられず」 地元関係者に「おわび申し上げる」)
- [6]熊本日日新聞(重要課題に答え出すため辞表受理と首相)
- [7]熊本日日新聞(任命責任を重く受け止めていると首相)
- [8]北海道新聞(簗農相が首相に辞意伝達 道路予算発言、無料送迎で混乱)
- [9]下野新聞(那須烏山市長「疑念は何一つ払拭されていない」 簗農相辞表提出でコメント)
- [10]下野新聞(那珂川町長「発言は遺憾で憤りすら感じた」 簗農相辞表提出でコメント)