ドイツのバース労働・社会相が辞任を表明、連立相手からの攻撃も理由に
2026年10月12日 18:20
ドイツのベアベル・バース労働・社会相(58)が 10 月 12 日、中道左派の社会民主党(SPD)の共同党首とメルツ政権の閣僚をどちらも即日で辞めると表明した [1][2][3]。義理の娘を亡くして悲しみと向き合う時間が要るとしたうえで、この時期にも連立相手の側から攻撃が強まったと書き、メルツ首相が率いる保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を批判している [1][2]。声明はインスタグラムで公表され、SPD の幹部を通じても配られた [2][5]。
義理の娘が亡くなってから、悲しみを受け止めるには時間が必要だと気づきました。加えて、私にとって個人的につらいこの時期に、残念ながら連立相手の側からも、私への公然とした攻撃がいっそう強められたと言わざるをえません。
いまは、政府と党の仕事を当面十分に果たす力を出せないため、二つの職をどちらも退くことにしました。
tagesschau.de(Bärbel Bas tritt als Arbeitsministerin und SPD-Vorsitzende zurück)
後任の労働・社会相には、ラインラント・プファルツ州の首相を務めたアレクサンダー・シュワイツァー氏(53)が就く見通しである [1][4][5]。シュワイツァー氏は 3 月の州議会選挙で SPD を率いて敗れ、いまは党の副党首と同州議会の SPD 会派代表を兼ねており、年内に道筋をつけるとされる年金改革や、1 日 8 時間を上限とする労働時間の規制を緩める改革を引き継ぐ [4]。労働時間の規制緩和は連立協定に盛り込まれたものの、SPD の内部でも異論が強く、労働組合も反対している [4]。SPD の共同党首を誰が継ぐかはまだ決まっていない [4]。
CDU・CSU の側では、7 月 1 日の連立委員会で合意した労働時間の柔軟化と年金の案を労働省がまだ出していないとの不満が出ていた [2][3]。CDU のゴルドン・シュニーダー州首相は独紙ヴェルトに、合意を守らず法案も閣議に出さないのなら、いずれ理由を問われて当然だと語り、バース氏の批判を退けている [5]。一方、SPD のラース・クリングバイル共同党首は、役職の裏では誰もが一人の人間だとして決断に理解を示し、悲しみのさなかの攻撃は品位を欠いていたと述べて、この日予定していたインド訪問を取りやめた [2][5]。
メルツ首相は X で、バース氏とは政府の中で信頼し合って働いてきたと感謝し、「その決断は尊重に値する」と書いた [2][3]。CDU のワーデフール外相は「連立にとってはもちろん何の意味もない」と語って政権への影響を打ち消したが、SPD のマヌエラ・シュベージッヒ州首相は CDU の攻撃を「非人間的で配慮を欠く」と非難した [2]。
2009 年から連邦議会の議員を務めるバース氏は、2021 年から 2025 年まで連邦議会議長を、2025 年 5 月から労働・社会相を、6 月からはクリングバイル氏とともに SPD の共同党首を務めてきたが、議員の職は続ける [2][5]。SPD と CDU はこの数か月で支持を大きく減らし、東部の州議会選挙では大敗しており、共同通信は今回の辞任で連立政権の亀裂が浮き彫りになったと伝えている [1][2]。
参考文献
- [1]NEWSjp(共同通信、ドイツ連立与党トップが辞意、労働相も、メルツ政権に亀裂)
- [2]tagesschau.de(Bärbel Bas tritt als Arbeitsministerin und SPD-Vorsitzende zurück)
- [3]DW(Germany: Bas quits as SPD co-chair amid coalition friction)
- [4]tagesschau.de(Nach Rücktritt von Bas: Schweitzer soll neuer Arbeitsminister werden)
- [5]DER SPIEGEL(Bärbel Bas kündigt Rücktritt von ihren Ämtern an, Schweitzer übernimmt Ministerium)