かけ子にするため女性を空港へ連れて行った疑いで山口組系組員ら 5 人を逮捕
2026年10月12日 18:20
海外で特殊詐欺の電話をかける「かけ子」をさせる目的で知人の女性を空港まで連れて行ったなどとして、福岡県警は 10 月 12 日までに、特定抗争指定暴力団山口組系の組員、中原竜二容疑者(54)=熊本市北区=ら男女 5 人を、国外移送目的略取と監禁の疑いで逮捕した [1][2]。県警は、中原容疑者が海外へ実行役を送り出すリクルーターだったとみて調べている [1][2]。
5 人は 6 月 17 日、東南アジアでかけ子をさせるため、福岡市博多区の飲食店に 30 代の女性を閉じ込めて脅し、福岡空港まで連れて行った疑いがある [1][2]。女性は中原容疑者と 10 年ほど前から顔見知りで借金をしていたといい、空港で県警の機動隊員に保護されて被害が明らかになった [1][2]。県警によると、店で女性に向けられたのは次のような言葉だった [1]。
金を返すつもりがあるんやったら、海外に行くしかない。
産経ニュース(「金返すなら海外行くしかない」、かけ子目的で女性を連行、容疑で山口組系組員ら 5 人逮捕)
国外移送目的略取は、人をいまいる国の外へ移す目的で連れ去ることを罰する刑法 226 条の罪で、法定刑は 2 年以上の有期拘禁刑と定められている [3]。国外で日本人が犯した場合のほか、国外で日本人を被害者にした外国人にも適用される [3]。
警察庁のまとめでは、特殊詐欺の被害は 2026 年 7 月末までに 2 万 6051 件、約 2108 億円にのぼり、件数は前の年の同じ時期より 16.6%、被害額は 42.9% 増えている [4]。手口別では、SNS 型の投資詐欺が約 881 億円と最も多く、警察官を名乗る「ニセ警察詐欺」が約 617 億円、SNS 型のロマンス詐欺が約 293 億円で続く [4]。
海外にかけ子を置く手口は以前からあり、2019 年 3 月にはタイ中部のパタヤを拠点にしていた日本人グループが摘発された [6]。ミャンマーのタイとの国境に近い町ミャワディでは、アフリカや中国などから集められた約 7000 人がオンライン詐欺などに従事し、2025 年にタイ当局が摘発に乗り出した際には高校生 2 人を含む日本人 7 人が拘束された [6]。カンボジア政府も 2025 年 5 月までの 3 年間に詐欺などにかかわった約 2 万 4000 人を摘発しており、報じられた事件だけで日本人 29 人が当局に拘束されている [6]。タイ軍が 2026 年 4 月に公開したカンボジアとの国境地帯の拠点には、大量のパソコンが並ぶ部屋に日本人向けの会話の手引きが残され、病院やレストラン、娯楽施設まで備わっていた [5]。
警察庁は、特殊詐欺の闇バイトに誘われて相手と連絡先を交換した、知り合いが特殊詐欺にかかわっているといった情報を、匿名通報ダイヤルに寄せるよう呼びかけている [4]。
参考文献
- [1]産経ニュース(「金返すなら海外行くしかない」、かけ子目的で女性を連行、容疑で山口組系組員ら 5 人逮捕)
- [2]東京新聞(共同通信、「かけ子」目的で女性連行の疑い、特殊詐欺、山口組系組員ら逮捕)
- [3]Wikipedia(略取・誘拐罪)
- [4]警察庁(令和 8 年 7 月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について、暫定値)
- [5]東京新聞(まるで一つの街、タイ・カンボジア国境、大規模詐欺拠点ルポ)
- [6]Wikipedia(特殊詐欺)