EU が送還の拠点「帰還ハブ」を域外に置く規則を最終承認
2026年10月5日 00:29
欧州連合(EU)の加盟国は 10 月 1 日にルクセンブルクで開いた内相理事会で、出国を命じられても出身国に送り返せない人を、EU の外に設ける「帰還ハブ」に移せるようにする規則を最終承認した [1][2]。欧州議会はすでに賛成しており、規則は数週間のうちに施行される [1]。
送還に協力しない人には手当の削減や打ち切り、渡航文書の押収を EU 全体で科せるようになり、逃亡のおそれや国の安全への危険があると当局が判断すれば身柄を拘束できるうえ、その期間も最長 24 か月、特別な場合はさらに 6 か月まで延ばせる [1]。6 月に施行された庇護制度の改革に続く引き締めで、出身国が引き取りを拒んでいる人などを、第三国との取り決めのもとで移す道が開かれた [1][3]。
ドイツ、オーストリア、デンマーク、ギリシャ、オランダの 5 か国は帰還ハブの設置を以前から進めており、ギリシャのプレブリス移民相は地元テレビのインタビューで、最初の拠点が 2027 年後半にも動き出すと語った [1][3]。相手国はアフリカの国に決めたとしながら名前は明かしておらず、これまでにルワンダやウガンダ、リビア、カザフスタンの名前が取り沙汰されている [1][3]。プレブリス氏によると、施設は閉じ込める場所ではなく出入りできる「開かれた施設」とし、移した人への責任は 5 か国が負って費用も自ら賄い、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などに運営を見届けてもらう計画もあるという [3]。
ドブリント独内相は、第三国との最初の合意を年内に結びたいとしつつ、交渉相手の国は明かさず、訴訟に耐えられる長続きする取り決めにしなければならないと述べた [1][2]。デンマークのボズコフ内相は「帰還ハブについては非常にうまく進んでいる」と話し、オランダのファンデンブリンク移民相は、9 月初めに専門家の調査団が受け入れ候補の国を訪れたと明かしている [2]。
スペイン政府の推計では、7 月下旬にモロッコから 7 万 2000 人を超える人が北アフリカにあるスペインの飛び地セウタに入り、多くは戻ったものの約 1 万人がとどまっている [2]。会合ではギリシャが緊急時に庇護の申請を一時止める案を出し、ファンデンブリンク氏も「セウタのような状況は、庇護ではなく国境管理の問題として扱うべきだ」と主張した [2]。EU はこうした大量の越境に備え、通常の庇護手続きを止められる危機対応の仕組みを設けて、国境警備機関フロンテックスも強める考えだ [1]。スペインのグランデマルラスカ内相は会合で、セウタに入った人のうち他の加盟国へ移った人はいないと説明したうえで、作戦や財政の面でのより大きな連帯を各国に求めた [4]。
アムネスティ・インターナショナルは、5 か国の協議を前に出した 9 月 2 日の声明で、帰還ハブは人権を守るかたちでは運用できないと訴えている [5]。
「帰還ハブ」は、その設計からして、どこに置かれようとも、恣意的な拘束や拷問、虐待、出身国への強制的な送還といった重大な人権侵害の危険をはらむ。こうした場所が実際には、拘束と送還を国外へ移すための、人権にとっての残酷なブラックホールになるおそれが現にある。
アムネスティ・インターナショナル EU 事務所(EU: ‘Return hub’ plans in Rwanda and Uganda risk becoming ‘cruel black holes’ for human rights)
英国は保守党政権の時代にルワンダへの移送を進め、関連の費用に 7 億 1500 万ポンドを投じたが、最高裁が違法と判断し、ルワンダへ移ったのは自らの意思で渡った 4 人だけだった [3]。イタリアがアルバニアに設けた施設も裁判所に移送を止められ、2025 年 3 月に送還の拠点へ切り替えてから送られたのは約 500 人にとどまり、2028 年までの費用は 6 億 7000 万ユーロを超える見込みだ [3]。EU への非正規の入国と庇護の申請は、ここ数年で大きく減っている [1]。
参考文献
- [1]tagesschau.de(EU schafft rechtliche Basis für Abschiebezentren in Drittstaaten)
- [2]InfoMigrants(EU ministers mull new ways to curb irregular migration)
- [3]InfoMigrants(EU states plan first deportation center in Africa for 2027)
- [4]El Faro de Ceuta(Marlaska exige a la UE "solidaridad operativa" tras la crisis de Ceuta)
- [5]アムネスティ・インターナショナル EU 事務所(EU: ‘Return hub’ plans in Rwanda and Uganda risk becoming ‘cruel black holes’ for human rights)