テルアビブ行きのフライドバイ機で副操縦士が機長を刺し、機体はサウジアラビアに緊急着陸
2026年10月1日 22:07
9 月 30 日、ドバイ発テルアビブ行きのフライドバイ 1073 便(ボーイング 737 MAX 8)の操縦室で副操縦士が機長を刃物で刺し、機体が急降下した [2][4]。乗客と乗員が副操縦士を取り押さえ、移動のために客室に乗っていた同社の操縦士 2 人が操縦を引き継いで、サウジアラビア北西部のタブーク空港に着陸させている [2][3]。
機体は乗客 174 人と乗員 6 人を乗せて現地時間の午前 7 時 5 分にドバイを発ち、タブークの北東約 130 海里を高度 3 万 4000 フィートで飛んでいたところで、約 90 秒のうちに 1 万 9000 フィートほどまで高度を下げた [2][4][6]。トランスポンダーの符号は一般の緊急事態を示す 7700 から不法な干渉を示す 7500 に切り替わり、イスラエル軍が戦闘機を緊急発進させている [1][2][6]。1 万 5000 フィートほどで水平飛行に戻った機体はヨルダンの空域に一度入ってからサウジアラビアへ引き返し、高度を下げ始めてから約 85 分後にタブークへ降りた [1][2]。
刺された機長はインド国籍のスミット・マッチャール(Smit Machchhar)氏で、重い傷を負いながらも操縦室の扉を開け、乗客と乗員が中へ入って副操縦士を押さえ込んだ [4][5]。配管工の乗客ヤニブ・ハユン氏は、機体の操作を妨げようとしていた副操縦士の首に腕を回して押さえ、ほかの乗客の手を借りて組み伏せたうえで、テレビで見たとおりに操縦かんを引いたと話しており、機体が水平に戻ったところで別の操縦士が操縦を代わっている [4][5][8]。別の乗客ツビカ・メネス氏はイスラエルの公共放送カンに、副操縦士自身の結束バンドと機内のヘッドホンで縛ったと語った [4]。
フライドバイは当初、運航中に「事案」が起きたとだけ発表し、続く声明で、操縦室で争いが起き、便に乗っていた勤務中の同社乗員が機体を確保して行き先を変え、タブークに無事着陸させたと説明した [3]。同社は代わりの機体 2 機をタブークへ送り、乗客はその日のうちにテルアビブへ着いている [2][3][5]。動機について、同社は声明で次のように述べた [3]。
At this early stage, the underlying reasons and motives behind this event are unknown and remain subject to a formal investigation. We urge all parties to refrain from premature speculation while authorities gather the facts.
flydubai(Updates on FZ 1073 DXB-TLV on 30 September 2026)
イスラエル側によると、副操縦士はオマーン国籍で、着陸後にサウジアラビア当局に拘束されている [5][6][8]。ネタニヤフ首相は CNN の取材に、副操縦士はアラブ首長国連邦(UAE)へ移される見通しだと述べ、UAE のムハンマド大統領から、イスラエルが取り調べに加わることへの同意を得たと明かしたうえで、イランが関わっていたかどうかは取り調べが終わるまで言えないと話した [8]。UAE の検事総長も 10 月 1 日にテロとの関わりを含めて捜査を始めたと明らかにし、サウジアラビアの運輸安全当局も調査に入っている [2][4]。イスラエルの情報機関モサドが主導する調べは、副操縦士が機体を墜落させるつもりだったとの見方を示していると、イスラエルの治安筋が BBC アラビア語放送に語った [4]。
イスラエルのカッツ国防相は今回の件を「ジハード主義者によるテロの未遂」と呼んだ [4]。イスラエル政府はフライドバイのベングリオン空港への乗り入れを 6 日間止め、調べの結果によっては延ばすとしている [6]。フライドバイは 1 日に最大 10 便をイスラエルへ飛ばしてきたが、調べが続くあいだはイスラエルとの間の便を止めると発表した [3][6]。レゲブ運輸相は、両国の航空協定ではイスラエルと国交のある国の操縦士しか着陸できないのにフライドバイがこれに反したと主張し、イスラエル当局者は、このオマーン人の操縦士がこれまでイスラエルに着陸したことはなかったと説明している [6]。首相府の報道担当者も、イスラエルに乗り入れるすべての操縦士の身元を確かめる考えを示した [5]。
ネタニヤフ首相は X で機長を「真の英雄」とたたえ [5]、インドのモディ首相も 10 月 1 日、ネタニヤフ首相の言葉を引いて、インド人が「9.11 のような悲劇」を防いだと述べた [7]。在リヤドのインド大使館によると、機長はタブークの病院で手当てを受けており、容体は安定しているという [5]。ヒンドゥスタン・タイムズが伝えた本人の経歴では、機長はインドの航空会社スパイスジェットで 11 年働いたあと、2022 年 6 月にフライドバイへ移っている [7]。
イスラエルでは 10 月 27 日に総選挙があり、ネタニヤフ首相は事件の前日の 9 月 29 日、敵対する勢力が選挙の前に攻撃を試みるおそれがあると警告していた [1]。首相は CNN に、今回の件について具体的な警告があったわけではないと述べている [8]。野党を率いるラピド氏は 29 日の夜に首相から安全保障の説明を受けており、事件を政治に使おうとする政府寄りの動きを批判して、X にこう書いた [1]。
Let me make this clear. Nothing even resembling this morning’s plane incident appeared in the security briefing with the prime minister last night. Nothing similar, nothing reminiscent of it, not even a hint.
Al Jazeera(Flydubai FZ1073 timeline: How the Israel-bound flight emergency unfolded)
一方で UAE はイスラエルが求めてきた保安上の条件を受け入れ、エルアル航空、アルキア、イスラエアーの 3 社がテルアビブとドバイを結ぶ便を再開する見通しだ [9]。イスラエルの航空会社は今年初めのイランとの戦いから湾岸への運航を止めており、その間この路線を飛んだのはフライドバイとエティハド航空だけで、2 社は年初からベングリオン空港の航空交通の 7% を占めてきた [9]。エルアル航空は、必要な承認が得られれば 11 月に 1 日 2 便以上で再開する構えを見せている [9]。
参考文献
- [1]Al Jazeera(Flydubai FZ1073 timeline: How the Israel-bound flight emergency unfolded)
- [2]The Aviation Herald(Accident: Flydubai B38M near Tabuk on Sep 30th 2026, fight in the cockpit, first officer under investigation for suspected suicide attempt)
- [3]flydubai(Updates on FZ 1073 DXB-TLV on 30 September 2026)
- [4]BBC(Too early to say if Iran involved in Dubai-Tel Aviv flight attack, Israeli PM says)
- [5]Al Jazeera(Netanyahu calls stabbed Indian pilot a hero; Flydubai halts Israel flights)
- [6]Ynetnews(Israel suspends Flydubai flights for 6 days after suspected terror attack)
- [7]Hindustan Times(‘Prevented 9/11-type tragedy’: PM Modi praises flydubai Indian pilot Smit Machchhar’s courage, quotes Netanyahu)
- [8]The Jerusalem Post(Netanyahu: Israel to join flydubai probe, ‘we’ll find out’ whether Iran was involved)
- [9]Globes(Israeli airlines to resume Dubai flights after six month hiatus)