ホルムズ海峡でシンガポール船籍のコンテナ船が被弾して沈む
2026年10月15日 19:47
シンガポール海事港湾庁(MPA)は 14 日、シンガポール船籍のコンテナ船 2 隻がホルムズ海峡を航行中に正体の分からない飛翔体を受け、そのうち「GFS Pride」が沈んだと発表した [1][2]。GFS Pride は 13 日に攻撃を受けて損傷し、船上で火災が起きたあとに沈没したが、乗組員 21 人は全員が船を離れ、けが人は出ていない [1][2]。
もう 1 隻の「GFS Giselle」は 14 日に被弾して船体を損傷しながらも、自力で航行して安全な錨地までたどり着き、乗組員 22 人も無事だった [1]。2 隻の乗組員にシンガポール人は含まれておらず、MPA は船の管理会社と連絡を取りながら状況を見守っている [1]。声明で MPA は、自国の船を含む商船への攻撃が続いていることに深い懸念を示し、国連海洋法条約をはじめとする国際法に従うよう求めた [1]。
こうした攻撃はいわれのないもので、正当化できず、国際法に反する。
CNA(Two Singapore-registered vessels struck in Strait of Hormuz, one sinks)
イランの革命防衛隊は、海峡の「無許可の」航路を通った船が機雷に触れて沈んだと主張し、船尾から沈みかけて黒煙を上げるコンテナ船や、海面に散らばる多数のコンテナを写した写真を公開した [2]。パキスタンの水路当局が船舶に出した警報によると、GFS Pride が沈んだのはオマーンのムサンダム半島にあるラス・アル・シェイク・マスードの北西約 7.4 キロの海域である [2]。
9 月初めにサウジアラビアの国営海運会社バハリの超大型タンカー「Sidr」が被弾し、フィリピン人の船員 2 人が亡くなったときも、革命防衛隊は機雷に触れて火災が起きたと説明し、サウジアラビアはイランによる攻撃だと非難した [3][4]。同じ月にパナマ船籍のタンカー「El Gaia」が火災を起こした際も機雷が原因だと主張したが、米軍はイランのミサイルと無人機による攻撃だとしている [3]。10 月 10 日に超大型タンカーが機雷で大きな火災を起こしたとした主張についても、海運の専門家が、出回った映像には機雷の爆発らしい様子が見えないと疑問を投げかけた [5]。
2 月末に米国とイスラエルがイランとの戦争を始めてから、商船への攻撃は中東の広い範囲で続き、国際海事機関(IMO)によれば確認された 106 件の事案で少なくとも 24 人の船員が亡くなった [2]。攻撃を受けて沈んだ船は、3 月 4 日にオマーンの近くで攻撃されたマルタ船籍のコンテナ船「Safeen Prestige」に続いて GFS Pride が 2 隻目となる [1][2]。ただ、海上リスク管理会社のヴァンガードは、9 月 23 日に被弾して船員 1 人が死亡したアンティグア・バーブーダ船籍のばら積み船「Cape Dao」も、救助がうまくいかずに沈みつつあると伝えている [2]。
とくにこの 2 週間あまりは海峡での攻撃が急に増えており、海運データ会社ケプラーの集計では 9 月 28 日から 10 月 4 日までにタンカー 10 隻が攻撃され、英国海運貿易オペレーション(UKMTO)は 10 月 6 日から 14 日までにさらに 15 件を記録し、そのうち 11 件が直近の 4 日間に集まっている [6]。イラン海軍は海峡の東側からオマーン湾、アラビア海にかけて新たな部隊を展開し、船の動きを常に見張ると発表したうえで、船の位置を知らせる装置を切らないよう警告した [6]。
ホルムズ海峡は世界の石油とガスの輸送のおよそ 5 分の 1 が通る要所で、戦争が始まってからは、イランによる船への攻撃と米国によるイランの港の封鎖で事実上閉ざされてきた [2]。6 月には米国とイランが戦争を終わらせて海峡を開く暫定的な合意に達したものの、イランが船への攻撃を再開し、米国も封鎖を戻したことで数週間で崩れた [2]。その後は、イランの水域を避けてオマーン側を通る南の航路を使う船がイランの標的になっている [2]。
ケプラーによると、9 月には米海軍に守られたタンカーの通航が増え、イランを除く湾岸からの原油の流れは戦争前の 81% を超える水準まで戻っていたが、10 月 11 日に海峡を通った原油は 290 万バレルにとどまり、8 日の約 2080 万バレルから急減した [6]。革命防衛隊の司令官の顧問を務めるモハンマドレザ・ナグディ氏は「ホルムズ海峡は閉ざされており、イラン・イスラム共和国の軍が完全に支配している」と述べ、オマーンの沿岸を通る航路も閉じる考えを示している [5]。米中央軍は、米軍と地域の協力国が海峡をはっきりと押さえていると反論した [6]。
参考文献
- [1]CNA(Two Singapore-registered vessels struck in Strait of Hormuz, one sinks)
- [2]BBC News(Container ship sinks in Strait of Hormuz after being hit by projectile, Singapore says)
- [3]BBC News(Two sailors missing after tanker attacked in Strait of Hormuz, Oman says)
- [4]BBC News(Iranian attack on Saudi tanker killed two sailors, Saudi Arabia says)
- [5]The National(Strait of Hormuz attacks surge as Iran steps up campaign against US-backed oil shipping)
- [6]Al Jazeera(Iran steps up Hormuz surveillance: Attacks soar, oil flows crash again)