区間の中だけで成り立てばよい、判別式が使えない二次不等式
次の問題を解きます。
を満たすすべての について が成り立つような、実数 の範囲を求めよ。
「すべての で成り立つ」と書いてあるので判別式に手が伸びます。ところが の範囲が から に限られているため、判別式では決まりません。
範囲が限られていると、 軸を割る場所が区間の外にあってもよいからです。交点があること自体は、この不等式を壊しません。
判別式が効かない理由を図で見る
とすると です。判別式は正で、 軸と 点で交わります。
交点は と 。このうち は区間 の中にあるので、そこで となり不等式が崩れます。
では ならどうか。 で、判別式は で正。交点は 、およそ と です。
が区間の中に入っているので、これも崩れます。ただし交点が区間の外へ出ていれば、判別式が正でも不等式は成り立つ。判別式は交点の有無しか見ておらず、位置を見ていません。

左は交点が区間の中にある場合、右は外にある場合です。どちらも判別式は正ですが、右は区間の中でずっと正のままです。
薄く塗った縦帯が 。この帯の中だけを見ればよい。それがこの問題の読み方です。
見るべきは区間の中の最小値
区間の中で がいつも正であることと、区間の中の最小値が正であることは同じです。いちばん低い場所が 軸より上なら、他は自動的に上にある。
だから手順は 段になります。区間の中で最小値をとる場所を突き止め、その値が正になる条件を書く。
平方完成します。
頂点の 座標は です。この が区間 のどこにあるかで、最小値をとる場所が変わります。
を動かすと放物線が左右に動き、同時に上下にも動きます。丸が区間の中の最小値をとる点。
緑のあいだは条件を満たし、橙になると帯の中で 軸を割っています。丸が帯の左端に張りついたり、帯の中を移動したり、右端に移ったりする様子が つの場合に当たります。
頂点の位置で 3 つに分かれる

頂点が帯の左にあれば、帯の中では右上がりなので最小は左端 。帯の中にあれば頂点そのもの 。右にあれば帯の中は右下がりで、最小は右端 です。
下に書いた式が、それぞれの場合に調べる値になります。
場合 1:頂点が区間の左()
区間の中で は増加しているので、最小値は です。
この場合の前提が なので、両方を満たすのは です。
前提と結果を重ねるところを飛ばすと、 をそのまま答えに混ぜてしまいます。各場合の答えは、その場合の中だけで有効です。
場合 2:頂点が区間の中()
最小値は頂点の高さ です。
因数分解すると で、。
前提 と重ねると です。 が落ちるところが要点で、そこでは頂点が右端に乗って値が になります。
場合 3:頂点が区間の右()
区間の中で は減少しているので、最小値は です。
前提は でした。 と同時には成り立ちません。この場合に当てはまる はありません。
番目が空になるのは珍しいことではありません。空だと分かった時点で、その場合は答えに寄与しないと書いて先へ進みます。
3 つを合わせる

本を並べると、 本目と 本目が でぴったり継ぎ合わさっています。 本目は空。
場合分けの答えは「または」でつなぎます。共通部分ではなく、合わせたものが答えです。
境目の値で確かめる
答えの端を代入します。 なら で、 のとき 。 を満たさないので、 が外れているのは正しい。
なら で、 のとき 。こちらも外れています。
内側でも試します。 なら で、どこでも 以上。確かに成り立ちます。
なら頂点は で区間の中、最小値は で正。ぎりぎり成り立っています。
「ある で成り立つ」に変えると答えが反転する
同じ式で、問題文を「 を満たすある について が成り立つ」に変えてみます。
これはもとの条件の否定です。「すべての で 」の反対は「 になる が少なくとも つある」。
もとの答えの外側がそのまま答えになりました。等号の位置も入れ替わっています。
区間の中の最小値が条件を満たせばよい。最小値だけを調べます。
区間の中の最小値が条件を満たせばよい、と読み替えられます。今度は なので、最小値が 以下になればどこかで成り立つ。
どちらも最小値を見る点は同じで、不等号の向きだけが変わります。問題文の「すべて」と「ある」を読み分けるところが分かれ目です。
類題 1
を満たすすべての について が成り立つ の範囲を求めよ。
頂点は 、最小値は場合ごとに 、、 です。
答えは です。 で頂点が区間の中に入り、 になります。
類題 2
を満たすすべての について が成り立つ の範囲を求めよ。
頂点は です。区間の中に入るのは 、つまり のとき。
なら最小は で、 が要ります。前提と矛盾するのでなし。
なら最小は で、 より 。重ねて 。
なら最小は で、これは正。前提がそのまま残って 。
答えは です。 番目が丸ごと残る形になりました。










