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2 文字の二次不等式は判別式を 2 回使う|高校数学の難問

次の問題を解きます。

すべての実数 に対して が成り立つような、実数 の値を求めよ。

文字が つあります。判別式は 文字の二次式に対する道具なので、そのままでは当てられません。

やり方は、片方を定数だと思って整理すること。 の二次式と見れば判別式が使えます。ただし出てくる条件に が残るので、そこでもう一度使う。判別式を 回重ねる形になります。

片方の文字について整理する

について整理します。 は定数だと思って、 の次数ごとにまとめる。

の係数は で正です。この二次式がすべての 以上になる条件は、判別式が 以下であること。

展開して整理します。

条件は です。 が消えて、 だけの不等式が残りました。

つ決めるごとに、 の放物線が 本決まります。それを とともに動かした様子です。

緑が 、橙が 。緑はどの でも 軸に届かないか、触れるだけです。橙は のあいだにいるとき、 軸を割って下へ潜ります。

割ったところに、条件を満たさない が現れます。 が答えでないのは、この一瞬があるためです。

2 段目: についての判別式

残った条件を書き直します。両辺に を掛けると向きが変わります。

これがすべての実数 で成り立つ条件を書きます。 の係数は で正なので、判別式が 以下。

平方は 以上なので、 以下になるのは のときだけです。

答えが範囲ではなく 点に決まりました。判別式の条件が 段目で に絞られたためです。

段目で出た を、 を変えて描いたものです。この式が 軸の上側へ出てはいけません。

左の では となり、原点で触れるだけで上へは出ません。右の では山が 軸の上へ突き出しています。

突き出した部分の を選ぶと、 段目の条件が破れます。 からずれると、必ずこの突き出しが生まれる。

平方の和に直して確かめる

を代入して、もとの式を変形します。

の組み合わせで平方が作れないか探します。 を展開してみます。

もとの式から引くと が残ります。つまり次のように書けます。

平方の和なので、いつでも 以上。判別式を 回使って得た結論と一致しました。

この形が見つかると、証明が 行で済みます。ただし見つけるには試行が要るので、判別式を 回使う道のほうが確実です。

等号が成り立つ点

となるのは、 つの平方がどちらも のときだけです。

本目に入れて 。等号は 点だけで成り立ちます。

同じ値をとる点を結ぶと、傾いた楕円が並びます。中心が で、外側の輪ほど値が大きい。

いちばん内側の輪が縮んで点になったところが最小値の場所です。そこで値が になり、それより小さくはなりません。

からずれると、この受け皿が一方向へ傾いて底が抜けます。どこまでも小さい値をとれるようになり、条件が壊れる。

から始めても同じ答えになる

整理する文字を入れ替えても結論は変わりません。確かめてみます。

について整理します。

の係数は で正なので、判別式が 以下という条件になります。

これが 以下になる条件を、 の不等式として書きます。両辺に を掛けて向きを変えます。

すべての で成り立つ条件は判別式が 以下です。

となり、一致しました。どちらの文字から始めても同じところへ着きます。

係数が簡単なほうから始めると計算が軽くなります。今回は の係数が だったので、 から始めるほうが楽でした。

手順の全体

片方の文字について次数ごとに整理する

その文字の二次式として判別式を書き、 以下と置く

残ったもう片方の文字の不等式を、同じ手順で処理する

段目の判別式から定数を決める

段目と 段目で、係数の符号の確認を忘れないところが要です。 段目では を掛けて向きを変えるので、そこでも符号を見ます。

類題

すべての実数 に対して が成り立つ の範囲を求めよ。

について整理します。

段目の判別式を書きます。

を掛けて の係数は で正なので、 段目の判別式を書きます。

より、答えは です。

さきほどは 点でしたが、今度は範囲になりました。 段目の不等式の定数項が でないと、こうして幅が出ます。

なので、およそ を入れると となり、確かに成り立ちます。

すべての実数 に対して が成り立つ の範囲はどれですか。

__RESULT__

について整理して です。 を掛けた の判別式が で、 以下から 。定数項が残ったので、答えは 点ではなく幅のある範囲になります。

よくある誤り

文字のまま判別式を当てる。判別式は 文字の二次式に対する道具です
整理したあと、その文字の 乗の係数の符号を確かめない。正でなければ条件の向きが変わります
段目で と書く。等号つきの不等式なら、接する場合も許されます
段目で を掛けたときに不等号を戻し忘れる。向きは必ず変わります
段目の判別式が定数になると思う。もう片方の文字が残ります
平方の和の形を探すのに時間をかけすぎる。見つからないときは判別式を 回使います
答えが範囲になるか 点になるかを決めつける。 段目の式しだいで両方あります
整理する文字を選び直さない。係数の簡単なほうから始めると計算が短くなります

参考文献

Definite quadratic form
Quadratic function
Quadratic equation
Diskriminante
Fonction du second degré
一元二次方程
$x$ と $y$ が混ざった式に判別式はそのまま当てられません。片方を定数と思って整理すれば $1$ 文字の二次式になり、判別式が使えます。ただし出てきた条件にもう片方の文字が残るので、そこでもう一度。$2$ 段目の判別式が $(2-a)^2 \leq 0$ となって、答えが範囲ではなく $1$ 点に絞られます。平方の和 $(x+y+1)^2 + y^2$ に直す確かめ方、整理する文字を入れ替えても同じ答えに着くことまで。