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収束と発散と振動の分かれ目|数列の極限(高校数学Ⅲ)

です。 には決してなりませんが、いくらでも近づく。

この を数列 の極限といい、数列は に収束するといいます[1]

行き先は 3 通り

数列の を大きくしたときの振る舞いは、大きく 3 つに分かれます。

一定の値に近づけば収束。値がどこまでも大きく、または小さくなれば発散といいます。どちらでもなく揺れ続ける場合を振動と呼びます。

のような定数列も収束します。行き先は

を往復し続けるので、どの値にも近づきません[3]

「近づく」を数で言い切る

近づくという言い方は曖昧です。どこまで近づけば近づいたことになるのか。

大学の教科書では、幅を先に決めさせる形で書きます。どんなに小さな幅 を持ってきても、ある番号から先の項が全部その幅に収まる、という言い方です[1][2]

言いかえると、幅の外に出る項は有限個しかない[2]。最初の何項かが暴れていても、極限には関係しません。

例:番号を実際に出す

とします。 と書けるので、行き先は

幅を と決めると、 から が出ます。

番目から先の項は、すべて のあいだに入る。幅を にすれば 番目からです。

幅をどれだけ小さくしても、対応する番号が必ず見つかる。これが収束の中身になっています。

発散にも 2 種類ある

発散のうち、 という行き先が言えるものを分けて扱う流儀があります[2]

どんな大きさの壁を用意しても、ある番号から先の項が全部その壁を越えるなら と書きます。

は行き先を言えません。こちらは振動と呼びます。

行き先が言える発散

など。 という記号で書き表せる

行き先が言えない発散

など。振動で、 とも とも書けない

は数ではないので、 と書いても収束したわけではありません[2]

極限の四則

2 つの数列が両方とも収束するとき、和・差・積・商の極限が別々に計算できます[1][4]

とします。

定数倍は になる。
和と差は になる。
積は になる。
商は のとき になる。

商だけ条件が付きます。分母の極限が だと、比の行き先が決まらないためです。

前提はどちらも収束すること。発散する数列にこの規則を当てると答えを間違えます。

収束する数列は必ず有界

収束する数列は、ある幅の中に全部の項が収まります[3]。極限のまわりの帯に入りきらない項が有限個しかないので、その有限個も含めて上限がとれる。

逆は成り立ちません。 に収まっていますが収束しない。

有界であることは収束の必要条件であって、十分条件ではありません。

例:分子と分母が同じ次数

を求めます。そのままでは分子も分母も に発散する。

分母の最高次 で分子と分母を割ります。

の形を作れば、四則がそのまま使えます。最高次の係数の比が答え。

例:分母の次数が高い

でも、割る相手は分母の最高次 です。

分子の次数が低いほうが負けます。答えは

例:分子の次数が高い

に発散します。

分母の最高次 で割ると、分子に が残る。

次数の比較だけで、収束するか発散するかが先に見えます。

次数の関係極限
分子 = 分母最高次の係数の比
分子 < 分母
分子 > 分母発散

例:無限大の差

を考えます。 なので、差の規則は使えません。

分子と分母に を掛けて、根号を外します。

。数値でも に寄っています。

例:根号どうしの差

も同じ手です。

分母が に伸びるので の 1 次と 次で、伸び方の差が効いています。

例: の形

では、前が 、後ろが に向かいます。

後ろを有理化してから掛けます。

でも でもなく 。どちらが勝つかは変形しないと分かりません。

は、答えが決まらない形なので不定形と呼ばれます

記号の計算としては意味を持たない。式を変形して、収束する形に直してから極限をとる。

発散の速さを比べる

発散するもの同士でも、伸び方には大きな差があります。 で見ると差が目に見える。

より より より より が速い。比をとるとこの順序が効きます。

例:多項式と指数の比

です。 を二項定理で開くと、 の項が出てきます。

これを分母に使うと、比は 以下になり、 に向かう。

指数関数はどんな多項式よりも速く伸びます。分母に置けば必ず勝ちます。

はいくつですか。

  • 発散する
__RESULT__

分子と分母を で割ると になり、最高次の係数の比 が残ります。 は分子の次数が低いときの答え、発散は分子の次数が高いときの答えです。

不定形も確かめます。

はいくつですか。

__RESULT__

に直し、分子と分母を で割ると です。 は差をそのまま消した誤り、 は前の項だけを見た誤りになります。

分数なら最高次で割る。根号の差なら有理化する。形を見て、 を作れる向きに変えていく作業です。

出典

*Sequences*. Calculus Volume 2, OpenStax.
Markus Stroppel. *Konvergente und divergente Folgen*. Höhere Mathematik, Universität Stuttgart.
*Folgen und Grenzwerte*. Analysis-Skript, ETH Zürich.
Limit. Encyclopedia of Mathematics.
$\frac{1}{n}$ は $n = 1000$ で $0.001$。$0$ になることはありませんが、幅をどれだけ狭めても、ある番号から先の項は全部その中に入ります。これが収束の中身。行き先を言える発散と、$(-1)^{n}$ のように言えない振動は分けて扱う。四則が使えるのは両方が収束するときだけです。分数型は最高次で割る、$\infty - \infty$ や $0 \times \infty$ は有理化する、という手順を 6 通りの計算で並べ、$\log n$、$n$、$n^{2}$、$2^{n}$、$n!$ の伸び方の差まで見ました。