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隣の項との比を 1 と比べる比判定法と根判定法による級数の収束判定

の項は 、、、、 と減っていきます。隣どうしの比は で、 に向かう。

比が より小さい値に落ち着くなら、その級数は収束します[1]。実際この和は です。

部分和を閉じた形に書けなくても、項の減り方だけで収束するかどうかが判定できる。それが比判定法と根判定法です。

比判定法

の級数について、隣の項との比の極限を とします[1][2]。

なら絶対収束し、 または なら発散します[1]。 のときは何も言えません[1][2]。

なぜ効くのか

のとき、 と のあいだに数 をとります。 とすればよい。

比が に向かうので、ある番号 から先では になります。

そこから が出ます。項が公比 の等比数列より小さく押さえられました。

判定法の中身は、等比級数と比べることです。 を より小さくとれる点が効いています。

例:階乗が入る形

を判定します。比をとると階乗がきれいに約分されます[1]。

なので収束します[1]。和は です。

なら比は で発散。階乗が分母にあるか分子にあるかで結論が変わります。

例: 乗が入る形

の比を計算します。

なので収束します。 がここで効いています。

根判定法

項の 乗根の極限で判定する方法もあります[1][4]。

結論は比判定法と同じです。 で収束、 で発散、 では判定できません[1][4]。

コーシーの根判定法とも呼ばれます[4]。

例:全体が 乗になっている形

を判定します。 乗根をとると指数が消えます[1]。

で収束します[1]。比をとる道もありますが、こちらのほうが手数が少ない。

でも同じです。 なので収束します。

比判定法が向く形

階乗や連続する積が入っている。、、 など

根判定法が向く形

全体が 乗になっている。、 など

では何も言えない

境目では判定が止まります。実際、 の級数には収束するものも発散するものもあります[2]。

の比は で発散します。 の比は で収束します[2]。

同じ から、正反対の結論が出ている。この場合は別の判定法へ移ります。

比の値だけを見ていては、この差に気づけません。

が出たら、その判定法では決着しません[1][2]。

級数の形と比べる、積分と比べる、交代級数として扱う。別の道具へ移る合図になる。

例: が入る級数

を判定します。 を定数と見て比をとります。

どんな でも なので、すべての実数で収束します。この和が です。

なら比は 。 で収束、 で発散します。

は判定できません。 は調和級数で発散、 は交代級数で収束します。境目で挙動が分かれる。

判定の順番

まず一般項が に向かうかを見る。向かわなければ発散で終わり。
階乗や積があれば比判定法を当てる。
全体が 乗なら根判定法を当てる。
が出たら、 級数や積分との比較へ移る。

一般項が に向かうかどうかの確認は、いちばん軽くて速い[3]。そこで落ちる級数を先に外しておきます。

はどうなりますか。

  • 収束する
  • 発散する
  • 判定できない
__RESULT__

比は です。 なので発散します。分母の では、分子の に追いつけません。

根判定法の側も確かめます。

はどうなりますか。

  • 収束する
  • 発散する
  • 判定できない
__RESULT__

乗根をとると です。 なので収束します。全体が 乗の形なので、根判定法がそのまま効きます。

比か根の行き先を と比べる。これだけで多くの級数が片づきます。境目の に落ちたときだけ、別の道具を探します。

参考文献

*Ratio and Root Tests*. Calculus Volume 2, OpenStax.
D'Alembert criterion (convergence of series)). Encyclopedia of Mathematics.
Claus Michael Ringel. *Folgen und Reihen*. Leitfaden Funktionen, Universität Bielefeld.
Root Test. Wolfram MathWorld.
$\sum\frac{n}{2^{n}}$ の隣どうしの比は $\frac{n+1}{2n} \to \frac{1}{2}$。$1$ より小さいので収束します。部分和を閉じた形に書けなくても、項の減り方だけで判定できる。中身は等比級数との比較で、$\rho$ と $1$ のあいだに $r$ をとれば項が $Cr^{n}$ 以下に収まります。階乗が入る $\frac{2^{n}}{n!}$ や $\frac{n!}{n^{n}}$ は比、全体が $n$ 乗の形は根。$\rho = 1$ では $\sum\frac{1}{n}$ と $\sum\frac{1}{n^{2}}$ が正反対になり、判定が止まります。