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分数を足すだけで π が出てくる!ライプニッツ級数とオイラー定数

を足していくと、部分和は と上下に振れながら に寄っていきます。

この値は です。分数だけを足しているのに、円周率が出てくる。

もそうですが、極限でしか書けない定数がいくつもあります。ここでは を、極限の形から見ていきます。

ライプニッツ級数

上の式はグレゴリーとライプニッツが見つけたもので、グレゴリー級数とも呼ばれます[2]

交代級数なので、部分和は をまたぎながら幅を狭めていきます。奇数項で上、偶数項で下です。

交代級数は次の項で押さえられる

符号が交互で、項の絶対値が減っていく級数では、部分和と和の差が次の項より小さくなります。

項まで足したときの誤差は 以下です。 項なら 以下。

項数部分和

桁を 1 つ増やすのに、項数を 10 倍にする必要があります。この式で を計算するのは現実的ではありません[2]

収束を速める変形はいくつもあります[2]。マチンの公式 がその代表です。

調和級数と対数の差

は発散します。 も発散します。差をとるとどうなるか。

では では

差は一定の値に落ち着きます。これがオイラー・マスケローニ定数 です[1]

なぜ差が収まるのか

短冊と曲線の面積の差で説明できます。 を幅 の短冊、 の下の面積と見ます。

短冊は曲線からわずかにはみ出します。 番目のはみ出しは で、 の程度です。

が収束するので、はみ出しの合計も有限に収まる。それが の正体になります。

記号と歴史

を最初に定義したのはオイラーで、1735 年です[1][3]。彼は文字 を使い、真剣に検討する価値がある数だと述べました[1]

いまの記号 はマスケローニが 1790 年に採用したものです[1]

同じ 1735 年に、オイラーは も示しています[3]。そこから の値へ進みました[3]

は無理数かどうか分かっていない

はどちらも無理数で、しかも超越数だと分かっています。 については、無理数かどうかすら未解決です[1]

仮に が分数 で書けるとしても、分母は でなければならないと分かっています[1]

無理数であり、超越数でもある。証明が済んでいる

小数第 1 億位まで計算されているが、無理数かどうかが未解決

積の形で書ける定数

級数だけでなく、無限積で書かれる定数もあります。ウォリスの公式がその例です[4]

ウォリスが 1656 年の著作で発表しました[4] の無限積表示から導けます[4]

項で 項で で、こちらも収束は速くありません。

無限積は、対数をとると無限級数に変わります

なので、級数の収束の話に持ちこめる。

極限が定数を作る

有理数の演算だけを無限に続けた先に、有理数でない数が現れます。

の極限として決まる。
は多角形の周や交代級数の和として決まる。
は調和級数と対数の差として決まる。
黄金比は の不動点として決まる。

有限回の計算では書けないので、極限という手続きそのものが定義になっている。数を極限で定義した最初の例が でした。

収束の速さを比べる

同じ を出す式でも、実用の差は大きい。

方法100 項での誤差
ライプニッツ級数
ウォリスの積
正多角形(96 角形)

正多角形は辺の数を倍にするだけで誤差が になるので、少ない手数で桁が伸びます。

級数のほうは、変形して収束を速めます[2]。マチンの公式は の引数が小さいぶん、1 項ごとに桁が増えます。

はいくつですか。

  • 発散する
__RESULT__

もどちらも発散しますが、差は に収束します。 は 2 つが完全に一致すると見た誤り、発散は差をとらずに片方だけを見た誤りです。

級数の側も確かめます。

項まで足したとき、和との差はどのくらいですか。

  • より小さい
  • より大きい
  • より小さい
__RESULT__

交代級数では、部分和と和の差が次の項より小さくなります。 項目は なので、差はそれ未満です。 まで縮むのは、もっと速い級数の場合になります。

分数を足すだけの手続きが、 という有理数でない数に届く。極限は、有限の計算では作れない数を作る道具になっています。

参考文献

Euler-Mascheroni Constant. Wolfram MathWorld.
Gregory Series. Wolfram MathWorld.
Leonhard Euler. MacTutor History of Mathematics Archive, University of St Andrews.
Wallis Formula. Wolfram MathWorld.
$1-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-\frac{1}{7}+\cdots$ の部分和は $0.7854$ に寄っていきます。これが $\frac{\pi}{4}$。分数だけを足しているのに円周率が現れる。ただし収束は遅く、$1000$ 項でも差が $0.00025$ 残ります。調和級数から $\log n$ を引くと $0.5772156649\ldots$ に落ち着き、これがオイラー・マスケローニ定数です。短冊が曲線からはみ出す面積の合計として説明できる。無理数かどうかが未解決であること、ウォリスの無限積、収束の速さの比較まで並べました。