log10=2.303、log1000=6.908、log109=20.72。真数を 1 億倍にしても、値は 20 台にしかなりません。
それでも上限はなく、x→∞ で logx→∞ です[3]。増え続けるが、増え方がとにかく遅い。
この遅さは比をとると見えます。x で割ると 0 に潰れる。
x→∞limxlogx=0
どんなべき乗にも負ける
x で割った場合だけではありません。x0.01 のような小さい指数で割っても 0 になります[1][2]。
x→∞limxplogx=0(p>0)
理由は指数関数の側から見ると分かります。ex はどんな多項式より速く伸びるので、その逆関数である log はどんな累乗根より遅い[1]。
例:数値で確かめる
xlogx の値を並べます。x=10 で 0.230、x=1000 で 0.0069、x=106 で 0.0000138。
xlogx でも同じです。x=106 で 100013.82=0.0138。遅いだけで、行き先は変わりません。
数列でも同様で、n→∞limnlogn=0 が成り立ちます。
0 に近づく側
x→+0 では logx→−∞ です[3]。真数が小さいほど、値は下へ落ちていく。
ところが x を掛けると打ち消し合います。0 に向かうものと −∞ に向かうものの積で、不定形の 0×∞ 型です。
x→+0limxlogx=0
t=x1 と置くと xlogx=−tlogt になり、t→∞ での先ほどの結果に戻ります。
x=0.1 で −0.230、x=0.01 で −0.046、x=0.001 で −0.0069。x の縮み方が勝ちます。
例:xx の行き先
x→+0limxx を求めます。底も指数も 0 に向かうので 00 の形です[2]。
対数をとると積に直せます[2]。y=xx として logy=xlogx。
右辺は 0 に向かうので logy→0、つまり y→e0=1 です。
x=0.1 で 0.794、x=0.01 で 0.955、x=0.001 で 0.993。たしかに 1 へ上がっていきます。
指数の形の不定形は、対数をとって積や商の形に直してから極限をとります[2]。
00、1∞、∞0 の 3 つが対象。最後に指数関数に戻すのを忘れない。
例:真数が 1 に近づくとき
x→0limxlog(1+x)=1 が成り立ちます[1]。log1=0 なので 00 の形。
log(1+x)1/x と書き直すと、中身が e に向かうので値は loge=1 です。
x→1 での x−1logx も同じ極限になります。t=x−1 と置けば上の形に戻る。
x=1.001 で 0.0010.0009995=0.9995。1 の近くでは logx が x−1 とほぼ等しくなります。
例:底が e でないとき
底が a の対数は、底の変換公式で自然対数の定数倍になります。
logax=logalogx
x→∞limxlog2x=log21x→∞limxlogx=0 で、結論は変わりません。
底が 1 より小さいと loga<0 なので符号が逆になります。x→∞limlog1/2x=−∞ です。
例:対数の差
x→∞lim{log(x+1)−logx} は ∞−∞ の形です。
対数の性質で 1 つにまとめます。
log(x+1)−logx=logxx+1=log(1+x1)→log1=0
x=100 で 0.00995。差をとる前は両方とも発散していますが、中身の比は 1 に落ち着きます。
例:対数どうしの比
x→∞limlog(x3+1)log(x2+1) を求めます。両方とも ∞ ですが、比は決まります。
log(x2+1)=logx2+log(1+x21)=2logx+log(1+x21) と分けます。
3logx+log(1+x31)2logx+log(1+x21)→32
logx でくくると、真数の次数の比だけが残る。log の中身の定数項は効きません。
増える速さの順番
x→∞ での伸び方には、はっきりした順序があります[2]。
対数がいちばん遅く、次が多項式、指数関数がいちばん速い[2]。どの隣どうしでも比が 0 に向かいます。
分子に置いたとき
logxxp も xpex も ∞ に発散する
底が 10 だった時代
対数はネイピアが 1614 年の著作で発表しました[4]。もとの定義は 2 点の運動から作られていて、log1=0 になっていません[4]。
ブリッグスが底を 10 にして log1=0 とする表を提案し、ネイピアも同意しました[4]。計算の道具としては、底 10 のほうが桁と直結して便利です。
微分すると余計な定数が出ない底は e です。極限を扱うときは底を e にそろえてから進めます。
x→∞limx(logx)2 はいくつですか。
__RESULT__
t=logx と置くと x=et で、式は ett2 になります。指数関数は多項式より速いので 0 です。対数を 2 乗しても、べき乗には追いつけません。
0 に近づく側も確かめます。
x→+0limx2logx はいくつですか。
__RESULT__
xlogx→0 に x をもう 1 つ掛けた形なので 0 です。logx は −∞ へ向かいますが、x2 の縮み方のほうが速い。−1 は xlogx の最小値ととり違えた値になります。
対数は、増えるほうでも減るほうでも相手に負けます。x のべき乗を 1 つ掛けるか割るかすれば、ほとんどの形は片づきます。
参考文献
Oliver Deiser. *Der natürliche Logarithmus*. Erste Hilfe in Analysis. *L'Hôpital's Rule*. Calculus Volume 1, OpenStax. Logarithmic function. Encyclopedia of Mathematics. John Napier. MacTutor History of Mathematics Archive, University of St Andrews.
$\log 10^{9}$ でも $20.72$。真数を 1 億倍にしても値は $20$ 台にしかなりません。それでも上限はなく、$x$ で割ると $0$ に潰れる。$p$ をどれだけ小さくしても $\frac{\log x}{x^{p}} \to 0$ です。$x \to +0$ 側では $x\log x \to 0$ で、$\frac{1}{e}$ で最小値をとってから $0$ へ戻ります。対数をとって $x^{x} \to 1$ を出す手、$\frac{\log(1+x)}{x} \to 1$、$\log(x+1)-\log x$ の差、$\frac{\log(x^{2}+1)}{\log(x^{3}+1)} \to \frac{2}{3}$、底が 10 だった時代の話まで。
t=logx と置くと x=et で、式は ett2 になります。指数関数は多項式より速いので 0 です。対数を 2 乗しても、べき乗には追いつけません。