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足す順番を変えると和が変わる!絶対収束と条件収束の境目

に収束する。

同じ項を並べ替えて とすると、和は になる。

足す項はまったく同じで、順番だけを変えた。それで和が変わる。有限個の足し算では起きないことである。

絶対収束と条件収束

級数 について、 が収束するとき絶対収束という[1]

は収束するのに が発散するとき、条件収束という[1]

は条件収束である。絶対値をとると調和級数になり、これは発散する[3]

なら絶対値をとっても収束するので、こちらは絶対収束になる。

絶対収束するなら、もとの級数も収束する[1]。逆は成り立たないので、条件収束という別の枠が要る。

交代級数はいつ収束するか

符号が交互に変わる級数では、次の 2 つがそろえば収束する[1]

がすべての で成り立ち、 であること[1]

は減り続けて に向かうので、 は収束する。絶対値のほうは発散したままである。

誤差の評価も付く。 項までの部分和と和の差は、次の項を超えない[1]

並べ替えると和が変わる

条件収束する級数は、並べ替えによって好きな値に収束させられる[2]

実数 をどう指定しても、和が になる並べ替えが存在する[2] に発散させることもできる[2]

リーマンの並べ替え定理と呼ばれる。足し算の順番が結果を変える、という主張である。

なぜそんなことができるのか

条件収束する級数を、正の項だけと負の項だけに分ける。 ならこうなる。

どちらも発散する。前者は 、後者は である。両方が有限なら、絶対値の和も有限になってしまう。

正の項をいくらでも積める。負の項でいくらでも下げられる。しかも 1 つ 1 つの項は に向かう。

目標の値 を決めたら、 を超えるまで正の項を足す。超えたら を下回るまで負の項を足す。これを繰り返す。

行き過ぎの幅は、そのとき使った項の大きさ以下である。項が に向かうので、行き過ぎも に縮む。部分和は に収束する[2]

例: になる並べ替え

正の項を 2 つ、負の項を 1 つ、という順に並べる。

この並べ方の和は である。もとの 倍になった。

項を 1 つも足さず、1 つも捨てていない。順番だけが違う。

有限個の足し算では、順番を変えても和は変わらない

無限個になると、極限をとる順序が結果に効く。並べ替えは部分和の作り方を変えている。

絶対収束なら並べ替えても変わらない

絶対収束する級数では、どんな並べ替えをしても和が変わらない[1][2]

正の項の和と負の項の和が、それぞれ有限だからである。有限どうしの引き算なので、順番に左右されない。

は絶対収束なので、どう並べ替えても のままである。

絶対収束

並べ替えても和は変わらない。有限の足し算と同じ感覚で扱える

条件収束

並べ替えで任意の値にできる。項の順番が答えの一部になっている

判定の手順

まず絶対値をとった級数を判定する。
比判定法、根判定法、 級数との比較などが使える。
絶対値の級数が収束すれば絶対収束で、もとの級数も収束する。
絶対値が発散したら、交代級数判定法などでもとの級数を調べる。
両方を通れば条件収束になる。

絶対値をとると符号の情報が消えるので、判定が楽になる。そのぶん、絶対値で発散したときは何も言えていない点に気をつける。

はどれにあたるか。

  • 条件収束する
  • 絶対収束する
  • 発散する
__RESULT__

は減り続けて に向かうので、交代級数判定法から収束する。絶対値をとると の級数になり発散するので、条件収束である。

並べ替えの側も確かめる。

条件収束する級数を並べ替えたとき、起こりうるのはどれか。

  • 和は必ずもとの値になる
  • 好きな実数に収束させられる
  • 必ず発散する
__RESULT__

リーマンの並べ替え定理から、どの実数を指定してもその値へ収束させる並べ方が存在する。 へ発散させることもできる。もとの値のままにする並べ方もあるので、必ず発散するわけではない。

無限級数では、足す順番が答えの一部になっている。絶対値をとっても収束するかどうか。それがこの自由度を持つかどうかの境目である。

出典

*Alternating Series*. Calculus Volume 2, OpenStax.
Riemann theorem. Encyclopedia of Mathematics.
Claus Michael Ringel. *Folgen und Reihen*. Leitfaden Funktionen, Universität Bielefeld.
$1-\frac{1}{2}+\frac{1}{3}-\cdots$ は $\log 2 = 0.6931$ ですが、同じ項を並べ替えると $\frac{3}{2}\log 2 = 1.0397$ になります。項を 1 つも足さず捨てもせず、順番だけを変えた結果。分かれ目は絶対値をとっても収束するかどうかです。条件収束する級数は、正の項の和が $+\infty$、負の項の和が $-\infty$ なので、目標を超えたら負、下回ったら正と選ぶだけで好きな実数へ収束させられます。交代級数判定法と誤差評価、絶対収束なら並べ替えが効かない理由まで。