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周は無限なのに面積は有限|コッホ雪片と跳ね返るボールで見る無限等比級数

高さ メートルからボールを落とします。跳ね返るたびに高さが 倍になるとすると、跳ね方は 、、 と続いて終わりません。

それでも、止まるまでに動く距離の合計は メートルで確定します。無限回跳ねるのに、道のりは有限です。

無限に続く図形の量が有限に収まるかどうかは、公比が より内側にあるかどうかで決まります[4]。

跳ね返るボール

高さ から落とし、跳ね返るたびに高さが 倍になるとします。 です。

最初の落下が 、その後は上がって下りるので 、、と続きます。

、 なら メートル。 なら メートルです。

止まるまでの時間も有限

距離だけでなく時間も収束します。高さ から落ちるのにかかる時間は です。

回目の跳躍は高さ まで上がって戻るので、時間は 。公比 の等比級数になります。

、、 なら 秒。無限回の跳躍が 秒で終わります。

コッホ雪片

正三角形の各辺を 3 等分し、真ん中をとりのぞいてそこに小さい正三角形を立てます。これを繰り返した形がコッホ雪片です[1]。

段階が 1 つ進むごとに、辺の本数は 4 倍、1 辺の長さは になります[1]。

周の長さは発散する

段階目の周の長さは です[1]。公比が なので、いくらでも長くなります。

で 、 で 。有限の紙の上に、無限の長さの縁ができる。

コッホがこの曲線を発表したのは 1904 年です[2]。どの点でも接線を持たない連続曲線の例として作られました[2]。

面積は収束する

追加される三角形を数えます。 段階目では 個の三角形が増え、1 個の面積はもとの です。

公比 の等比級数なので収束します。

もとの面積を とすると、合計は です[1]。1 辺 の正三角形から始めれば になります[1]。

周の長さ

公比 。 より大きいので発散する

面積

公比 。 より小さいので収束する

同じ図形の別の量で、収束と発散が分かれました。公比がどちら側にあるかだけが効いています。

シェルピンスキーの三角形

正三角形を 4 つの小三角形に分け、真ん中をとりのぞきます。残った 3 つで同じことを繰り返す図形です[3]。

回で残る三角形は 個、面積の割合は です[3]。

面積は に落ちます。線は残り続けるのに、面積としては何も残らない。

入れ子になる正方形

1 辺 の正方形の各辺の中点を結ぶと、内側に正方形ができます。1 辺は 、面積は半分です。

これを無限に続けたときの、周の長さの合計と面積の合計を求めます。

周は公比 の等比級数です。

になります。面積は公比 なので です。

円を並べる場合

半径 の円から始めて、半径が ずつになる円を無限に並べます。

面積は 、、 と、公比 の等比級数です。

円周の合計なら公比が になり、 です。

長さは 1 次、面積は 2 次なので、公比が 2 乗の関係になります。この差が収束と発散を分けることもある。

図形の問題では、長さと面積で公比が変わる点に気をつけます。

相似比 で縮むなら、長さの公比は 、面積の公比は 。片方だけ発散する形が作れる。

手順にすると 4 段階です。

まず 1 段階でどれだけ縮むかを求める。
長さなら相似比、面積ならその 2 乗が公比になる。
公比の絶対値が 未満かを確かめる。
初項を決めて に入れる。

1 辺 の正方形の各辺を 3 等分し、真ん中に 1 辺 の正方形を外側へ付ける操作を繰り返します。 段階目に加わる正方形の面積の合計はどうなりますか。

  • 発散する
  • 公比 の等比級数になり収束する
  • 公比 の等比級数になり収束する
__RESULT__

辺の本数が 4 倍、1 辺が になるので、加わる面積は 倍ずつです。 より小さいので収束します。 は長さのほうの公比で、こちらは を超えます。

跳ね返りのほうも確かめます。

高さ メートルから落とし、跳ね返るたびに高さが 倍になるボールが止まるまでに動く距離はいくつですか。

  • メートル
  • メートル
  • メートル
__RESULT__

に 、 を入れると です。 は往復の 倍を数え忘れた値、 は最初の落下を 2 回数えた値になります。

図形が無限に細かくなっても、量が有限にとどまるかどうかは公比だけで決まります。1 段階でどれだけ縮むかを最初に求めれば、あとは等比級数の公式に載ります。

参考

Koch Snowflake. Wolfram MathWorld.
Niels Fabian Helge von Koch. MacTutor History of Mathematics Archive, University of St Andrews.
Sierpinski Sieve. Wolfram MathWorld.
*Infinite Series*. Calculus Volume 2, OpenStax.
高さ $1$ から落として $0.8$ 倍ずつ跳ね返るボールは、無限回跳ねても移動距離が $9$ で止まります。止まるまでの時間も $8.1$ 秒で有限。コッホ雪片は周が $3\left(\frac{4}{3}\right)^{n}$ で発散し、面積は公比 $\frac{4}{9}$ の級数になってもとの $\frac{8}{5}$ 倍に収束します。同じ図形で収束と発散が分かれるのは、長さの公比が相似比、面積の公比がその 2 乗になるためです。シェルピンスキーの三角形、入れ子の正方形、半径が半分ずつの円まで。