黄金比は 21+5=1.6180339887… です。5 が出てくるのは、比例式 1 本を 2 次方程式に直したからにすぎません。
出発点は「全体と長いほうの比が、長いほうと短いほうの比に等しい」という 1 行だけ[1]。そこから値までは数行で着きます。
定義の比例式
線分を長さ a と b の 2 つに分けます。a>b>0 とする。
全体は a+b です。この分け方が黄金比になるのは、次が成り立つとき[1]。
aa+b=ba
比の値を x=ba と置きます。左辺は aa+b=1+ab=1+x1。
2 次方程式に直す
左辺と右辺を x で書き直すと、次の等式になります。
1+x1=x
両辺に x を掛けて整理する。x+1=x2 なので x2−x−1=0 です[2]。
canvas: 式は呼び出しにそのまま書いてください。この引数は焼けません -> drawMath(… wayLine[wayIndex][0] …)
解の公式に当てると x=21±5。判別式が 1+4=5 なので、5 が現れます。
負の解を捨てる
21−5=−0.618… は負の数です。x は長さの比なので正でなければならない。
したがって答えは 21+5 に決まります。この値を φ と書くのがふつうです[1]。
5=2.2360679… なので φ=23.2360679=1.6180339…。
逆数が自分から 1 を引いた数になる
φ には目立つ性質があります[1,2]。
φ1=φ−1
1.618…1=0.618… で、小数部分がそっくり同じ。もとの方程式 x2=x+1 を x で割れば出ます。
φ2=φ+1 という関係は、次数を 1 つ下げる道具になります。
φ3=φ2+φ=2φ+1、φ4=3φ+2。係数がフィボナッチ数列で伸びていく。
例:べき乗を次数下げで出す
φ2=φ+1 を使って、φ5 を求めます。
φ3φ4φ5=φ⋅φ2=φ2+φ=2φ+1=2φ2+φ=3φ+2=3φ2+2φ=5φ+3
係数は 1,1,2,3,5 と並びます。フィボナッチ数列そのもの。
数値で確かめると φ5=11.09017、5φ+3=8.09017+3=11.09017。合っています。
例:フィボナッチ数列の比
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144 と続く数列で、隣どうしの比を出します。
5589=1.61818、89144=1.61798。上下に振れながら φ に近づきます。
比を r とすると、数列の作り方から r=1+r1。φ のみたす式と同じ形です。
例:正五角形の対角線
1 辺の長さが 1 の正五角形で、対角線の長さは φ になります。
対角線どうしが交わってできる小さな正五角形にも、同じ比が現れる。図形の中で φ が何度も出てくる理由です。
cos36∘=2φ=41+5 という関係もここから出ます。
連分数で書く
φ=1+φ1 の右辺の φ に、同じ式をくり返し入れます[1]。
φ=1+1+1+1+⋯111
1 だけが並ぶ形になります。分数で近づけにくい数の代表として知られる形です。
x2=x+1 をみたす正の数 x について、x4 を x の 1 次式で表すとどれですか。
__RESULT__
x3=x2+x=2x+1、x4=2x2+x=2(x+1)+x=3x+2 です。係数はフィボナッチ数列で伸びます。
比例式を x の式に直し、2 次方程式を解く。黄金比の 5 は、判別式が 5 になることだけから来ています。
出典
$\frac{1+\sqrt{5}}{2} = 1.6180339887\ldots$ の $\sqrt{5}$ は、判別式が $5$ になることだけから来ています。出発点は「全体と長いほうの比が、長いほうと短いほうの比に等しい」の 1 行。比を $x$ と置くと $1 + \frac{1}{x} = x$ になり、整理すれば $x^2-x-1=0$ です。負の解は長さの比になれないので落ちる。$\frac{1}{\varphi} = \varphi - 1$ という性質、$\varphi^2 = \varphi+1$ を使った次数下げで係数がフィボナッチ数列で伸びること、隣どうしの比が $\varphi$ へ寄っていくところまで扱いました。
x3=x2+x=2x+1、x4=2x2+x=2(x+1)+x=3x+2 です。係数はフィボナッチ数列で伸びます。