極形式にしてしまえば、かけ算も割り算も累乗も、絶対値と偏角を別々に計算するだけになります。
| かけ算 | 絶対値はかけ算、偏角は足し算 |
| 割り算 | 絶対値は割り算、偏角は引き算 |
| n 乗 | 絶対値は n 乗、偏角は n 倍 |
角が 2π を超えたら、2π の倍数を引いて範囲へ戻す。−1 回転も +1 回転も同じ点を指します。
例:2(cos4π+isin4π)×3(cos6π+isin6π)
絶対値は 2×3=6、偏角は 4π+6π=123π+2π=125π。
6(cos125π+isin125π)
125π は 75∘ で有名角の表にありません。極形式のまま答えにします。
例:角が 2π を超える場合
3(cos45π+isin45π) と 2(cos67π+isin67π) をかけます。
絶対値は 6、偏角は 45π+67π=1215π+14π=1229π。
2π=1224π を引いて 125π に戻します。
6(cos125π+isin125π)
1 周ぶん回っても点は動かないため、範囲の中の角に直してから書く。
例:割り算
2(cos2π+isin2π)4(cos65π+isin65π) を計算します。
絶対値は 24=2、偏角は 65π−2π=65π−3π=3π。
2(cos3π+isin3π)=2(21+23i)=1+3i
有名角に落ちたので a+bi まで書けました。
6(cos32π+isin32π)÷3(cos6π+isin6π) の値はどれですか。
__RESULT__
絶対値は 36=2、偏角は 32π−6π=2π です。2(cos2π+isin2π)=2i になります。絶対値まで割らずに引くと 21 の形になる。
例:(3−i)10
まず極形式へ直します。r=3+1=2、cosθ=23、sinθ=−21 で θ=−6π。
絶対値を 10 乗して 210=1024、偏角を 10 倍して −610π=−35π。
2π を足すと 3π に落ちます。
(3−i)10=1024(cos3π+isin3π)=1024(21+23i)=512+5123i
そのまま 10 乗を展開すると項が 11 個ぶん並びます。角を 10 倍するほうは、足し算 1 回で済む。
例:(3+i)6(1+i)8
分子と分母を別々に片づけます。
1+i は r=2、θ=4π。8 乗すると絶対値が (2)8=16、偏角が 8×4π=2π で、1 周ぶん。
(1+i)8=16(cos2π+isin2π)=16
3+i は r=2、θ=6π。6 乗すると絶対値が 64、偏角が π。
(3+i)6=64(cosπ+isinπ)=−64
どちらも実数に落ちたため、割り算は数のまま進みます。
−6416=−41
例:(1−i1+3i)12
先に分数を極形式へ直します。1+3i は r=2、θ=3π。1−i は r=2、θ=−4π。
割り算なので絶対値は 22=2、偏角は 3π−(−4π)=127π。
1−i1+3i=2(cos127π+isin127π)
12 乗します。絶対値は (2)12=26=64、偏角は 12×127π=7π。
7π から 6π を引いて π。
64(cosπ+isinπ)=−64
127π という有名角でない角も、12 倍した時点で分母が消えて π の倍数に落ちました。指数と分母がかみ合うと、こういう形になります。
偏角は 2π で割った余りだけ見る
角が大きくなったら、2π の倍数を引きます。1229π なら 2π を 1 回、7π なら 2π を 3 回。
cos と sin は 2π ごとに同じ値をくり返すため、余りだけが値を決めています。i の累乗が 4 で割った余りで決まる話と、同じ仕組み。
(1−i)20 の値はどれですか。
__RESULT__
1−i は r=2、θ=−4π です。絶対値は (2)20=210=1024、偏角は −5π で、6π を足すと π。1024(cosπ+isinπ)=−1024 になります。
展開の手間は指数とともに増えますが、角の計算は指数がいくつでも同じ 1 行。極形式に直す最初のひと手間が、そのあとを全部軽くします。
極形式にすれば、かけ算は絶対値をかけて偏角を足し、割り算は割って引き、$n$ 乗は $n$ 乗して $n$ 倍するだけになります。$(\sqrt{3}-i)^{10}$ なら $r = 2$、$\theta = -\dfrac{\pi}{6}$ から $1024$ と $-\dfrac{5}{3}\pi$ になり、$2\pi$ を足して $512 + 512\sqrt{3}i$。$\dfrac{(1+i)^8}{(\sqrt{3}+i)^6}$ は分子も分母も実数に落ちて $-\dfrac{1}{4}$、$\left(\dfrac{1+\sqrt{3}i}{1-i}\right)^{12}$ は $\dfrac{7}{12}\pi$ の $12$ 倍が $7\pi$ になって $-64$。偏角を $2\pi$ で割った余りに直す手つきまで。
絶対値は 36=2、偏角は 32π−6π=2π です。2(cos2π+isin2π)=2i になります。絶対値まで割らずに引くと 21 の形になる。