z=a+bi を、原点からの距離と、実軸から測った角の 2 つで書き直します。z=0 として、距離を r、角を θ とおく。
a=rcosθ,b=rsinθ
これを a+bi へ入れると、r でくくれます。
z=rcosθ+irsinθ=r(cosθ+isinθ)
この書き方が極形式です。r を z の絶対値、θ を偏角といい、r=∣z∣、θ=argz と書く。
距離のほうは三平方の定理から
点 (a,b) と原点の距離だから、r は次の形になる。
r=a2+b2
r は 0 以上の実数で、r=0 になるのは z=0 のときだけ。z=0 には向きがないため、偏角は決まりません。極形式を書くときに z=0 と断るのはそのためです。
偏角は 1 つに決まらない
θ を 2π 増やしても、点はぐるりと 1 周して同じ場所へ戻ります。だから偏角は無数にあり、θ+2nπ がすべて答えになる。
範囲をひとつに区切ったものを主値と呼びます。高校では 0≤θ<2π をとることが多く、−π<θ≤π を使う流儀もある。問題文が範囲を指定していれば、そちらに合わせます。
偏角には 2π ずらすぶんの自由があるので、argz は 1 つの数ではなく、2π おきに並ぶ数の集まりを指しています。
範囲を切って 1 つに決めたものが主値。範囲の指定がない答案では、どの範囲をとったかを書き添える。
例:1+i
a=1、b=1 で r=1+1=2。
cosθ=21,sinθ=21
どちらも正で、値は 21。θ=4π に決まる。
1+i=2(cos4π+isin4π)
例:−1+3i
r=1+3=2 で、cosθ と sinθ は次のとおり。
cosθ=−21,sinθ=23
cos が負で sin が正だから第 2 象限。両方を満たす角は 32π ただ 1 つ。
−1+3i=2(cos32π+isin32π)
例:−2i
虚軸の上にある点。a=0、b=−2 で r=2。
cosθ=0,sinθ=−1
0≤θ<2π なら θ=23π、−π<θ≤π なら θ=−2π。同じ点を、どちらの範囲で呼ぶかの違いです。
−2i=2(cos23π+isin23π)
tan だけで決めると 2 つの象限が残る
tanθ=ab から角を求めようとすると、向かい合う 2 つの象限が区別できません。tan は π ごとに同じ値をくり返すため。
1+i も −1−i も tanθ=1。前者は 4π、後者は 45π で、π だけずれています。
cosθ と sinθ の符号を両方見れば、象限が 1 つに絞れる。
| cosθ>0、sinθ>0 | 第 1 象限 |
| cosθ<0、sinθ>0 | 第 2 象限 |
| cosθ<0、sinθ<0 | 第 3 象限 |
| cosθ>0、sinθ<0 | 第 4 象限 |
−3+i の偏角として正しいものはどれですか。ただし 0≤θ<2π とします。
__RESULT__
r=3+1=2 で、cosθ=−23、sinθ=21 です。cos が負で sin が正だから第 2 象限にあり、θ=65π になります。tanθ=−31 だけを見ると、第 4 象限の 611π も候補に残ってしまう。
r と θ から a+bi に戻す
極形式のほうが与えられていれば、cos と sin の値を入れれば戻せる。
4(cos65π+isin65π)=4(−23+21i)=−23+2i
r が 4 で θ が 65π の点は、第 2 象限にある。実部が負、虚部が正という符号も合っています。
実数と純虚数の偏角
軸の上にある点は、偏角が 2π の倍数になる。
−5 を極形式にすると 5(cosπ+isinπ) になり、r は 5 です。−5 の絶対値が 5 という実数のときの話と、そのままつながります。
z=3(cos3π+isin3π) を a+bi の形にするとどれですか。
- 23+233i
- 233+23i
- 3+33i
__RESULT__
cos3π=21、sin3π=23 を入れます。3 をかけて 23+233i になります。cos と sin の値をとり違えると 2 番目の形になる。
a+bi は右へどれだけ、上へどれだけ。r(cosθ+isinθ) はどちらへどれだけ離れているか。同じ点を、別の測り方で書いています。
$z = a + bi$ の代わりに、原点からの距離 $r = \sqrt{a^2 + b^2}$ と実軸から測った角 $\theta$ で書きます。$a = r\cos\theta$、$b = r\sin\theta$ を入れれば $z = r(\cos\theta + i\sin\theta)$。角は $2\pi$ ずらしても同じ点を指すため 1 つに決まらず、$0 \leq \theta < 2\pi$ などに区切ったものを主値と呼ぶ。$\tan\theta = \dfrac{b}{a}$ だけで決めると $\pi$ ずれた角まで拾うため、$\cos$ と $\sin$ の符号を両方見ます。$1+i$、$-1+\sqrt{3}i$、$-2i$ を書き直す手順まで。
r=3+1=2 で、cosθ=−23、sinθ=21 です。cos が負で sin が正だから第 2 象限にあり、θ=65π になります。tanθ=−31 だけを見ると、第 4 象限の 611π も候補に残ってしまう。