i を文字と同じように扱って展開し、i2 を −1 に書きかえる。複素数の四則は、この 2 段だけで通ります。
足し算と引き算
実部どうし、虚部どうしをまとめる。
(a+bi)+(c+di)=(a+c)+(b+d)i
(a+bi)−(c+di)=(a−c)+(b−d)i
i を文字と見れば、2x+3 と 5x−1 を足すのと変わりません。
(3+2i)+(1−5i)=4−3i
かけ算
そのまま展開し、i2 を含む項だけを実部へ移す。
(a+bi)(c+di)=ac+adi+bci+bdi2=(ac−bd)+(ad+bc)i
bdi2 が −bd に変わるところで、虚部にいた項が実部へ移る。
例:(3+2i)(1−i)
(3+2i)(1−i)=3−3i+2i−2i2=3−3i+2i+2=5−i
−2i2 が +2 に変わるため、実部は 3 ではなく 5 になります。
割り算は分母を実数にしてから
分母に i が残っていると、実部と虚部に分けられません。分母の虚部の符号を変えた数をかけると、分母から i が消える。
(c+di)(c−di)=c2−(di)2=c2+d2
c2+d2 は実数で、c と d が同時に 0 でなければ正の数。
c+dia+bi=c2+d2(a+bi)(c−di)=c2+d2ac+bd+c2+d2bc−adi
符号を変えた数をかける理由
(x+y)(x−y)=x2−y2 に x=c、y=di をあてると、c2−d2i2=c2+d2 になります。和と差の積が 2 乗の差になる形を、そのまま使っている。
符号をそろえて (c+di)(c+di) とすると c2−d2+2cdi で、i が残る。符号を変えるところが効いています。
例:1+2i2+3i
分母と分子に 1−2i をかけます。
1+2i2+3i=(1+2i)(1−2i)(2+3i)(1−2i)=1+42−4i+3i−6i2=58−i
答えは 58−51i。実部と虚部に分けた形まで書きます。
検算は割った数をかけ戻す
答えに 1+2i をかけて、もとの数に戻るかを見る。
(58−51i)(1+2i)=58+516i−51i−52i2=58+52+3i=2+3i
−52i2 が +52 になり、実部が 2 にそろいました。虚部は 516−51=3。
(2+i)(3−2i) はどれですか。
__RESULT__
展開すると 6−4i+3i−2i2 です。−2i2 が +2 になるため実部は 6+2=8、虚部は −4+3=−1 になります。i2 をそのまま i の項として残すと 6−2i のような形になります。
4 つを並べる
3+2i と 1−i で、四則をひととおり計算した結果。
| (3+2i)+(1−i) | 4+i |
| (3+2i)−(1−i) | 2+3i |
| (3+2i)(1−i) | 5−i |
| 1−i3+2i | 21+25i |
割り算だけは分母と分子に 1+i をかけ、2(3+2i)(1+i)=21+5i としてから分けています。
実数のときの規則がそのまま通る
交換法則、結合法則、分配法則は複素数でも成り立ちます。だから展開の手つきを新しく組み直す場所がない。
0 を足しても変わらず、1 をかけても変わらない。z=0 なら z1 が必ずあり、z×z1=1 となる。
通らないのは大小だけで、複素数のあいだに不等号は置けません。
例:(1+i)2 から先を短くする
2 乗すると実部が消えて、虚部だけが残る。
(1+i)2=1+2i+i2=2i
(1+i)2=2i なので、(1+i)4=(2i)2=4i2=−4、(1+i)8=(−4)2=16。8 乗で実数に戻ります。
(1−i)2=1−2i+i2=−2i も同じ形で、違いは符号だけ。
i1 を a+bi の形にするとどれですか。
__RESULT__
分母と分子に i をかけると i2i=−1i=−i です。分母の i をそのまま約分して i とすると、i2=−1 のぶんの符号が抜けます。
展開して i2 を −1 に書きかえる、割り算のときだけ分母の虚部の符号を変えた数をかける。この 2 つで四則はすべて通ります。
$i$ を $x$ のような文字と見て展開し、$i^2$ を $-1$ に書きかえる。足し算と引き算は実部どうし虚部どうしで、かけ算は展開してから $i^2$ の項を実部へ移します。割り算は分母に $i$ が残ると実部と虚部に分けられないため、虚部の符号を変えた数をかけて分母を $c^2 + d^2$ にする。和と差の積が $2$ 乗の差になる形をそのまま使っています。$(1+i)^2 = 2i$ を足がかりにした累乗の短縮、答えに割った数をかけ戻す検算まで。
展開すると 6−4i+3i−2i2 です。−2i2 が +2 になるため実部は 6+2=8、虚部は −4+3=−1 になります。i2 をそのまま i の項として残すと 6−2i のような形になります。