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数直線に載らない数を、平面のどこに置くか〜複素数平面

複素数 を、平面の点 に置きかえます。実部を横、虚部を縦に読むだけ。

こうすると複素数が 1 つの点になり、数直線に載らなかった数にも居場所ができる。この平面を複素数平面、またはガウス平面と呼びます。

横軸が実軸、縦軸が虚軸です。実軸の上には虚部が の数、つまり実数が並び、虚軸の上には実部が の数が並ぶ。

点
点
点 。実軸の上
点 。虚軸の上

点そのものを「点 」と呼ぶことも多く、 が数を指すのか点を指すのかは文脈で読み分けます。

足し算は平行四辺形の対角線

原点から点 へ矢印を引く。 なら、右へ 、上へ 進む矢印です。

2 つの複素数を足すと実部どうし虚部どうしが加わるため、矢印としても横の進みと縦の進みがそれぞれ加わります。 と の矢印をつなげた先が になる。

原点、、、 の 4 点は平行四辺形をつくる。 は原点から見て向かいの頂点。

引き算は 2 点を結ぶ矢印

は、点 から点 へ向かう矢印と同じ向き、同じ長さになります。 に を足すと に着くから。

原点から へ引いた矢印を、そのまま の位置まで平行移動したものが、 から への矢印。2 点の隔たりを表す式として、このあと何度も使う形。

共役と符号で決まる 3 つの対称

に対して、、、 はどれも座標の符号を変えた点。

実軸について対称
原点について対称
虚軸について対称

共役は縦の符号だけを変えるので、実軸を鏡にした折り返し。 は縦も横も変えるため、原点まわりの半回転になります。

canvas: 置き場が受け取りませんでした

実数倍は原点から見て伸び縮み

を実数として を考えると、実部も虚部も 倍になります。矢印の向きは変わらず、長さだけが 倍になる。

が負なら向きが逆になり、原点をはさんで反対側へ移ります。 倍がちょうど半回転にあたる。

点 に対して、点 はどの象限にありますか。

  • 第 3 象限
  • 第 2 象限
  • 第 4 象限
__RESULT__

で、実部も虚部も負になります。第 2 象限にあった が実軸で折り返され、第 3 象限へ移ったかたち。虚部の符号だけが変わり、実部は のままです。

補足:平面に描いたのは誰か

複素数を平面の点として描く見方には、別々にたどり着いた人が何人かいます。デンマークの測量技師ウェッセルは 1797 年 3 月 10 日に王立デンマーク科学アカデミーへ論文を出し、1799 年に印刷されました[1]。ただしこの論文は長く読まれず、1895 年にユールが指摘するまで埋もれたまま。

パリで書店を営んでいたアルガンは、1806 年に幾何学的な作図で虚の量を表す方法についての試論を自費で少部数だけ配りました。表紙に自分の名前も入れていません[2]。ルジャンドルの手を経て別の人物へ渡り、著者を探す呼びかけに本人が応えて、ようやく世に知られます。

複素数という呼び名を置いたのはガウスで、1831 年のこと[3]。図のほうはアルガン図と呼ばれることが多く、先に印刷されたウェッセルの名前は残りませんでした。

参考

J J O'Connor, E F Robertson. Caspar Wessel. MacTutor History of Mathematics Archive, University of St Andrews.
J J O'Connor, E F Robertson. Jean Robert Argand. MacTutor History of Mathematics Archive, University of St Andrews.
Complex number. Encyclopedia of Mathematics, EMS Press.

点に置きかえた瞬間から、複素数の計算は平面の上の動きとして読めるようになります。

$z = a + bi$ を点 $(a, b)$ に置きかえると、複素数が平面に並びます。横が実軸、縦が虚軸。実軸には実数、虚軸には純虚数がのる。足し算は原点から引いた 2 本の矢印がつくる平行四辺形の対角線で、$z - w$ は点 $w$ から点 $z$ へ向かう矢印と向きも長さも同じ。$\overline{z}$ は実軸について、$-z$ は原点について、$-\overline{z}$ は虚軸についての対称な点です。1797 年のウェッセルから、名前を伏せて配ったアルガン、複素数という語を置いたガウスまでの経緯も添えました。