∣z∣=a2+b2 を根号のまま動かすと、途中でどうにも展開できなくなります。2 乗して共役の積に置きかえるところから始める。
∣z∣2=zz
z=a+bi を入れれば (a+bi)(a−bi)=a2+b2 で、たしかに ∣z∣2。根号が消えたぶん、あとは積の展開で進む。
∣z1+z2∣2 を展開する
2 乗を共役の積に直し、z1+z2=z1+z2 を使って開きます。
∣z1+z2∣2=(z1+z2)(z1+z2)=z1z1+z1z2+z2z1+z2z2=∣z1∣2+z1z2+z1z2+∣z2∣2
真ん中の 2 項は、たがいに共役。z1z2=z1z2 だから、足すと実部の 2 倍で実数になります。
引き算のほうは真ん中の符号が変わるだけ。
∣z1−z2∣2=∣z1∣2−(z1z2+z1z2)+∣z2∣2
(a+b)2 と (a−b)2 の関係と同じ形で並ぶ。
例:∣z∣=2、∣w∣=3、∣z+w∣=4 から ∣z−w∣
まず真ん中の項を求めます。∣z+w∣2=16 に当てはめる。
16=4+(zw+zw)+9
zw+zw=3。これを引き算のほうへ入れます。
∣z−w∣2=4−3+9=10
絶対値は 0 以上なので ∣z−w∣=10。真ん中の項が実数と分かっているから、そのまま数として動かせます。
対角線の 2 乗を足すと辺の 2 乗の和になる
上の 2 本を足すと、真ん中の項が打ち消し合います。
∣z+w∣2+∣z−w∣2=2(∣z∣2+∣w∣2)
16+10=26、右辺は 2(4+9)=26。合っています。
平行四辺形でいえば、2 本の対角線の 2 乗の和が、4 辺の 2 乗の和に等しいという関係。中線定理と同じ中身です。
そのまま計算する場合
数が具体的に与えられていれば、定義に入れるほうが早い。
| ∣3−4i∣ | 9+16=5 |
| ∣−2i∣ | 0+4=2 |
| ∣1+i∣ | 1+1=2 |
| ∣−7∣ | 49=7 |
実数と純虚数のところは、根号を通しても実数の絶対値に戻ります。∣−7∣=7、∣−2i∣=2。
積と商は先にほどく
∣z1z2∣=∣z1∣∣z2∣ と z2z1=∣z2∣∣z1∣ を使えば、展開せずに済みます。
∣(1+i)(2−i)∣ なら 2×5=10。展開してから測っても (1+i)(2−i)=3+i で 10 になり、同じ値です。
1−i3+4i は 25=252。分母の実数化をしなくても長さは決まる。
∣z∣=3、∣w∣=5、∣z−w∣=7 のとき、∣z+w∣ はどれですか。
__RESULT__
対角線の関係から ∣z+w∣2+49=2(9+25)=68 なので ∣z+w∣2=19 です。83 は 2(9+25) から 49 を引かずに足した形になります。
∣z∣=1 のとき z=z1
zz=∣z∣2=1 の両辺を z で割ると、共役が逆数に化けます。
z=z1
単位円の上の点だけで通る関係で、共役を分数に置きかえられるぶん式が動かしやすくなる。
∣z∣=1 のとき ∣z−2∣ と ∣1−2z∣ を比べてみます。どちらも 2 乗して展開する。
∣z−2∣2=(z−2)(z−2)=∣z∣2−2z−2z+4=5−2(z+z)
∣1−2z∣2=(1−2z)(1−2z)=1−2z−2z+4∣z∣2=5−2(z+z)
同じ式になりました。∣z∣=1 のあいだ、この 2 つの長さはいつも等しい。
2 点の隔たり
点 z1 と点 z2 の距離は ∣z1−z2∣。座標でいえば (a1−a2)2+(b1−b2)2 そのものです。
z1=5+2i、z2=1−i なら z1−z2=4+3i で、距離は 5。
∣(2+i)4∣ の値はどれですか。
__RESULT__
∣2+i∣=5 で、絶対値は積をまたいで通るため ∣(2+i)4∣=(5)4=25 です。625 は 54 で、根号を落としたまま 4 乗した形になります。
絶対値の問題は、根号を相手にするのではなく ∣z∣2=zz に置きかえるところから動きます。展開したあとに残る zw+zw が実数だと分かっているため、そこから先はふつうの式変形です。
$|z| = \sqrt{a^2+b^2}$ を根号のまま動かすと途中で詰まります。$|z|^2 = z\overline{z}$ に置きかえると、絶対値の問題が積の展開に変わる。$|z_1 + z_2|^2 = |z_1|^2 + z_1\overline{z_2} + \overline{z_1}z_2 + |z_2|^2$ で、真ん中の 2 項はたがいに共役だから実数です。$|z|=2$、$|w|=3$、$|z+w|=4$ から $|z-w| = \sqrt{10}$ を出す型、対角線の 2 乗の和が辺の 2 乗の和になる関係、$|z|=1$ のとき $\overline{z} = \dfrac{1}{z}$ を使う計算まで。
対角線の関係から ∣z+w∣2+49=2(9+25)=68 なので ∣z+w∣2=19 です。83 は 2(9+25) から 49 を引かずに足した形になります。