絶対値を含む不等式の証明|三角不等式
実数 , について、次が成り立ちます。
足してから絶対値をとった値は、絶対値をとってから足した値を超えません。向きが逆の 数を足すと打ち消し合うため、左辺のほうが小さくなり得る。
2 乗して差をとる
絶対値は場合分けの元ですが、この不等式は場合分けなしで示せます。両辺とも 以上なので、 乗して比べてよい。
と を使いました。展開して整理すると
はつねに成り立ちます。 が正なら等しく、負なら のほうが大きい。よって差は 以上で、証明が終わります。
等号が立つのは 、つまり のとき。 と が同符号か、どちらかが のときです。
が正のあいだ、 本のバーは同じ長さです。 が負に転じると青いバーだけが縮む。行って戻る動きが、そのまま打ち消し合いにあたります。
下からの評価もある
上限があれば下限も気になります。同じ不等式を組みかえると出てきます。
導き方は使い回しです。 と見て三角不等式を当てると 、つまり 。
と を入れ替えれば も出ます。 つ合わせて絶対値の形になる。
3 つ以上に伸ばす
項が増えても形は変わりません。
項の場合を繰り返し当てるだけ。 と、 段で届きます。
等号が立つのは つが同じ向きにそろったとき。 つでも逆を向いていれば、そのぶん左辺が縮みます。
本を継いで歩いた総距離が上のバー、出発点から到着点までの距離が下のバーです。途中で引き返せば、着いた地点は近くなる。
数直線で読む
は数直線上での 点間の距離です。この見方に立つと、三角不等式は 点についての言いかえになります。
から へ直接行く距離は、 を経由する距離を超えません。寄り道は近道より短くならない、という当たり前の事実です。
が と のあいだにあるときだけ等号。外にあれば、そのぶん遠回りになります。
場合分けが要る場面
証明ではなく、絶対値を含む不等式を解くときは話が別です。 のような問題では、絶対値の中身が変わる点で区切って場合分けします。
区切りは と 。 つの区間それぞれで絶対値を外し、解いた結果をその区間と照らし合わせる。
証明では 乗して逃げられても、解く場面では中身の符号を追う必要があります。この つを混同しないでおくと、方針が定まりやすい。









