半分に切ったばねは硬くなる(フックの法則とばね定数)
ばねを引くと、引いた長さに比例した力で戻そうとします。 倍伸ばせば 倍の力、 倍なら 倍。この比例関係がフックの法則です[3]。
は自然の長さからのずれ、 はばねの硬さを表す定数。負号は、力が変位と逆を向くことを示しています。伸ばせば縮む向きに、縮めれば伸びる向きに働く。
ばね定数はばねの硬さそのもの
をばね定数といい、単位は N/m です[2]。 伸ばすのに何 N 要るか、という読み方になる。
が大きいほど硬いばね。同じ力をかけても、 が 倍なら伸びは半分になります。
値は材質と形で決まる。太い針金を使えば硬くなり、巻き数を増やせばやわらかくなります[1]。
例:ばねばかりの伸びを出す
のばねに、質量 のおもりを吊るします。つり合いの位置では、ばねの力と重力が等しい。
伸びます。おもりを 倍にすれば伸びも 倍で、 になる。
ばねばかりの目盛りが等間隔なのは、この比例のおかげです。目盛りが詰まったり広がったりしていたら、比例していない証拠になる。
比例が成り立つのは限界の内側だけ
フックの法則は、どこまでも成り立つわけではありません[2]。引きすぎると比例から外れ、さらに引くと元の長さへ戻らなくなる。
比例が崩れ始める点を比例限界、手を離しても戻らなくなる点を弾性限界といいます。弾性限界を超えた変形は残ってしまう。
伸びきったばねばかりが使い物にならないのは、この線を越えたからです。

ばねにたくわえられるエネルギー
グラフの直線の下にできる三角形の面積が、ばねにたくわえられたエネルギーです。底辺 、高さ の三角形になる。
伸びの 乗で増えます。 倍伸ばせばエネルギーは 倍。力が 倍になり、その力で動かす距離も 倍になるためです。
例:ばねにためたエネルギー
のばねを 伸ばした場合を計算する。
手を離せば、この が運動エネルギーへ移ります。おもちゃのばね鉄砲が飛ぶのは、この受け渡しが起きているから。
2 本を横に並べると硬くなる
本のばねを横に並べ、同じ物体を支えさせます。どちらのばねも同じだけ伸びる形になる[4]。
伸びを とすると、それぞれが出す力は と です。合計が全体の力になる。
つまり合成されたばね定数は、単純な足し算です[4]。
本あたりが受け持つ力が減るので、全体としては硬くなる。この並べ方を並列といいます。
縦につなぐとやわらかくなる
今度は 本を縦につなぎ、下端におもりを吊るします。上のばねも下のばねも、同じ大きさの力で引かれる[4]。
それぞれの伸びは と で、全体の伸びはその和になります。
と見比べると、逆数どうしの足し算になっている[1]。
伸びる場所が増えるので、全体はやわらかくなります。このつなぎ方を直列という。
例:同じばね 2 本を組み合わせる
のばねを 本使います。並列なら で 。
直列は逆数で足す。
のおもりを吊るすと、 本なら 、並列なら 、直列なら 伸びます。
伸びが共通で、力を分け合う。ばね定数は足し算になり、全体は硬くなる
力が共通で、伸びを足し合わせる。逆数が足し算になり、全体はやわらかくなる
どちらも「共通なのはどちらの量か」を見れば導けます。並列は伸び、直列は力。ここさえ押さえれば、式を覚えていなくても組み立てられる。
半分に切ると硬くなる
ばねを半分に切ると、ばね定数は 倍になります[1]。直列の式を逆にたどると分かる。
長さ のばねは、長さ のばね 本を直列につないだものと同じ。だから で、 になります。
長さとばね定数は反比例する。同じ針金でも、短く巻けば硬く、長く巻けばやわらかくなります。
ばね定数は、材料の硬さだけでなく巻き数と針金の太さで決まります。同じ材質でも、細い針金をたくさん巻けばやわらかいばねになる。
コイルの輪の数。増やすほど変形できる場所が増えるので、ばね定数は小さくなる。
例:長さを 3 倍にする
同じ針金を 倍の長さに巻き直すと、ばね定数は になります。
のばねなら です。同じおもりで伸びは 倍になる。
台ばかりのばねが太くて短いのは、大きな荷重でも縮みすぎないようにするため。
つないだばねの見分け方
ばね定数 と のばねを縦につなぎ、下端に のおもりを吊るします。全体の伸びはいくらですか。















縦につなぐと、どちらのばねも 6.0 N で引かれます。伸びは 6.0/60=0.10 m と 6.0/30=0.20 m で、和は 0.30 m。合成ばね定数 20 N/m から 6.0/20 と計算しても同じ値になります。ばね定数を足して 90 N/m とすると並列の式なので合いません。