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仕事の原理をてこと動滑車と斜面で確かめる

の荷物は で引き上がります。動滑車を つはさむと、必要な力は まで落ちる。

ただしロープを引く長さは 倍になります。力と距離を掛けた値は、道具を使っても使わなくても同じ。これを仕事の原理といいます。

仕事は力と距離の積

物体を動かす向きにかかる力を 、動いた距離を とすると、した仕事は次のようになる。

単位は J で、 の力で 動かしたときの値。

高さ まで質量 の荷物を持ち上げるなら、必要な仕事は になる。この値は、途中でどんな経路をとっても変わりません。

力で節約したぶんは距離で払う

道具は力を小さくする。そのかわり動かす距離が伸びます。

ガリレオが 年に書いた言い方が、いちばん短くまとまっています。力で節約したものは、距離で足さなければならない。

摩擦がなければ、この積はいつも等しくなる。仕事の原理は、エネルギー保存則を道具の話に言いかえたものです。

動滑車は支えるロープの本数で決まる

動滑車では、荷物を支えるロープが 本になる。 本あたりが受け持つ力は半分です。

引くほうも 本ぶん短くする必要があるので、ロープを引く長さは持ち上げる高さの 倍になる。

例:3 つの道具で同じ荷物を上げる

質量 の荷物を の高さまで上げます。まっすぐ持ち上げるなら

動滑車を使うと で足ります。ロープを引く長さは になる。

傾き 度の斜面を使う場合、必要な力は です。斜面に沿って進む距離は

てこで支点からの長さを にとれば、力は 、動かす距離は 。積はやはり になります。

力の倍率は距離の倍率の裏返し

道具が力を何倍にするかを、機械の倍率といいます。人が加える力を とその動く距離を 、荷物にかかる力を と持ち上がる距離を と書く。

摩擦のない理想の場合、倍率は距離の比で決まります。

力が 倍になる道具では、動かす距離が 分の に縮む。片方を決めれば、もう片方は選べません。

摩擦があると力の倍率が落ちる

実際の道具では、軸や面で摩擦がはたらきます。そのぶん余分に力が要る。

荷物が受けとった仕事を 、人が加えた仕事を とすると、その比が効率になります。

例:動滑車の効率

先ほどの動滑車で、実際には 必要だったとします。加えた仕事はこうなる。

荷物が受けとった仕事は のままです。差の は摩擦で熱に変わりました。

効率は パーセント。倍率も ではなく にとどまる。

理想の倍率

距離の比だけで決まる。動滑車なら支えるロープの本数、てこなら腕の長さの比

実際の倍率

力の比で測った値。摩擦のぶん理想より小さくなり、 つの比が効率になる

道具が変えているのは力の大きさだけ

仕事が減らないなら、道具に意味はないのかという話になります。意味はある。

人が一度に出せる力には限りがある。 は無理でも、 なら出せます。道具は、越えられない壁を距離に置きかえて回避する装置です。

同じ理由で、時間は節約できません。ゆっくり長く引くことになるので、かかる時間はむしろ延びる。

道具を使っても仕事が減らないのは、エネルギー保存則のあらわれです。荷物が得た位置エネルギーは、人がした仕事から来ている。

外から出入りがなければ、系の全エネルギーは変わらないという法則。道具は形を変えるだけで、量を作り出しません。

支えるロープを増やすとどうなるか

動滑車を組み合わせると、荷物を支えるロープの本数が増えます。 本なら、必要な力は になる。

引く長さは 倍です。 本で支えれば で足りますが、 上げるのに 引くことになる。

限界は摩擦が決める。滑車を増やすほど軸の摩擦が積み重なり、効率が落ちていきます。

どこまで力を減らせるか

質量 の荷物を 持ち上げます。荷物を 本のロープで支える組み合わせ滑車を使うとき、引く力と引く長さはいくらですか。摩擦は無視します。

__RESULT__

荷物の重さは です。 本で支えるので力は 分の 、引く長さは 倍の になります。積はどちらも で一致する。

$60\ \mathrm{kg}$ の荷物は $588\ \mathrm{N}$ で持ち上がりますが、動滑車をはさめば $294\ \mathrm{N}$ で足ります。そのかわりロープを引く長さは $4.0\ \mathrm{m}$ に伸び、掛けた値は $1176\ \mathrm{J}$ のまま動かない。てこでも斜面でも同じで、力で節約したぶんは距離で払うことになります。ガリレオが $1594$ 年に書いたとおりの結論。摩擦を入れると加える仕事だけが増えるので、その比が効率になります。支えるロープを増やすほど力は減るのに、滑車の数に限界がある事情まで。