単振動と等速円運動(位相・速度・加速度のずれ)
一定の速さで円周をまわる点に、横から光を当てて壁に影を落とします。影は左右に往復し、その動きがちょうど単振動になります[1]。
円の半径が振幅、円運動の角速度が角振動数。 つの運動は別物に見えて、片方をもう片方の影として作れます。
位置も速度も加速度も、この見方から 行ずつ出てきます。位相のずれがなぜ と なのかも、円の図で読める。
影の位置
半径 の円周上を角速度 でまわる点を考えます。時刻 での角度を とする。
この点の 座標が影の位置です。
は円の半径そのもの、つまり振幅。 は での角度で、初期位相といいます[2]。
角速度 は 秒あたり何ラジアン進むかを表します。 周に 要るので、周期は 。
速度は接線の影
円運動の速度は、円周に接する向きを向いています。大きさは で一定。
この接線ベクトルを 軸へ射影したものが、影の速度になります。
大きさの最大値は 。円運動の速さがそのまま上限になります。
影がいちばん速いのは、点が円の上端か下端にいるときです。そのとき接線が 軸と平行になり、射影で長さを失いません。
そこは影の位置でいえば中央、 の場所。単振動でいちばん速いのがつり合いの位置になる理由です。
加速度は向心加速度の影
円運動の加速度は、いつでも中心を向いています。大きさは 。
これを射影します。
最後の形が単振動の定義そのものです。加速度が変位に比例し、向きが逆になる[2]。
中心向きのベクトルを射影すれば、必ず原点を向く成分になります。だから復元力の形が自動的に出てくる。
円運動の速度は接線を向く
円運動の加速度は中心を向く
射影すると v と a の式が出る
a = -ω²x が残る
位相のずれ
つの式を並べると、ずれ方が見えます。
| 量 | 式 | からのずれ |
|---|---|---|
| 位置 | ||
| 速度 | 進む | |
| 加速度 |
円の図で言えば、速度の向きは位置の向きから 回っていて、加速度の向きは 回っています。回転する図形の中では、微分が の回転にあたる。
だから 回微分すれば 回って、もとの向きの逆になります。 の負号はここから来ています。
例:数値で追う
振幅 、周期 秒の単振動を考えます。。
加速度の最大値が を超えました。振幅が小さくても、周期が短ければ加速度は大きくなります。
が 乗で効くためです。周期を半分にすれば、同じ振幅でも加速度は 倍になる。
例:グラフから読む
つのグラフを縦に並べると、山と谷の位置がずれて並びます。
が最大のとき は 、 は最小。 が のとき は最大か最小で、 は 。
この対応を覚えるより、円の図を思い出すほうが早い。点が右端にいるとき、速度は真上か真下を向いていて 成分を持ちません。
円周上の点は右端。速度は縦向きで射影が 、加速度は左向きで射影が最大
円周上の点は上端か下端。速度は横向きで射影が最大、加速度は縦向きで射影が
例:初期条件から振幅と位相を出す
で 、、 とします。
円の図では、 の点の座標が にあたります。半径は 成分から出る。
位相はその点の偏角です。、 から 。
振幅も位相も、円の上の 点を決めれば同時に決まります。三平方の定理と偏角を使うだけで済む。
初期条件を という 1 組の座標に置きかえるのが要点です。
速度を で割ると長さの単位になり、位置と同じ図の上に並べられる。
円運動は 2 つの単振動でできている
逆向きにも読めます。 方向と 方向に、位相が ずれた同じ振幅の単振動を重ねると、等速円運動になります[2]。
位相差を にすると、点は斜め の直線の上を往復します。 で円、その中間では楕円。
位相差だけで直線から円まで連続に変わる。オシロスコープに映るリサジュー図形は、この対応を使って位相を読みとる道具です。
つまずきやすいところ
円をひとつ描いて、点をまわす。単振動の式は、その図を 軸へ落としたものとして全部並んでいます。
振幅を 倍にし、周期を半分にしたとき、単振動の最大加速度は何倍になりますか。
- 倍
- 倍
- 倍















amax=Aω2 で、ω=2π/T です。A が 2 倍、ω が 2 倍なので ω2 は 4 倍。合わせて 8 倍になります。