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次元解析と単位の組み立て|式が合っているかを単位で確かめる

テストで書いた式が正しいかどうかは、答えを知らなくてもある程度は確かめられます。両辺の単位を見ればよい。

長さと時間を足すことはできません。同じように、左辺が速さの単位なら右辺も速さの単位でなければならない[1]。この確かめ方を次元解析といいます。

単位はすべて 7 つから組み立てられる

国際単位系では、基本単位を つ決めています[3]。秒、メートル、キログラム、アンペア、ケルビン、モル、カンデラ。

力学で使うのは、このうち つだけです。m と kg と s。ほかの単位はすべて、この つの掛け算と割り算で書けます[3]。

組立単位の中身をたどる

ニュートンは から出ます。質量に加速度を掛けたものなので、次のように分解できる[2]。

ジュールは「力 距離」なので、これにメートルを掛けます。

ワットは 秒あたりのジュールで 、パスカルは あたりのニュートンで 。単位を覚えていなくても、定義の式からたどれます。

次元は単位より一段抽象的

メートルもフィートも、表しているのは長さです。単位の選び方を抜きにして「長さである」ことだけを言うとき、次元という言葉を使います[2]。

力学で使う次元は つ。質量を 、長さを 、時間を と書く。

速さは長さを時間で割ったものなので 、加速度は 、力は です。

次元の計算に使うルール

計算のしかたは つ覚えれば足ります[4]。

足し算と引き算ができるのは、次元が同じものどうしだけです。
掛け算と割り算では、次元も同じように掛けたり割ったりします。
三角関数や指数関数、対数の中身は、必ず無次元でなければなりません。
や のような数の係数には次元がありません。

つめが見落とされやすいところです。 が使えるのは、 が で無次元になるから。

角度も無次元です。ラジアンは弧の長さを半径で割った値なので、長さが約分されて消えます。

例:等加速度の式を確かめる

よく使う式を見てみます。

左辺は です。右辺の第 項は 。

つの項がすべて でそろいました。係数の には次元がないので、確かめる必要もありません。

例:まちがえた式をあぶり出す

加速度の式を思い出せず、 と書いてしまったとします。

右辺の第 項は です。左辺は なので合いません。

計算する前に誤りだと分かります。次元が合わない式は必ずまちがい[4]。逆は言えないので、合っていても正しいとは限りません。

例:式の形そのものを次元から出す

単振り子の周期が、糸の長さ 、重力加速度 、おもりの質量 で決まるとします。形を次のように置く[1]。

は数の係数で無次元です。両辺の次元を書き出す。

指数を突き合わせます。 は左辺にないので 、 から 、 から 。

つまり です[4]。質量が入らないことが、計算せずに出てきました。

の値までは分かりません。運動方程式を解くと だと分かる。次元解析は形を教えても、数までは教えてくれない。

例:空気抵抗の式を確かめる

速さの 乗に比例する抵抗力は、次の形で書かれます。

は空気の密度、 は断面積です。右辺の次元を出す。

力の次元と一致しました。 は無次元の係数なので、次元には効きません。

次元が合わない

その式は必ずまちがい。計算するまでもなく捨てられる

次元が合う

まちがいとは言い切れないだけで、正しいとは限らない。係数や符号は次元では見えない

次元が同じでも別の量になることがある

仕事とトルクは、どちらも です。単位で書けば両方とも になる。

それでも別の量です。仕事はスカラーで、トルクはベクトル。次元が同じでも、足したり比べたりはできません。

トルクを と書き、仕事を J と書き分けるのは、この混同を避けるため。次元は必要な条件を与えるだけで、量の正体までは決めません。

似た例に、角度の単位ラジアンがあります。弧の長さを半径で割った値なので次元は無次元ですが、単位としては書きます。

半径と同じ長さの弧に対する中心角。長さどうしの比なので次元は持たず、rad は目印として付けている。

単位から答えの形を読む

ある物理量が、密度 、速さ 、長さ の積の形で書けるとします。この積の次元が圧力と同じになるのは、どの組み合わせですか。

__RESULT__

圧力の次元は です。密度は 、速さの 乗は なので、掛けると になって一致します。長さを掛けると が余るので合いません。流体力学で出てくる動圧が、まさにこの形です。

参考文献

Dimensional Analysis - John Denker, av8n.com
Dimension und Einheit - Prof. Dr. Klaus Eckhardt, Aufgabomat
SI base units - Bureau International des Poids et Mesures
Analyse dimensionnelle - Université de Bordeaux, Introduction à la Physique
$v = v_0 + at^2$ が誤りだと見抜くのに計算は要りません。左辺は $\mathsf{L}\mathsf{T}^{-1}$、右辺は $\mathsf{L}$ で次元がそろわないから。力学の単位は m と kg と s の $3$ つから組み立てられ、N も J も Pa も定義の式からたどれます。単振り子の周期を $T = C m^{\alpha}L^{\beta}g^{\gamma}$ と置いて指数を突き合わせると、質量が入らないことと $\sqrt{L/g}$ の形が計算せずに出てくる。係数までは出ないこと、仕事とトルクのように次元が同じでも別の量があることまで扱いました。