横に投げても落ちる時間は変わらない(高校物理の水平投射)
机の端から 個のボールを水平にはじき、同じ瞬間にもう 個を真下へ落とします。床に当たる音は 回しか聞こえません。
強くはじいても弱くはじいても同じです。落ちるのにかかる時間は、机の高さだけで決まります[1]。
初速はこの式に入っていません。水平に投げた速さは、どこへ落ちるかを変えるだけで、いつ落ちるかを変えない。
横と縦は口を出し合わない
水平投射を扱うときは、運動を 方向に分けます[2]。
水平方向には力がはたらきません。だから速度は初速のまま変わらない。
鉛直方向には重力だけがはたらきます。こちらは初速 の自由落下と同じです。
つの式に共通するのは時刻 だけ。 の式に は出てこないし、 の式に は出てきません。
この独立性が、冒頭の実験の答えです。横向きの速さをいくら変えても、 の式には触れられない。
例:高さ 20 m から秒速 15 m で投げる
まず時間を出します。 とおいて について解く。
この 秒を水平の式に入れると、着地点までの距離が出ます。
秒速 で投げたなら 、秒速 なら 。時間はどれも 秒のままです。
順序が大事で、先に時間を出してから水平へ持っていく。この向きで解けば、水平投射の問題はほとんど片づきます。
高さから落下時間を出す
その時間を水平の式へ入れる
水平到達距離が決まる
軌道は放物線になる
本の式から を消すと、軌道そのものの式が出ます。 を代入する。
の 乗に比例して下がる形なので、放物線です[2]。頂点は投げ出した点そのもの。
が大きいほど の係数が小さくなり、放物線が横へ引き伸ばされます。速く投げるほど平べったい弧を描く。
高さ 、秒速 なら です。
着地の速さと向き
水平の速さは最後まで のまま。鉛直の速さは で増え続けます。
秒のとき 。 つを合成します。
速度が水平となす角は から 。投げ出したときは で、落ちるにつれて立っていきます。
エネルギーで確かめると 。同じ値になりました。
投げた瞬間から着地まで変わらない。 のまま
から始まり で増える。着地では
例:落ちる的をねらう
木にぶら下がった的をまっすぐねらって撃ちます。撃った瞬間に、的が手を離して落ち始める。
外れそうに思えますが、当たります。弾も的も同じ だけ落ちるためです[2]。
重力がなければ、弾はねらった直線の上を進んで的に当たったはず。実際には両方が同じだけ下へずれるので、ずれた先で出会います。
弾の速さは当たるかどうかに関係しません。速さが変えるのは、どの高さで当たるかだけ。遅い弾なら低いところで、速い弾なら高いところで出会います。
ただし的が地面に着く前に届く必要があります。遅すぎると、出会う前に的が着地してしまう。
この的当ての話は、重力が両方に同じだけはたらくことだけを使っています。
だから月でも成り立つし、 の値を知らなくても当たると言い切れる。
空気抵抗があると崩れる
ここまでの式は空気抵抗を無視しています。実際には水平の速さも落ちていくので、到達距離は計算より短くなる[3]。
崩れ方は物体で違います。鉄球のように重くて小さいものでは、数十メートルの落下ならほとんど影響がありません。
紙や発泡スチロールでは最初から合いません。抵抗が重力に対して大きいためです。
同時着地の実験も、軽いものでやると崩れます。水平に投げた側のほうが速さが大きく、そのぶん抵抗も大きくなって、鉛直方向の落ち方まで変わってしまう。
つまずきやすいところ
横と縦を切り離す。この一手で、 次元の運動が知っている つの運動の重ね合わせになります。
高さ の崖から、水平に秒速 で石を投げます。着地までにかかる時間はいくらですか。
- 秒
- 秒
- 秒















時間は高さだけで決まるので t=2×45/9.8=3.0 秒です。秒速 20 m という値は、水平到達距離 60 m を出すときに使います。