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English

同次形の微分方程式 - まず y/x をひとかたまりの変数へ

右辺が だけで書ける 1 階の微分方程式を同次形といいます[1]

とひとかたまりに置くと、変数分離形に変わります[4]。分けられない式を、置き換えで分けられる形へ移す。その最初の例がこの型です。

同次関数とは何か

もとの定義は関数の側にある。 がすべての で成り立つとき、 次の同次関数といいます[1]

の形で、 が同じ次数の同次関数なら、この方程式は同次形です。

このとき の分母と分子で が打ち消し合うので、右辺は 次同次になる。 次同次の 2 変数関数は だけの関数として書ける。

例:同次関数かどうかを見る

を代入します。

次の同次関数です。 なら となり、 のべきでくくれない。同次ではありません。

は分子も分母も 次なので、比は 次。 と書き直せば、 だけの式であることが目で見える。

同次という言葉には 2 つの意味がある

線形微分方程式でも同次という言葉を使いますが、意味が違う[1]。あちらは右辺が 、つまり非同次項がないことを指す。

は同次な線形方程式ですが、この記事の同次形ではありません。

同じ語が別の概念に当てられているだけなので、文脈で読み分ける。1 階で の形なら、こちらの同次形。

置き換えると分けられる形になる

と置きます。 で微分すると、積の微分から次が出る。

これをもとの方程式へ代入します。左辺が 、右辺が です。

右辺は だけ、左辺の は独立に分けられる。変数分離形になりました[2]

積分して を求めたら、最後に を戻す。手順としては置き換え、分離、積分、戻しの 4 段。

例: を解く

なので です。分母が定数になり、いちばん簡単な形。

積分すると になる[2] を戻します。

を掛けるところを忘れると、まったく別の関数になる。戻しは最後の一手ですが、落としやすい一手。

例: を解く

右辺を と直すと、 と読めます。

を積分して となる。

を戻して両辺に を掛けました。右辺の括弧の中が負になる範囲では、実数の解がない。

拡大しても解が解のまま

同次形には、はっきりした幾何的な意味がある。傾きが だけで決まるので、原点を中心に図全体を 倍しても方向場が変わらない。

そのため 1 本の解曲線を 倍すると、また別の解曲線になる。解の族は原点中心の相似変換で閉じている。

さきほどの で確かめます。 へ移すと、定数が に変わっただけの同じ族へ入る。

原点を通る直線が解になる場合

を満たす があると、 の右辺が になる。 が定数解です。

戻すと 、原点を通る直線になる。変数分離で割った先に落ちる定数解が、ここでは直線として現れる[2]

が恒等的に成り立つときは、すべての が定数解。方程式は で、解は原点を通る直線すべてです。

例:定数解を拾う

を解きます。 なので

が定数解で、 にあたります。 として分離する。

を戻すと次が得られる[2]

この族に は入っていない。落とした定数解を別に書き添える。

平行移動で同次形へ持ち込む

分子と分母が 1 次式の分数も、原点をずらせば同次形になる[3]

2 本の直線 が 1 点で交わるとします。その交点を とする。

と置くと定数項が消え、同次形になる。交点へ原点を運ぶ操作です。

2 直線が平行なときはこの手が使えない。かわりに と置くと、変数分離形に落ちる。

例:交点へ原点を移す

を考えます。2 直線の交点は

と置くと、分子は 、分母は になる。

と置きます。

分離して積分する。左辺は逆正接と対数に分かれます。

、さらに を戻せば答えです。陰関数のままで止める。

問題 1:同次関数の次数を答える

次の 3 つについて、同次関数かどうかを判定し、同次なら次数を答えよ。

解答 1

1 番目は を代入すると です。 次の同次関数。

2 番目は となり 次です。 としているので絶対値は要らない。

3 番目は で、 のべきが 2 通り現れます。くくり出せないので同次ではない。

問題 2:基本の同次形

を解け。

解答 2

なので です。、つまり が定数解。

として分離します。

を戻して整理する。

定数解 はこの族に含まれないので、別に書き添えます。

問題 3:分子と分母を見て同次形と気づく

を解け。

解答 3

分子も分母も 1 次の同次関数なので、比は 次です。 と置きます。

分離して積分する。

したがって です。

極座標に直すと となり、対数らせん。同次形の解が原点まわりの相似な形になる例です。

問題 4:初期条件つき

のもとで解け。

解答 4

問題 2 と同じ形なので、一般解は です。

を代入すると より 、つまり

分母が になる で発散するので、初期値を含む範囲は になる。

問題 5:平行移動が要る形

を同次形に直せ。

解答 5

を連立します。足すと 、代入して

と置きます。

もとの方程式は になり、問題 3 と同じ形。あとは で解けます。

問題 6:平行移動が効かない形

を解け。

解答 6

2 直線が平行なので、交点がない。平行移動では同次形になりません。

と置きます。 なので、次のように書き直せる。

分離して積分します。左辺の分数は と分けられる。

を戻せば答えです。同次形にならない形でも、別の置き換えで分けられる場合がある。

を同次形として解くとき、 と置いた後に得られる式はどれか。

__RESULT__

右辺を で割ると になります。ここから を引くと です。引き算を忘れると 3 番目を選んでしまいます。

よくある誤り

と置いたあと としてはいけません。 なので です。
から を引き忘れると、まったく別の方程式を解くことになります。
最後に を戻し忘れると、答えが のままで終わります。
となる で割っているので、原点を通る直線の解が落ちます。
線形方程式の同次と混同すると、判定を誤ります。こちらは右辺が の関数かどうかで決まります。
分子と分母の次数が違う場合は同次形になりません。同じ次数であることを先に確かめます。
2 直線が平行なときは平行移動が効きません。 と置く別の手に切り替えます。

参考文献

Homogeneous differential equation - Wikipedia(英語)
Ähnlichkeitsdifferentialgleichung - Wikipedia(ドイツ語)
Ecuación diferencial ordinaria - Wikipedia(スペイン語)
Separation of variables - Wikipedia(英語)
右辺が $y/x$ だけで書ける 1 階方程式が同次形です。$u = y/x$ と置くと変数分離形に変わる。ただし $y = ux$ なので $y' = u + xu'$ となり、ここが落とし穴。同次関数の定義から始め、線形方程式でいう同次との違いも整理します。傾きが $y/x$ で決まるため、原点から出る半直線の上では方向場の向きがそろい、解曲線どうしは原点中心の相似変換で移り合う。1 次式の分数を平行移動で同次形へ持ち込む手まで、計算問題つき。