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級数が通らないなら指数を 1 つ足す|微分方程式のフロベニウスの方法

を で解こうとすると、 の係数が になって が強制される。 も同じで、結局すべてが になる。

先頭に を掛けて とすれば通る。 が整数でなくても構わない。

このひと工夫がフロベニウスの方法である。指数 をどう決めるかが、方法のすべてを担っている[4]。

特異点の種類

2 階の線形方程式を標準形で書く。

と が で解析的なら、そこは通常点である。ふつうのべき級数でよい。

か が で発散していても、 と の両方が解析的なら、 は確定特異点と呼ばれる[1]。発散の勢いが、 と までに収まっている場合である。

このとき方程式は次の形に書き直せる。

、 で、どちらも のまわりでテイラー展開できる。

発散の勢いがこれより強い点は不確定特異点と呼ばれ、フロベニウスの方法が届かない。

のように、どんな を掛けても級数にならない解が現れる。

が出てくる理由

と を定数 、 で置き換えてみる。

オイラー型の方程式である。 を入れると でくくれて、 の 2 次方程式が残る。

確定特異点をもつ方程式は、 でこのオイラー型に近づく。だから解の先頭も になる[1]。

級数はその補正である。 で骨格を決め、 で肉を付ける。

決定方程式の導出

を代入する。 としておく。

、 を掛けて足し合わせ、 の係数だけを見る。 の項しか寄与しない。

なので、括弧の中が 。これが決定方程式で、根を 、 とする()。

漸化式と、つまずく場所

と書く。 の係数を並べると、次の形になる[4]。

を決めるには で割ることになる。割れるかどうかが分かれ目である。

の根は と だけなので、 になるのは がもう一方の根に一致するときに限る。

大きいほうの根 から出発すれば、 は でどちらの根より大きく、割り算はいつでもできる。 の級数は必ず作れる[1]。

困るのは のほうで、 が正の整数 のとき、 で になる。

決定方程式で と を出す

の級数は無条件で作れる

が整数かどうかを見る

整数なら 側の割り算が止まる

3 つの場合

いま見た割り算がどこで止まるかで、解の形が 3 通りに分かれる。

根の関係1 つ目2 つ目
が非整数
が正整数

3 行目の は になることがある[2]。整数差でも対数が出ない例が実際にあり、あとで見る。

例:整数差でない場合

で割ると 、。決定方程式は で、 である。

差は で整数ではない。両方の根から級数が作れる。

代入して の係数を集めると、次の漸化式が出る。

では となる。

では 、つまり になる。

は原点で発散する。 が付いているためで、級数のほうは行儀がよい。

例:ベッセル方程式

、 なので、決定方程式は 。根は である[3]。

漸化式は の項から 2 つ飛びになる。

を見ると で、括弧は 。したがって で、奇数番はすべて消える。

での漸化式は となり、 関数で書きくだせる[3]。

例:整数差でも対数が出ない場合

をとる。根は と で、差はちょうど 。整数差である。

規則どおりなら、小さいほうの根で の割り算が止まるはずだ。実際に係数を見る。

確かに になった。ところが漸化式の相方は で、これは である。 という式になり、 は何でもよい。

割り算が止まっても、矛盾が出ない。 と選べば、対数なしで級数が完成する。

が付いているだけで、中身は三角関数そのものである。

例:重根で対数が出る場合

をとる。決定方程式は で、 の重根である。級数解は 1 本しか作れない。

2 つ目の解は対数を含む形になる[3]。

はオイラーの定数、 は調和数である。

で は の速さで下へ抜ける。円形の膜の振動で中心が有限であるべきときは、この解を捨てる理由になる。

なぜ対数が出るのか

場合分けを覚えるより、なぜそうなるかを 1 度たどるほうが早い。使うのは階数低下法である。

が 1 つ目の解のとき、2 つ目は次の積分で作れる。

なので となり、。

だから、被積分関数の先頭の指数は である。

決定方程式の根と係数の関係から 、つまり 。代入する。

と書けば、被積分関数は の形になる。

積分したとき が出るのは、 の項があるときだけ。 がそれにあたる。

が整数でなければ、 はどこにも現れない。積分はべきのまま済み、対数は出ない。

が整数なら が存在する。 なら対数が出て、 なら出ない。重根の では が保証されるので、対数は必ず出る[2]。

非整数の差

の項が作れない。2 本ともきれいな級数になる

整数の差

の項が作れる位置にある。係数が なら対数は出ず、 でなければ出る

3 つの場合分けは、この 1 本の積分から自動的に出てくる。

収束半径

級数がどこまで使えるかは、複素平面で決まる。原点以外の特異点のうち、いちばん近いものまでの距離が収束半径である[1]。

ベッセル方程式では 以外に有限の特異点がないので、級数は全平面で収束する。

ルジャンドル方程式なら が特異点で、原点からの距離は 。原点まわりの級数は でしか使えない。

同じ手順で出る関数

確定特異点をもつ方程式は、名前の付いた関数を次々に生む。

ベッセル方程式は に確定特異点をもち、 と を与える。
ルジャンドル方程式は に確定特異点をもち、多項式解が球面調和関数につながる。
超幾何方程式は 、、 の 3 点だけに確定特異点をもつ。
合流型超幾何方程式は と を融合させたもので、クンマー関数を与える。
ラゲール方程式やエルミート方程式も、この枠に収まる。

超幾何方程式が特別なのは、確定特異点が 3 点だけの方程式が本質的にこれ 1 つに限られるからである。3 点は座標変換で 、、 に送れる。

検算のしかた

級数を出したら、決定方程式の根と先頭の指数が一致しているかをまず見る。ここがずれていれば、代入のどこかで添字を間違えている。

次に、最初の数項を方程式に入れて の低いべきから順に消えるかを確かめる。、、 の 3 つで足りることが多い。

整数差の場合は、 の行を必ず書き出す。 の両側に何が残るかを見て、 なら対数は要らない。

の 2 つの解は、どの形になりますか。

  • どちらも対数なしの級数
  • 片方に が付く
  • どちらにも が付く
__RESULT__

決定方程式は で、根は です。差は で整数ではないので、両方の根から対数なしの級数が作れます。対数が出るかどうかは、根の差が整数かどうかだけで決まります。

決定方程式で骨格を決め、根の差が整数かを見る。フロベニウスの方法は、この 2 つの判断でできている。

参考文献

Singular Points and the Method of Frobenius/06%3A_Series_Solutions_of_Linear_Equations/6.03%3A_Singular_Points_and_the_Method_of_Frobenius). Differential Equations, LibreTexts.
*The Method of Frobenius III*. Ximera, The Ohio State University.
Bessel Functions of the First and Second Kinds. NIST Digital Library of Mathematical Functions.
Frobenius Method. Wolfram MathWorld.
$x^2y''+xy'+(x^2-\nu^2)y=0$ を素のべき級数で解こうとすると、係数がすべて $0$ になります。先頭に $x^{\nu}$ を掛ければ通る。指数を決めるのは決定方程式 $r(r-1)+p_0r+q_0=0$ で、$x \to 0$ でこの方程式がオイラー型に近づくからです。漸化式で $a_n$ を出すには $F(r+n)$ で割ることになり、$r_1-r_2$ が整数のときだけ割り算が止まる。階数低下法の積分を書くと被積分関数が $x^{-1-N}$ で始まり、$x^{-1}$ の項が作れるかどうかが対数の有無を決めます。$\nu=1/2$ は整数差でも対数なし、$\nu=0$ は重根で $Y_0$ に $\ln x$ が出る。