未定係数法と定数変化法の計算演習
非同次線形微分方程式の特殊解を求める方法として、未定係数法と定数変化法の 2 つを学びました。理論を理解していても、実際に手を動かすと符号ミスや場合分けの見落としでつまずくことが少なくありません。この記事では計算の流れを一つひとつ確認しながら、典型的な問題を解いていきます。
前提の確認
2 階定数係数非同次線形微分方程式
の一般解は「同次方程式の一般解 」+「非同次方程式の特殊解 」で構成されます。 は特性方程式から求まるので、問題は をどう見つけるかです。
が多項式・指数関数・三角関数やそれらの積のとき使えます。特殊解の形を予想し、係数を決定します。適用範囲は限られますが計算が軽いのが利点です。
の形に制限がありません。同次解の定数を関数に置き換えて特殊解を構成します。汎用的ですが積分が重くなることがあります。
演習 1:多項式の右辺(未定係数法)
を解きます。まず特性方程式 から が得られるので、同次解は
です。右辺 は 2 次多項式なので、特殊解を と置きます。各微分を計算すると
元の方程式に代入すると
左辺を整理します。
両辺の係数を比較すると
したがって であり、一般解は
です。
の特殊解を未定係数法で求めるとき、 の正しい仮定はどれですか?
演習 2:指数関数の右辺(未定係数法)
特性方程式 から同次解は です。
右辺 に対して通常なら と置きますが、 はすでに同次解に含まれています。この場合は を掛けて と修正します。
元の方程式に代入すると
でくくると
よって となり、 が特殊解です。一般解は
となります。
右辺の が同次解と重複していたため、 のままでは代入したとき左辺が になってしまいます。 を掛けることで同次解との線形独立性を確保し、方程式が解けるようになります。
重根の場合は を掛ける必要がある。重複の度数だけ のべきを上げるのが一般的なルール。
演習 3:三角関数の右辺(未定係数法)
特性方程式 から なので、同次解は です。
右辺 は同次解に含まれるため、 と置きます。微分を計算すると
を計算すると、 を含む項は相殺されて
これが に等しいので
, となり、特殊解は
です。
の特殊解を求めるとき、 の正しい仮定はどれですか?
と はどちらも同次解 に含まれています。重複が 1 回なので を 1 回掛けます。三角関数の場合は と をつねにペアで仮定する点にも注意してください。
演習 4:指数関数と三角関数の積(未定係数法)
特性方程式 の解は なので、同次解は
右辺 は同次解に含まれるため、 と置きます。計算は煩雑になるので要点だけ示すと、 を整理すると を含む項が消えて
が残ります。係数比較で , から , となり
が得られます。演習 3 と同じ構造が、 を含む形で再現されていることがわかります。
演習 5:定数変化法の基本
未定係数法が使えない右辺に対しては定数変化法を使います。
右辺 は多項式・指数関数・三角関数の組み合わせではないので、未定係数法は適用できません。
特性方程式 から (重根)であり、同次解は
定数変化法では と置き、 を連立方程式から求めます。, として、ロンスキアンを計算すると
定数変化法の公式は
を代入すると
それぞれ積分すると
したがって特殊解は
は同次解に吸収されるので、本質的な特殊解は
であり、一般解は
となります。
定数変化法でロンスキアン を計算する理由は何ですか?
- 同次解が正しいことを検算するため
- と の連立方程式を解くために分母として必要だから
- 特殊解の収束性を判定するため
定数変化法の連立方程式 , をクラメルの公式で解くと、分母にロンスキアン が現れます。(基本解の線形独立性)が解法の前提です。
演習 6:定数変化法のもう一つの例
特性方程式 から であり、, です。ロンスキアンは
を代入すると
積分すると
特殊解は
のような関数が右辺に現れる場合、未定係数法では手が出ませんが、定数変化法なら積分さえ実行できれば必ず答えにたどり着けます。
手法選択のまとめ
実際の問題を前にしたとき、どちらの方法を使うべきか迷うことがあります。判断の基準は右辺 の形です。
が多項式、指数関数 、三角関数 , 、またはこれらの積・和で構成されている場合。計算量が少なく、まず試すべき方法です。
が , , , など、未定係数法の対象外の関数を含む場合。積分が重くなることがありますが、 の形に制限がないのが強みです。
の特殊解を求めるとき、適切な方法と の仮定はどれですか?
- 未定係数法で
- 定数変化法を使う(未定係数法は適用不可)
- 未定係数法で
特性方程式 から (重根)なので、 と が同次解に含まれます。右辺は で未定係数法の適用範囲内ですが、 の重複が 2 回あるため を掛けて と仮定します。
両方の手法を使いこなせるようになれば、2 階線形微分方程式の非同次問題はほぼ完全にカバーできます。未定係数法で処理できるかをまず判断し、無理なら定数変化法に切り替えるという流れを身につけておくと、計算の効率が大きく上がります。
右辺が 1 次多項式のとき、yp も 1 次多項式 Ax+B と仮定します。Ax だけでは定数項の帳尻が合いません。g(x) の次数と同じ次数の多項式全体を仮定するのが原則です。