完全微分方程式と積分因子

完全微分方程式は、ある関数の全微分がゼロになるという形の方程式です。この形を見抜けば、元の関数(ポテンシャル)を復元するだけで解が得られます。完全でない場合も、積分因子を掛けて完全形に変換できることがあります。

完全微分方程式の形

がある関数 の全微分

と一致するとき、この方程式を完全微分方程式といいます。解は (定数)で与えられます。

完全性の判定条件

が完全であるための必要十分条件は、

です。これは (偏微分の順序交換可能性)から従います。

解き方

完全と判定できたら、 を構成します。

ここで を定数とみなしたときの積分定数( の関数)です。次に、 から を決定します。

例題

, として、

一致するので完全です。 を求めます。

より、、したがって

一般解は です。

完全微分方程式のイメージ

等高線 の上を動くと考えると、 は「高さが変わらない」という条件です。

物理との対応

ポテンシャルエネルギー が存在する保存力場では、力のなす仕事がゼロになる経路が等ポテンシャル曲線に対応します。

積分因子による完全化

完全でない方程式 に、関数 を掛けて

を完全にできることがあります。この 積分因子といいます。

のみの関数の場合、完全性条件から

右辺が のみの関数なら、 を求められます。 のみの場合も同様です。

例題:積分因子の利用

, として、, で不一致です。

を掛けると、

これは と書けるので完全です。解は 、つまり です。