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右辺がどんな形でも積分まで進む、微分方程式の定数変化法

の特殊解は です。 からは想像しにくい形。

係数を置いて代入する方法では届きません。 を何度微分しても、有限個の関数では閉じないからです。

定数変化法なら、右辺が何であっても積分の形まで必ず進みます[3]。積分が計算できるかどうかは別の話ですが、手順は止まりません。

定数を関数に変える

同次方程式 の一般解を とします。

非同次の右辺を と書き、 を関数に替えて特殊解を探す。

定数を「変化」させるので定数変化法。ラグランジュがこの形を使ったので、パラメータ変化法とも呼ばれます[3]

補助条件を置ける理由

未知の関数は の 2 つですが、課される条件はもとの方程式 1 本だけ。自由度が 1 つ余っています。

余りを使って、計算が楽になる条件を自分で足せる。この見方をすると、次の一手が唐突に見えなくなります。

を微分すると 4 項に分かれます。

前半 2 項を と置くのが補助条件です[1]

置かなければ、もう一度微分したときに が現れます。2 階の問題を解くために 2 階の問題を作ることになる。

補助条件は 一意に決めるために足りない 1 本を、こちらから補ったものです。

別の条件を置いても特殊解は作れる。ただ、これがいちばん式が短くなる。

連立方程式が出る

補助条件のもとで となり、もう一度微分します。

を組み立てると、 が掛かる部分は の側も同じく です。

残るのは だけ。これが に等しくなります。

についての連立 1 次方程式です。係数行列の行列式がロンスキアンになります。

クラメルの公式で解きます[3]

ロンスキアンで割ってよい理由

になる点があれば、この割り算は破綻します。実は破綻しません。 自身が簡単な微分方程式を満たすためです。

を計算します。

を代入する。

の項がきれいに打ち消しました。変数分離で解けます[4]

指数関数は決して になりません。したがって は、どこでも か、どこでも でないかのどちらか。

が 1 次独立なら 1 点で なので、区間全体で になりません。割り算はいつでもできます。

積分の形にまとめる

を積分すれば が出ます。定積分に直すと、右辺の効き方が見やすくなる。

被積分関数の分数は の 2 変数の関数で、グリーン関数と呼ばれます[1]

の場所で受けた力が、 の場所にどれだけ効くかを表す量。それを について足し合わせたものが解です。

例:単位の力を並べる

の場合、 になります。

グリーン関数は

時刻 に受けた衝撃が という振動を残し、それが積み重なる。ばねを叩いたときの応答そのものです。

刻みを細かくすると、下の折れ線が滑らかな曲線に近づきます。積分はその極限です。

例:

同次解は で、

積分すると になります。

の項に注目します。 が単独で出てきたのは、 が振動と共鳴する成分を含むためです。

一般解は

例:

を整理します。 を使う。

積分して なので です。

が打ち消して、1 項だけが残りました。

例:右辺に がある

特性方程式が重根 なので 。ロンスキアンを計算します。

を入れます。

積分すると

が現れました。係数を置いて代入する方法では、この形を最初から予想できません。

例:係数が定数でない場合

同次解は を入れて から です。

ここで注意が要ります。 は標準形にしてから読むこと。両辺を で割ります。

をそのまま にすると答えが合いません。 を使って計算します。

から

検算します。 を入れると で、右辺に戻りました。

高階への拡張

階でも同じです。未知関数が 個、余る自由度が 個なので、補助条件を 本置きます[2]

階微分までを にそろえ、 階微分の行だけが に等しくなります。

係数行列は 次のロンスキアン行列。クラメルの公式で が出ます[2]

列目を右辺で置き換えた行列式です。

例:3 階の方程式

特性方程式 の根は なので、

ロンスキアンを計算すると になります。クラメルの公式から次が出ます。

積分すると

は定数なので、同次解に吸収できます。

検算のしかた

微分して代入するのがいちばん確実です。3 階の例なら になり、 の項が消えます。

もう 1 回微分して 、さらに

を作ると対数の項が打ち消し、 だけが残る。右辺と一致しました。

係数を置いて代入する方法

右辺が多項式・指数・三角関数のときだけ。予想の形が当たれば計算は速い

定数変化法

右辺を選ばない。ロンスキアンと積分が要るぶん、手間はかかる

まず前者が使えるかを見て、使えなければ後者に移る。この順で考えると無駄がありません。

の特殊解を定数変化法で書くとき、グリーン関数はどれになりますか。

__RESULT__

同次解は で、ロンスキアンは です。 を計算すると となり、加法定理でまとまります。 でないぶん、係数 が付きます。

同次解を 2 本そろえ、ロンスキアンを作り、割って積分する。右辺の形を心配しなくてよいのが、この方法のいちばんの強みです。

参考

Russell Herman. *The Method of Variation of Parameters*/08%3A_Green's_Functions/8.01%3A_The_Method_of_Variation_of_Parameters). A Second Course in Ordinary Differential Equations.
*Variation of Parameters for Higher Order Equations*. Ximera, The Ohio State University.
Variation of Parameters. Wolfram MathWorld.
Abel's Differential Equation Identity. Wolfram MathWorld.
$y'' + y = \sec x$ の特殊解は $\cos x\ln|\cos x| + x\sin x$ です。係数を置いて代入する方法では届きません。$y_p = u_1y_1 + u_2y_2$ と置くと未知関数が 2 つで条件が 1 本なので、自由度が 1 つ余る。そこへ $u_1'y_1 + u_2'y_2 = 0$ を当てると連立 1 次方程式になり、クラメルの公式から $u_1' = -y_2R/W$ が出ます。$W' = -PW$ より $W = W_0e^{-\int P}$ なので、ロンスキアンは決して $0$ を通らず、割り算はいつでもできる。定積分に直すとグリーン関数が現れ、$y''+y$ なら $\sin(x-\xi)$。$\tan x$ や $e^x/x$ のように予想の形が立たない右辺でも、手順は途中で止まりません。