波動方程式
波動方程式は、弦の振動、音波、電磁波など、振動・波動現象を記述する双曲型偏微分方程式です。ダランベールの公式により、解が明示的に書き下せます。
波動方程式の形
1次元の波動方程式は、
ここで は位置 、時刻 における変位、 は波の伝播速度です。
物理的な導出
張力 で張られた密度 の弦について、微小部分の運動方程式を立てると、
波速は で、張力を強くするか密度を小さくすると速くなります。
ダランベールの公式
無限に長い弦での初期値問題
の解は、
これがダランベールの公式です。
進行波解
は左向きに、 は右向きに速度 で進む波を表します。
依存領域
点 での解は、初期条件の の範囲だけで決まります。これを依存領域といいます。
変数分離法(有限弦)
長さ の弦で両端が固定されている場合、
と置くと、
空間部分は , 。固有値は
時間部分は で、解は三角関数です。
一般解
各項は固有振動(基準振動)を表し、 が基本振動、 が倍音に対応します。
熱方程式との違い
熱方程式では各モードが減衰するが、波動方程式では振動が持続する。
可逆性
波動方程式は時間反転 で形が変わらない。熱方程式は変わる(不可逆)。
エネルギー保存
波動方程式では、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和
が保存します。これは解が減衰せず振動し続けることの数学的な表現です。
高次元への拡張
2次元膜の振動は 、3次元空間の音波や電磁波は で記述されます。マクスウェル方程式から導かれる電磁波の方程式もこの形をしています。