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判別式が 0 のときだけ x が生える、定数係数の 2 階同次線形微分方程式

に を入れると、共通因子 でくくれる。

微分方程式が 2 次方程式に化けた。根は と で、一般解は である。

なぜ を入れると通るのか。判別式が のとき が付くのはなぜか。順に見ていく。

微分で形が変わらない関数

を満たす関数は の定数倍しかない。微分しても、自分の定数倍に戻る。

だから も も も、すべて の定数倍になる。定数係数で足し合わせても の定数倍のまま。

は決して にならないので、括弧の中が であればよい。これが特性方程式である。

を仮定するのは当てずっぽうではなく、微分演算子の固有関数を探していることにあたる。

微分を「掛け算 」に変える関数が で、線形代数の固有ベクトルと同じ役回りをもつ。

判別式が場合を分ける

の符号で根の姿が変わり、解の形もそのまま変わる。

重根のときだけ が付く

なら根は の 1 つだけ。解が 1 本しか作れない。

もう 1 本を探すのに、階数低下法を使う[1]。 と置いて代入する。

方程式に入れて でくくると、 についての式が残る。

の係数は特性方程式そのもので 。 の係数は で、 を入れるとこれも になる。

が 1 次式まで許される。だから になる[4]。

が付くのは、重根のときに の係数が消えるからである。単根なら で、 は定数に縛られる。

2 本が独立であること

ロンスキアンを計算して確かめる。、 とする。

の項が打ち消して、指数関数だけが残った。 にならないので独立である[1]。

異なる 2 実根の場合も同じように計算できる。 で、根が違えば にならない。

複素根のとき

とする。指数関数をオイラーの公式で分ける。

方程式の係数が実数なので、複素数の解の実部と虚部は別々に解になる。代入して実部と虚部を比べれば分かる。

が振幅の増減を、 が振動の速さを決める。 なら振動しながら収まっていく。

例:4 つ並べて解く

異なる 2 実根から始める。

重根の例はこうなる。

純虚数の根では、指数部分が消える。

実部と虚部の両方があるとどうなるか。 の根は である。

ばねに置き換える

質量 、ばね定数 、抵抗の係数 の運動を書く。

、 と置くと、特性方程式の根が見やすくなる[2]。

が抵抗の強さ、 が抵抗なしのときの振動数である。根号の中の符号が、そのまま判別式の符号にあたる。

条件呼び名動き
不足減衰振動しながら振幅が落ちる
臨界減衰振動せずに戻る
過減衰振動せず、ゆっくり戻る

抵抗を強くしていくと、複素数だった 2 つの根が実軸まで降りてきて、そこで重なる。さらに強くすると左右に分かれる。

根が円弧に沿って降りてきて、実軸で 1 点に集まる。そこから先は、片方が原点へ、もう片方が遠くへ動く。

臨界減衰がいちばん速い

抵抗を強くすればするほど速く止まる、と思いたくなる。実際は逆で、 では遅くなる[3]。

過減衰の 2 つの根のうち、遅いほうを見る。

を大きくすると根号が に近づき、 は に近づく。長い時間で残るのはこの項なので、戻りが遅くなる。

での振る舞いを見ておく。根号を展開すると次のようになる。

抵抗を 2 倍にすると、戻る速さが半分になる。粘り気の強い液体の中では、物はゆっくりしか動けない。

不足減衰の側では、包絡線が で落ちる。 なので、こちらも より遅い。

両側から見て、いちばん速いのは 。減衰の速さが に達するのは、この 1 点だけである[3]。

体重計の針が一度で止まるのも、自動ドアが跳ね返らずに閉まるのも、この点を狙って設計されているからである[2]。

抵抗が足りない

行き過ぎて戻る。針が左右に振れてなかなか読めない

抵抗が強すぎる

行き過ぎはしないが、目的の位置に着くまで待たされる

電気回路でも同じ

コイル 、抵抗 、コンデンサ を直列につないだ回路の電荷は、次の式に従う。

ばねの式と文字が違うだけで、形は同一である。 が質量、 が抵抗、 がばね定数の役をする。

が小さければ電流が振動し、大きければ振動せずに減衰する。境目の が臨界減衰にあたる。

検算のしかた

まず特性方程式の 1 次の係数を確かめる。 なら で、係数はそのまま移る。

根を 1 つ選び、 をもとの式に入れ直す。 に なら で合う。

重根のときは のほうも代入する。 に を入れると、 になる。

複素根では の符号をどちらにとっても同じ一般解が出る。 と の置き換えで吸収されるためである。

の一般解はどれですか。

__RESULT__

特性方程式は で、 の重根です。判別式が なので、 が 1 つ付いた形になります。ばねで言えば臨界減衰にあたり、振動せずにいちばん速く戻る場合です。

微分で形が変わらない関数を入れ、2 次方程式を解く。判別式が のときだけ が生えるのは、階数低下法で の係数が消えるからである。

出典

*Repeated Roots and Reduction of Order*. Ordinary Differential Equations, Union College.
Y. D. Chong. *General Solution for the Damped Harmonic Oscillator*/05%3A_Complex_Oscillations/5.03%3A_General_Solution_for_the_Damped_Harmonic_Oscillator). Complex Methods for the Sciences.
*Why is critical damping the fastest return to equilibrium?*. PHY361, Duke University.
Paul Dawkins. *Repeated Roots*. Paul's Online Notes, Lamar University.
$y = e^{\lambda x}$ を入れると共通因子でくくれて、$a\lambda^2+b\lambda+c=0$ だけが残ります。微分しても自分の定数倍に戻る関数だから通る。重根のときは $y = u(x)e^{\lambda x}$ と置くと、$u'$ の係数 $2a\lambda+b$ が $\lambda = -b/2a$ でちょうど消え、$au''=0$ から $u = c_1+c_2x$ が出ます。$x$ が生えるのはこの 1 か所が消えるためです。ロンスキアンは $e^{2\lambda x}$ で、決して $0$ になりません。ばねに置き換えると判別式の符号が減衰の種類に対応し、抵抗を強くしすぎると遅い根 $-\omega_0^2/2\gamma$ が残って戻りが鈍くなる。いちばん速いのは臨界減衰の 1 点だけです。