教育150077 views
高校国語790013 views
MathPython501700 views
中学英語813624 views
高校物理162509 views
LaTeX965557 views
小学理科721729 views
りんご220229 views
小学算数1203731 views
高校倫理1444503 views
Help
Tools

English

変数係数なのに代数方程式 1 本で解けるオイラーの微分方程式

に を入れると、3 つの項がすべて になる。

が消えて、 の 2 次方程式だけが残った。根は と で、一般解は である。

変数係数なのに、代数方程式 1 本で片づく。そうなる仕組みが、この方程式の形に埋め込まれている[1]。

次数がそろっている

では が 2 乗、微分も 2 階。 は 1 と 1、 は 0 と 0。どの項も、 のべきと微分の階数が一致している。

一般には という項だけが並ぶ。ここに を入れてみる。

と が打ち消して、 に戻った。次数がそろっているとは、この打ち消しが起きるという意味である。

だから全部の項が でくくれて、係数の和を と置くだけでよい。

同じ理由で、この方程式は拡大しても形が変わらない。 と伸ばしても、係数はそのまま。

等次元方程式とも呼ばれる。 が解になるのは、べき関数だけが拡大に対して形を保つからである。

特性方程式

2 階の場合を書いておく。

を入れると 、つまり次のようになる[2]。

の 1 次の係数が ではなく である。 から が出てくるためで、ここを落とす間違いが多い。

対数の目盛に移す

()と置くと、この方程式は定数係数になる[4]。

計算を短くするために、演算子 を用意する。

連鎖律から となるので、 は での微分そのもの。

2 階を作る。

移項して 。一般には になる。

もとの方程式は の多項式に化ける。

の世界では定数係数。特性方程式は で、 を直接入れたときと一致する[2]。

3 つの場合

特性方程式の根がどうなるかで、解の姿が分かれる[1]。

根一般解
異なる 2 実根 ,
重根
複素根

定数係数の場合の 、、 と、そっくり対応している。 が に、 が に置き換わっただけである。

重根で対数が出る理由

の世界で見れば当然である。重根なら で、 を戻すと になる。

もう 1 つ、極限として見る道もある。根が と で近いとき、次の組み合わせも解である。

解の 1 次結合なので、これも解。 として を計算する。

対数は、2 本の解が重なる瞬間に現れる。 が突然出てくるように見えて、実は連続につながっている。

青い曲線が赤に重なっていく。重根の解は、別々の 2 本が融合した形である。

複素根のとき

なら となる。

オイラーの公式で実部と虚部に分ける。

三角関数の中身が である点が定数係数との違い。 が に近づくと は へ走るので、振動が際限なく速くなる。

を 倍するごとに位相が だけ進む。等比数列の目盛で見ると、等間隔の振動になっている。

負の をまたげない

は で意味を持たないことがある。 なら実数の範囲では定義できない。

そこで と書き、 とする[4]。 の側でも同じ形の解が並ぶ。

ただし を含む区間では解けない。 は方程式の特異点で、そこで が消えてしまうためである。

例:3 つの場合を計算する

異なる 2 実根の例から始める。

から 。一般解は である。

重根の例を見る。

で の重根。一般解は 。

複素根の例はこうなる。

から 。、 なので である。

例:右辺があるとき

同次側は で 。右辺が なので と置く。

で になる。

例:右辺が同次解と重なるとき

右辺の は同次解の 1 本である。 と置くと左辺が になり、係数が決まらない。

を 1 つ掛けて とする[1]。、 を代入する。

の項が打ち消して、。 である。

定数係数のときに を掛けるのと同じ手当てで、掛けるものが に替わっただけ。

例:円環の温度を求める

極座標のラプラシアンを書く[3]。

と分けると、動径側がオイラー方程式になる。

特性方程式は で 。 なら 、 なら重根なので である[3]。

角度によらない定常温度を考える。 の解だけが残る。

内半径 で温度 、外半径 で温度 という条件を当てる。

引き算して 。整理すると次の形になる。

温度は半径に対して直線的ではなく、対数で変わる。配管の断熱材の厚みを決めるときに使う式である。

高階でも同じ

演算子を使うと、高階でも機械的に進む[2]。

、、 を入れる。

因数分解すると になる。根は の重根と 。

重根の側にだけ が付いた。定数係数で が出るのと同じ役回りである。

確定特異点の原型

でこの方程式の最高階の係数が消える。 で割ると と が現れ、確定特異点になる。

確定特異点をもつ一般の方程式は、 でオイラー型に近づく。特性方程式が決定方程式と呼ばれるのはこのためである。

オイラー方程式は、その中で級数の補正がまったく要らない特別な場合にあたる[4]。

定数係数の方程式

が基本。重根で が 1 つ付き、複素根で が出る

オイラー方程式

が基本。重根で が 1 つ付き、複素根で が出る

という 1 つの置き換えが、右の列を左の列に写している。

検算のしかた

まず の 1 次の係数を見る。 の を落としていないか、ここだけ確かめれば大半のまちがいは防げる。

次に根を 1 つ選び、 をもとの式に入れ直す。 に なら で合う。

複素根のときは の を書き落としやすい。 と書いてしまうと定数係数の答えになる。

の一般解はどれですか。

__RESULT__

特性方程式は です。 の重根なので、 が 1 つ付きます。 の 1 次の係数を のままにすると となり、1 番目の誤答が出ます。

次数がそろっているから が通り、 で定数係数に移せる。オイラー方程式の性質は、この 2 つから全部出てくる。

出典

Russell Herman. *Cauchy-Euler Equations*/02%3A_Second_Order_ODEs/2.05%3A_Cauchy-Euler_Equations). A First Course in Differential Equations for Scientists and Engineers.
Euler Differential Equation. Wolfram MathWorld.
Vladimir Dobrushkin. *Laplace Equation in Polar Coordinates*. Applied Mathematics 34, Brown University.
Paul Dawkins. *Euler Equations*. Paul's Online Notes, Lamar University.
$x^2y'' - 2xy' - 4y = 0$ に $y = x^m$ を入れると $x$ が消え、$m^2 - 3m - 4 = 0$ だけが残ります。$x$ のべきと微分の階数が各項でそろっているため。$t = \ln x$ と置けば $x\frac{d}{dx}$ が $\frac{d}{dt}$ になり、定数係数の方程式へ移ります。特性方程式の 1 次の係数が $a$ ではなく $a-1$ になる理由もここから見える。重根で出る $x^m\ln x$ は、2 つの根を近づけた極限 $(x^{m_1}-x^{m_2})/(m_1-m_2)$ そのものです。複素根では $\cos(\beta\ln x)$ になり、原点へ近づくほど振動が速くなる。円環の定常温度が $\ln(r/a)/\ln(b/a)$ で決まる話まで。