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偶数乗は次数を下げ、奇数乗は 1 つ抜く(三角関数の積分)

と はそのまま積分できるが、 や になると公式が当たらない。

打つ手は 2 つしかない。次数を下げるか、置換に持ちこむか。どちらを選ぶかは、指数が偶数か奇数かで決まる[1]。

積の形も同じで、 のような形は積和公式で和に直せば、あとは 1 次式の積分になる。

2 乗は次数を下げる

2 倍角の公式 を について解く。

右辺はどちらも 1 次式の三角関数なので、そのまま積分できる。2 乗を消して角を 2 倍にする、という交換をしている[3]。

赤い破線が青に重なる瞬間が、振幅がちょうど になったところ。 は「高さ の台の上で が振れている」形をしている。

例 1: と

符号だけが違う。2 つを足すと になり、 と辻褄が合う。

例 2: は 2 回下げる

1 回下げても が残るので、もう一度下げる。

ここまで来れば 1 次式の積分だけになる。

偶数乗は、この手順を指数の半分だけ繰り返せば必ず片づく。

奇数乗は 1 つ残して置換する

では次数下げが使えない。代わりに を 1 つ外へ出し、残りを で書き直す。

こうすると 、 の置換がそのまま当たる。外へ出した が に化ける。

例 3:

と置く。 である。

例 4:

同じ置換で通る。 と書き直す。

奇数乗は何乗でも、展開して多項式の積分に落ちる。

例 5:

の指数が奇数なので、 を 1 つ抜いて と置く。

の側が偶数でも困らない。抜くのは奇数のほうと決まっている。

例 6:

両方偶数なので次数下げに回る。先に 2 倍角でまとめると速い。

積を和に直す

角の違う と の積は、積和公式で和になる[2]。

右辺は 1 次式の三角関数の和なので、そのまま積分できる。積のままでは手が出ないところ。

と をどう変えても、赤い破線は青い曲線から離れない。積が和に等しいという式が、そのまま重なりとして見えている。

例 7:

、 を積和公式に入れる。

例 8:

どうしなので 2 番目の公式を使う。

角が同じ のような形なら、2 倍角のほうが速い。 である。

tan がらみは 1 + tan² を使う

の積分は と見て、 の置換で出る。

2 乗以上では、次の関係が効く。両辺を で割った形である。

は の導関数なので、 となる。

の 2 乗以上では、 で書き直す手が定石になる。 が の導関数だからである。

と置けば となり、置換がそのまま通る。

例 9:

を忘れやすい。 と は だけ違う。

例 10:

を 1 つ残し、残りを書き直す。

前半は 、 の置換で になる。

手順のまとめ

形見るところ打つ手
、指数が偶数次数を下げる
、指数が奇数1 つ抜いて置換
奇数がある奇数のほうを抜く
角が違う積積和公式
、tan の累乗 で書き直す

参考文献

List of integrals of trigonometric functions. Wikipedia(英語).
List of trigonometric identities. Wikipedia(英語).
Formelsammlung Trigonometrie. Wikipedia(ドイツ語).
$\sin^2 x$ は $2$ 倍角で $\dfrac{1-\cos 2x}{2}$ に直せば $1$ 次式の積分になります。$\sin^3 x$ では次数下げが効かず、$\sin x$ を $1$ つ抜いて $t = \cos x$ と置く。指数が偶数か奇数かだけで打つ手が決まります。角の違う積は積和公式で和に直し、$\tan$ の累乗は $1 + \tan^2 x = \dfrac{1}{\cos^2 x}$ で書き換える。$\sin^4 x$ から $\tan^3 x$ まで 10 通りの計算例を並べました。