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なぜ答えに π が出てくる?分母が x2+a2 と √(a2-x2) の定積分

分母が や になっている積分は、答えに が出てくる。円が隠れているからである。

どちらも を三角関数で置き換えると、被積分関数がまるごと消えて だけが残る。角そのものが答えになる形である[1]。

高校では定積分の形で扱う。不定積分のままだと を に戻す必要があり、そこに逆三角関数が要るためである[2]。

分母が なら

を使う[3]。 と置くと、分母と が同じ形になって打ち消し合う。

割ると になる。積分は角の差を測るだけの計算に変わる。

分母が なら

を使う。ルートの中が平方になる。

こちらも割ると だけが残る。 すら消える。

の範囲は にとる。この範囲なら なので、ルートを外すときに絶対値が要らない。

が遠くまで走っても、対応する は の手前で止まる。定積分の値が有限にとどまる理由がここにある。

積分区間を書きかえる

定積分では、上端と下端も の値に直す。 の値を代入して、対応する角を読む。

の値 なら なら
—
—

置換したあとは に戻さない。角の値のまま代入して終わる。

例 1:

なので と置く。 に対して である。

被積分関数がすべて消えて、角の幅がそのまま答えになった。

例 2:

上端が変わるだけ。 より である。

例 3: が でない場合

なので と置く。 に対して 、つまり 。

が前に出る。 が大きいほど値が小さくなる。

例 4:

同じ形で 。、 である。

上端が に等しいときは、いつでも が まで動く。答えは になる。

例 5:係数が付いた形

先に と置いて標準形に直す。、 である。

の係数を にしてから当てると、迷わずに済む。

例 6:

と置く。 に対して である。

被積分関数は で発散するのに、積分の値は有限にとどまる。角のほうで見ると、ただの の幅である。

例 7:

より である。

例 8:半径が でない場合

なので と置く。 より 。

こちらは が前に出ない。分母の と の が完全に打ち消し合うためである。

。 が前に出る。答えは

。係数は残らない。答えは そのもの

上端を伸ばすとどうなるか

の上端 を大きくしていく。対応する角 は を満たす。

をいくら大きくしても は を超えない。したがって積分の値も より小さいままである。

グラフの裾が長く伸びているのに、その下の面積が有限にとどまる。分母が で増えるほど速く、裾が薄いためである。

例 9:対称性を使う

被積分関数は偶関数なので、 から までを 2 倍すればよい。

置換する前に対称性を見ておくと、計算が半分で済む。

例 10:平方完成してから当てる

分母をそのままでは形が合わない。平方完成する。

と置けば標準形になる。 である。

最後は で となり、幅が である。

分母が 2 次式のときは、まず平方完成して の形にする。 なら の置換が当たる。

なら因数分解できるので、部分分数分解のほうへ回る。判別式で見分けられる。

参考文献

Trigonometric substitution. Wikipedia(英語).
Lists of integrals. Wikipedia(英語).
List of trigonometric identities. Wikipedia(英語).
$x = a\tan\theta$ と置くと分母と $dx$ が打ち消し合い、$x = a\sin\theta$ と置くとルートが外れて $a$ まで消えます。残るのは $\int d\theta$ だけで、角の幅がそのまま答えになる。だから値に $\pi$ が現れます。積分区間も角の区間へ書きかえるので、$x$ に戻す必要はありません。上端をどこまで伸ばしても面積が $\dfrac{\pi}{2}$ を超えない理由、平方完成してから当てる形まで、定積分の計算例を 10 通り並べました。