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置換したら区間も書きかえる、x に戻さない定積分

不定積分で置換したら、最後に へ戻す必要があった。定積分では戻さなくてよい。代わりに積分区間を書きかえる[1]。

が から まで動くとき、 は から まで動く。その区間で積分すればよい。

戻す手間が消えるので、定積分のほうがむしろ楽になる。置換して区間を書きかえたら、あとは新しい変数だけで完結する。

原始関数を求めて上端と下端を代入する、という定積分の計算そのものは変わらない[2]。変わるのは、どの変数の区間で代入するかだけである。

対応表を作る

置換したら、まず と の対応を書き出す。上端と下端の 2 つだけでよい。

この表を書いてから積分に入る。書かずに進めると、区間の入れかえを忘れる。

上の点が右へ進むと、下の点も右へ進む。両端が対応しているので、区間ごと写し替えられる。

例 1:1 次式の置換

と置く[3]。 で、 に対し である。

に戻さずに、 の区間で計算して終わる。

例 2:区間が逆向きになる場合

と置く。 で、 に対し である。

上端と下端が入れかわる。符号を付けて向きをそろえる。

の符号と区間の入れかえで、マイナスが 2 回出て打ち消し合う。

の区間が逆向きになることは、置換ではよく起きる。 が減少関数のときに必ず起きる。

を使って向きをそろえれば、符号は自動的に合う。

例 3:対数の置換

と置く。 で、 に対し である。

区間が という半端な形から に変わる。置換のたびに区間は素直になっていく。

例 4:三角関数の置換

と置く。 で、 に対し である。

例 5:指数関数の置換

と置く。 で、 に対し である。

面積は形を変えても保たれる

置換すると被積分関数の形も区間も変わるが、面積は変わらない。横に伸びたぶん縦が縮む、という交換が起きている。

上の山と下の単調な曲線は、見た目がまったく違う。それでも囲む面積は同じ である。

例 6: を で表す置換

置換の向きが逆になる場合もある。 を決めて を で書く。

と置くと 、 である。 に対し 。

分子の次数が分母以上なので、割ってから積分する。

根号を と置くと、 に が出てきて分子が整う。この形はよく出る。

単調でない置換に気をつける

の区間の中で が増減を変えると、区間の対応が 1 対 1 でなくなる。

で と置くと、 に対して は と動く。単純に とすると になり、正しい値 と合わない。

対策は区間を切ることである。 と に分ければ、それぞれで単調になって置換が通る。

偶関数の対称性を使い、 としてもよい。どちらでも同じ結果になる。

手順のまとめ

置換する変数 を決める。
を作り、 を消す。
の両端を の値に直す。
の区間で積分する。 には戻さない。

3 番目を飛ばすと、 の区間のまま で積分することになって値が合わない。表を書く習慣が効く。

参考文献

Integration by substitution. Wikipedia(英語).
Fundamental theorem of calculus. Wikipedia(英語).
Lists of integrals. Wikipedia(英語).
不定積分では最後に $x$ へ戻しますが、定積分では戻しません。代わりに上端と下端を $t$ の値に直す。$x$ と $t$ の対応表を 2 行書いてから積分に入ると、書きかえ忘れが防げます。$g$ が減少関数だと区間が逆向きになり、$dt$ の符号と合わせてマイナスが 2 回出て打ち消し合う。$t = x^2$ のように途中で増減が変わる置換は区間を切って使います。計算例を 6 通り並べました。