logx の積分は、公式を探しても見つからない。微分の公式に logx になるものがないからである。
打つ手は 1 つ。logx=1×logx と見て、1 のほうを積分側に回す。掛けても値の変わらない 1 を、部分積分の相手として使う[1]。
∫logxdx=xlogx−x+C
logx を微分すると x1 になり、x と打ち消し合って定数の積分に落ちる。この一手で片づく。
「1 を掛ける」
f=logx、g′=1 とする。g=x である。
∫logxdx=∫1⋅logxdx=xlogx−∫x⋅x1dx=xlogx−∫1dx=xlogx−x+C
x⋅x1=1 になるところが要である。log の微分が分数を作り、g の x がそれを消す。
微分して確かめる。(xlogx−x)′=logx+x⋅x1−1=logx となり、もとに戻る。
なぜ log を微分側に置くのか
logx を微分すると x1 になる。対数が消えて、扱いやすい分数式に変わる。
逆に logx を積分側へ置くと、g=xlogx−x が中に入ってさらに複雑になる。積分したい相手が積分の中で増えてしまう。
log が掛かっている積分では、いつでも log が微分側になる[2]。迷う余地がない[3]。
例 1:xlogx
f=logx、g′=x とする。g=2x2 である。
∫xlogxdx=2x2logx−∫2x2⋅x1dx=2x2logx−∫2xdx=2x2logx−4x2+C
g の x2 と x1 が約分して x になる。1 回で終わる。
例 2:xnlogx
同じ手順で一般の次数も出る。g=n+1xn+1 とする。
∫xnlogxdx=n+1xn+1logx−(n+1)2xn+1+C
第 2 項の分母が 2 乗になる。n=0 を入れると xlogx−x に戻り、n=1 で例 1 に一致する。
例 3:x2logx
g′=x−2 なので g=−x1 である。
∫x2logxdx=−xlogx+∫x1⋅x1dx=−xlogx−x1+C
符号が 2 回変わる。g が負の形なので、引き算の前の符号に気をつけて進める。
例 4:(logx)2
log が 2 乗なので、部分積分を 2 回使う。1 回目は f=(logx)2、g′=1 とする。
∫(logx)2dx=x(logx)2−∫x⋅2logx⋅x1dx=x(logx)2−2∫logxdx
残った積分は最初に求めたものである。代入して終わる。
∫(logx)2dx=x(logx)2−2xlogx+2x+C
log の指数が 1 ずつ下がる。多項式の次数が下がるのと同じ構造になっている。
例 5:中身が 1 次式
∫log(2x)dx
対数の性質で分けると速い。log(2x)=log2+logx である。
=xlog2+xlogx−x+C=xlog(2x)−x+C
log2 は定数なので、そのまま x が掛かる。まとめ直すと、もとの形に x が付いただけになる。
例 6:log(x2+1)
f=log(x2+1)、g′=1 とする。f′=x2+12x である。
∫log(x2+1)dx=xlog(x2+1)−∫x2+12x2dx
残った積分は、分子を分母で割って処理する。x2+12x2=2−x2+12 である。
=xlog(x2+1)−2x+2∫x2+1dx
最後の積分は x=tanθ の置換に回る。定積分ならここまでで値が出せる。
例 7:∫1elogxdx
原始関数に代入する。loge=1、log1=0 である。
=[xlogx−x]1e=(e−e)−(0−1)=1
e が打ち消し合って、答えはちょうど 1 になる。
例 8:∫1exlogxdx
=[2x2logx−4x2]1e=(2e2−4e2)−(0−41)=4e2+1
手順のまとめ
| 形 | 微分側 | 積分側 | | logx | logx | 1 |
| xnlogx | logx | xn |
| (logx)2 | (logx)2 | 1 |
| log(x2+1) | log(x2+1) | 1 |
積分側はいつでも log 以外の因子になる。log しかなければ 1 を書き足す。
log が掛かった積分では、log を微分側に置くと決めておけばよい。微分して x1 になり、対数がその場で消えるためである。
log しかない場合は 1 を掛けて相手を作る。この「見えない 1」が部分積分の入口になる。
参考文献
Paul Dawkins. *Integration by Parts*. Paul's Online Notes, Lamar University.
$\log x$ を微分して得られる関数はないので、公式を探しても見つかりません。$\log x = 1 \times \log x$ と見て、$1$ を積分側へ回す。$\log$ を微分すると $\dfrac{1}{x}$ になり、$g = x$ と約分して定数の積分に落ちます。だから $\log$ が掛かった積分では、いつでも $\log$ が微分側。$x^n\log x$、$\dfrac{\log x}{x^2}$、$(\log x)^2$、$\log(x^2+1)$ まで 8 通りの計算例を並べました。