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4 で割って 1 余るかどうか、二次体の整数環が変わる境目

は の整数環に入りますが、 は の整数環に入りません。

分かれ目は を で割った余りです。 を足しただけでは足りない場合があり、そこを見落とすと計算がずれます。

条件はトレースとノルム

を平方因子を持たない 以外の整数とし、 とします。(、)の最小多項式は次の形です。

が代数的整数であることと、この つの係数が整数であることは同値です[1]。つまり かつ 。

のときは が有理数なので、代数的整数になるのは のときだけです。

最後まで決める

なので、 は整数か、奇数の半分かのどちらかです[1]。

ここで に平方因子がないことが効きます。有理数 について なら になる[1]。 の分母に素数 があると、 が で打ち消せないためです。

( は奇数)の場合を追います。 を 倍すると次が出ます[1]。

まず なので です。 が整数だとすると は奇数になり、 の倍数という条件に反します。

だから で も奇数。すると となり、奇数の平方は を法として なので が出ます[1]。

このとき は次のように書き直せます[1]。

と が両方奇数なので は偶数。係数がきちんと整数になります。

のときは が奇数の半分になれないので 、そこから より です[1]。

、判別式は
、判別式は

を なら 、そうでなければ と決めると、どちらの場合も と書けます[1]。判別式は Encyclopedia of Mathematics の記述と一致します[3]。

図の青が の点、橙が のときに追加される点です。橙が入ると格子の密度が 倍になります。

は指数 2 の部分環

のとき、 は整数環より真に小さい環です。橙の点のぶんだけ足りない。

指数は です。判別式が 倍ずれるのはこの指数の 乗ぶんで、 に対して になります。

を整数環と思って計算すると、 の分解を間違えます。

正しい最小多項式は で、 上で既約。 は分岐せず素イデアルのままです。

から平方因子を外す

に平方因子があると体そのものが変わりません。 なので、 ではなく として扱います。

平方因子を残したまま議論すると、上の証明で使った「 なら 」が成り立たなくなります[1]。整数環の決定そのものが崩れる。

例:小さい二次体を並べる

と判別式
、
、
、
、
、
、

の は の原始 乗根です。この環をアイゼンシュタイン整数環と呼び、正三角形の格子になります。

左が正方形、右が平行四辺形です。単数の個数も形に従い、正方格子では 個、三角格子では 個になります。

整除とノルムの使い方

が有理整数 で割れることと、 かつ が成り立つことは同値です[1]。座標を見るだけで判定できる。

ノルムは の値をとり、乗法的です[2]。 で、 なら に一致します。

ノルムが で素数なら、その元は で既約です[1]。逆は成り立たず、 のように既約なのにノルムが素数でない元もあります[1]。

実二次体

。 は の部分体で、単数が無限にある

虚二次体

。 は に含まれず、単数は有限個しかない

有理数との交わりも決まっています。どの二次体でも で、 のどの元も の元の比として書けます[1]。

分解則も判別式で決まる

素数の分かれ方は、判別式 を法にとって見るだけで決まります[4]。奇素数 なら で分岐、 が平方剰余なら完全分解、平方非剰余なら不分解です。

のときだけ法を にとります[4]。 で分岐、 で完全分解、 で不分解になる。

なら なので は分解しません。 を使うと に見えてしまうのは、そもそも環が違うためです。

の整数環はどれですか。

__RESULT__

なので が入ります。この元は の根で、係数が整数。判別式は になります。 はトレースが でノルムが なので代数的整数ではありません。

で割った余りひとつで、格子の密度も判別式も素数の分かれ方も変わります。二次体が具体例として使いやすいのは、この分岐点が か所しかないからです。

参考

Keith Conrad, *Factoring in quadratic fields*, University of Connecticut
Keith Conrad, *Quadratic integers*, University of Connecticut
Quadratic field - Encyclopedia of Mathematics
B Edixhoven, L Moret-Bailly, *Théorie algébrique des nombres*, Université de Rennes 1
$\frac{1+\sqrt{5}}{2}$ は整数環に入り、$\frac{1+\sqrt{2}}{2}$ は入りません。$\mathrm{Tr}(\alpha) = 2x$ と $N(\alpha) = x^2 - dy^2$ がともに整数、という条件から追うと、$d \equiv 1 \pmod 4$ のときだけ $\frac{1+\sqrt{d}}{2}$ が加わると決まります。$d$ に平方因子がないことが「$dr^2 \in \mathbb{Z}$ なら $r \in \mathbb{Z}$」の形で効く。$\mathbb{Z}[\sqrt{d}]$ は指数 2 の部分環にすぎず、判別式も $4d$ と $d$ でずれます。格子の密度が 2 倍になる図、$\mathbb{Z}[i]$ の正方格子と $\mathbb{Z}[\omega]$ の三角格子の対比つき。