相互法則入門 - 代数的整数論
相互法則は整数論の中心的なテーマで、ある数が別の数を法として平方剰余かどうかを判定する法則です。二次相互法則から始まり、より高次の相互法則、そして類体論へと発展しました。
平方剰余
を奇素数、 を で割り切れない整数とします。 が を法とする平方剰余であるとは、 を満たす整数 が存在することです。
ルジャンドル記号は平方剰余性を表す記号で、
と定義します。
オイラーの規準により です。
二次相互法則
ガウスが証明した二次相互法則は、異なる奇素数 に対し
を主張します。右辺は のときだけ 、それ以外は です。
の を法とする平方剰余性と、 の を法とする平方剰余性が関係する
または なら
補充法則
と の平方剰余性を与える補充法則もあります。
| なら 、 なら | |
| なら 、 なら |
素イデアル分解との関係
二次相互法則は二次体での素数の分解と直結しています。
で、奇素数 が完全分解することと であることは同値です。二次相互法則は「どの素数が分解するか」という問題への答えを与えます。
高次相互法則
二次相互法則の一般化として、高次相互法則があります。 乗剰余に対する相互法則は 乗円分体 の言葉で定式化されます。
アイゼンシュタイン整数環 ()を用いて定式化。
ガウス整数環 を用いて定式化。
とノルム剰余記号を用いて定式化。
アルティンの相互法則
類体論において、高次相互法則はアルティン相互法則として統一的に理解されます。
をアーベル拡大とするとき、アルティン写像
が存在し、素イデアル がフロベニウス元 に送られます。
古典的な二次相互法則は、 としたときのフロベニウス元の計算に帰着されます。相互法則は「フロベニウス元がどのように振る舞うか」という問いへの答えなのです。
非アーベル相互法則
アーベル拡大を超えた相互法則は、ラングランズ・プログラムの主題です。保型形式と 関数を通じて、より一般のガロア表現の振る舞いを記述しようとする壮大な理論体系となっています。