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「p を法とする q」と「q を法とする p」が結びつく、相互法則の全体像

が解けるかどうかは、 が解けるかどうかでほぼ決まります。 つの素数の役割を入れ替えても、答えが対応する。

理由が見えないのに成り立つ関係です。ガウスがこれを証明し、その後の整数論は「相互法則を一般化する」という一本の筋で進みました[1]。

ルジャンドル記号

を奇素数、 とします。 に解があるとき は平方剰余、ないとき平方非剰余です。

オイラーの規準から が成り立ちます。記号は について乗法的なので、 を素因数分解すれば計算が分解できる。

相互法則と補充法則

異なる奇素数 について次が成り立ちます。

右辺が になるのは のときだけ。それ以外では つの記号が一致します。

と については別に規則が要ります。

で 、 で
で 、 で

図の橙は どうしの交点です。それ以外のマスでは が成り立ちます。

例: を最後まで

は素数で、 です。記号が乗法的なので つに分けます。

と はどちらも で割って 余るので、符号が反転します。 で、。 を法とする平方数は と だけなので 、よって です。

は で割って 余るので、こちらは反転しません。 で、 より 。

なので 。 なので です。

合わせて 。実際 なので、 が解になります。

計算はユークリッドの互除法とそっくりに進みます。

大きい数を小さい数で割った余りに置き換え、法と真数を入れ替える。これを繰り返すだけ。

素数の分解則として読む

相互法則は、二次体で素数がどう分かれるかを述べたものでもあります。 の判別式を とすると、奇素数 の振る舞いは を で見るだけで決まる[2]。

平方剰余なら

は つの素イデアルに分かれる。剰余体は

平方非剰余なら

は素イデアルのまま。剰余体は

相互法則を使うと、この条件を を法とする話から を法とする話に翻訳できます[2]。すると分解のパターンが だけで決まる、つまり周期的になる。

なら で分解、 なら で分解します。周期がそのまま判別式の大きさになっている。

高次へ持ち上げる

乗を 乗や 乗に替えると、話は の外へ出ます。三次剰余の相互法則はアイゼンシュタイン整数環 で、四次剰余の相互法則はガウス整数環 で定式化されます。

乗剰余なら が舞台になります。 の 乗根がないと、そもそも「 乗剰余記号」が値をとる先がない。

相互法則を一般化したい、という動機が円分体の研究を押し進めました[1]。19 世紀末には、アーベル拡大とイデアル類群の関係、素数の密度定理、相互法則という つの流れが合流します[1]。

アルティンがまとめた形

合流の先が類体論です。 をアーベル拡大とすると、不分岐な素イデアル にフロベニウス元が対応します。

アルティンは 1923 年に 関数を定義し、その考察から と のあいだの同型を見つけました[1]。素イデアルをフロベニウス元へ送る写像です[1]。

この同型がアルティンの相互法則で、二次相互法則も高次相互法則もその特別な場合になります。 ととったときのフロベニウス元の計算が、ルジャンドル記号そのものです。

と の関係はどれですか。

  • 等しい
  • 符号が逆になる
  • 一方が になる
__RESULT__

、 なので、相互法則の右辺 が になります。実際 、 です。

つの素数を入れ替えても答えが対応する。この不思議な事実が、円分体、類体論、そして非アーベルの世界への入口になっています。

出典

Keith Conrad, *History of class field theory*, University of Connecticut
B Edixhoven, L Moret-Bailly, *Théorie algébrique des nombres*, Université de Rennes 1
符号が反転するのは $p \equiv q \equiv 3 \pmod 4$ のときだけ、それ以外では $\left(\frac{p}{q}\right) = \left(\frac{q}{p}\right)$ です。$\left(\frac{219}{383}\right)$ を $3$ と $73$ に分け、互除法のように法と真数を入れ替えると $+1$ が出て、実際 $169^2 = 383 \cdot 74 + 219$。この法則は二次体の分解則そのもので、$\mathbb{Q}(i)$ なら $p \equiv 1 \pmod 4$、$\mathbb{Q}(\sqrt{2})$ なら $p \equiv \pm 1 \pmod 8$ で分解する。三次・四次の相互法則に $\mathbb{Z}[\omega]$ や $\mathbb{Z}[i]$ が要るわけまで。