イデアルのノルム(代数的整数論)
イデアルのノルムは、イデアルの「大きさ」を測る非負整数です。元のノルムの一般化であり、類数の計算や素イデアル分解の研究に不可欠な道具となります。
定義
を数体、 をその整数環とします。非零イデアル に対し、イデアルのノルムを
で定義します。これは を で割った剰余環の元の個数です。
は -加群として有限生成であり、 はその部分加群なので、商群 は有限群になります。
元のノルムとの関係
に対し、単項イデアル のノルムは
となります。元のノルムの絶対値がイデアルのノルムと一致するのです。
例えば で とすると、 です。よって であり、 は位数 の環(体)です。
乗法性
ノルムは乗法的です。イデアル に対し、
が成り立ちます。これにより素イデアル分解とノルムの計算が結びつきます。
のとき、 なので
となります。素イデアル のノルムは の形( は剰余次数)です。
具体例
のノルム 。 の元の個数。
のノルム 。 のノルム 。
のノルム 。非単項イデアルの例。
の例で、 なので より と計算できます。
ノルムと類数
Minkowski の限界により、すべてのイデアル類はノルムが
以下の素イデアルで生成されます。この範囲の素イデアルを調べれば類群が決定できます。
| なので の素イデアルを調べる | |
| なので の素イデアルを調べる |
分数イデアルへの拡張
非零分数イデアル に対しても、ノルムを定義できます。 を となるようにとり、
とします。この定義は の取り方によりません。乗法性は分数イデアルに対しても成り立ちます。