分岐と不分岐|代数的整数論

素数の分岐は、整数環の構造を理解する上で重要な概念です。分岐するかどうかは判別式で判定でき、類体論とも深く関係しています。

分岐の定義

を数体とします。有理素数 で分岐するとは、 の素イデアル分解

において、ある e_i > 1 となることです。分岐指数がすべて のとき、 は不分岐であるといいます。

分岐

e > 1)。素イデアルの重複。

不分岐

。すべて

分岐と判別式

分岐する素数は判別式の約数に限られます。これは基本的な定理です。

で分岐する

逆に ならば は不分岐です。判別式が分岐素数を完全に特徴付けます。

例えば の判別式は なので、分岐する素数は のみです。

二次体での分岐

における素数 の振る舞いを整理します。

のとき

なら完全分解、 なら不分解、 なら分岐。

奇素数 のとき

必ず分岐。

奇素数 のとき

を法とする平方剰余なら完全分解、非平方剰余なら不分解。

平方剰余の相互法則が、二次体における素数の分解を支配しています。

完全分岐と緩分岐

分岐の程度にも種類があります。

完全分岐
緩分岐e > 1 だが
激分岐

円分体 では素数 は完全分岐し、 となります。p - 1 < p なので緩分岐です。

不分岐拡大

体の拡大 が不分岐であるとは、 のすべての素イデアルが で不分岐であることです。

不分岐拡大は類体論において特別な役割を果たします。 のヒルベルト類体は 上の最大不分岐アーベル拡大であり、その次数は の類数に等しくなります。

分岐拡大

判別式が割れる素数で素イデアルが重複

不分岐拡大

すべての素イデアルが重複なく分解

異なる素イデアルとフロベニウス

不分岐素数 に対し、 となる各素イデアル にはフロベニウス元という自己同型が付随します。これは 上のフロベニウス自己同型 を持ち上げたものです。

ガロア拡大ではフロベニウス元が分解の仕方を決定し、密度定理やアルティン相互法則につながります。