円分体と円分整数環 - 代数的整数論

円分体は の累乗根を添加して得られる数体で、フェルマーの最終定理への応用や類体論の基礎として重要な役割を果たします。

の原始 乗根

の原始 乗根とします。 の根ですが、より精密には円分多項式 の根です。

円分多項式は次で定義されます。

は次数 (オイラー関数)の既約多項式であり、整数係数を持ちます。

円分体の定義

次円分体 を添加して得られる体です。

次数
ガロア群

ガロア群は )で与えられる自己同型からなります。

円分整数環

円分体の整数環は非常にきれいな形をしています。

つまり を添加するだけで整数環全体が得られます。これは二次体の場合と異なり、追加の元を考える必要がありません。

証明には判別式の計算や 進的な議論が必要ですが、結果は単純です。

具体例

は虚二次体。

はガウス整数の商体。

。次数 の体。

(奇素数)

。次数 の体。

素数のべきの場合

は素数、)のとき、円分多項式は

となり、次数は です。

判別式と分岐

乗円分体 の判別式は です。よって分岐する素数は のみです。

より一般に、 で分岐する素数は の素因数に限られます。これは円分体の持つ対称性の反映です。

円分体の分岐

の素因数のみが分岐

一般の数体

判別式の素因数が分岐

円分体はガロア群がアーベル群(巡回群の直積)であり、類体論においてアーベル拡大の基本的な例となります。