イデアル類群と類数 - 代数的整数論
イデアル類群は整数環が「どれだけ PID から離れているか」を測る群であり、その位数である類数は代数的整数論の中心的な不変量です。
類群の定義
を数体、 をその整数環とします。非零分数イデアル全体 は積について群をなします。その中で単項分数イデアル全体 は部分群です。
商群
をイデアル類群(または単に類群)と呼びます。2つのイデアル が同じ類に属することと、ある が存在して となることは同値です。
類数の定義
類群 の位数を類数と呼び、 と書きます。
類数は有限であることが知られています(デデキント整域の基本定理)。
すべてのイデアルが単項。 は PID(単項イデアル整域)。
単項でないイデアルが存在。素因数分解の一意性は元のレベルでは成り立たない。
類数 の意味
は がPID であることと同値です。この場合、元の素因数分解の一意性が成り立ちます。
PID でなくても、デデキント整域ではイデアルの素イデアル分解は常に一意です。類数は「元の分解とイデアルの分解のずれ」を測っています。
虚二次体の類数
虚二次体 (d < 0)の類数 となる は有限個しかありません。
の9個のみ。
()と ()は PID。
これは19世紀から知られていた予想で、1967年にスターク、ヒーグナーらにより証明されました。
実二次体の類数
実二次体 (d > 0)では状況が異なります。類数 となる は無限に存在すると予想されていますが、証明されていません。
小さい での例:
| 類数 | |
| 類数 | |
| 類数 |
類数の計算
具体的な類数の計算には Minkowski の限界が役立ちます。ノルムが 以下の素イデアルがすべての類を生成するため、これらの素イデアルの関係を調べれば類群が決定できます。
例えば では なので、 の素イデアルを調べます。 より、 は非単項で が単項です。よって類群は位数 の巡回群であり、 です。
類体論との関係
類群はガロア理論的にも重要な意味を持ちます。 のヒルベルト類体 は 上の最大不分岐アーベル拡大であり、 が成り立ちます。