tanθ と tanθ1 は、掛けると必ず 1 になります。積が最初から決まっている 2 つの数。
だから和さえ分かれば、2 乗の和も 3 乗の和も出せます。和と積で書き直すやり方が、積を 1 に固定した形でそのまま使える。
さらに和のほうは sinθcosθ1 に等しくなる。正弦と余弦の話へつながっていきます。
逆数は余角の正接
tanθ1 は余接と呼ばれ、cotθ と書かれます[1]。
この値は tan(90∘−θ) に等しい[2]。つまり θ の余角の正接。
canvas: 式は呼び出しにそのまま書いてください。この引数は焼けません -> drawMath(… upper …)
θ を 90∘−θ にとり替えると、tanθ と tanθ1 が入れかわる。
この入れかえで形が変わらない式が対称式、符号だけが変わる式が交代式です[3]。
和は正弦と余弦の積の逆数
u=tanθ+tanθ1 を通分する。
u=cosθsinθ+sinθcosθ=sinθcosθsin2θ+cos2θ
分子が 1 になるので、次の形に落ちます[4]。
u=sinθcosθ1
sinθcosθ を p と書けば u=p1。正弦と余弦の積が分かれば、正接の和もすぐ出る。
例:30 度で確かめる
tan30∘=31≒0.5774、tan30∘1=3≒1.7321 です。
足すと 2.3094 になる。sin30∘cos30∘=0.5×0.8660=0.4330 で、その逆数が 2.3094。
値が一致しました。60∘ で計算しても u は同じ 2.3094 になります。
差は交代式になる
v=tanθ−tanθ1 も同じように通分する。
v=sinθcosθsin2θ−cos2θ
分子が引き算になった。θ を 90∘−θ に替えると sin と cos が入れかわるので、v は符号だけを変える。
45∘ では tanθ と tanθ1 がどちらも 1 なので、v=0 になります。
2 乗の差はいつも 4
積が 1 に固定されているので、和と差の 2 乗の差も動かない。
u2−v2=(u+v)(u−v)=2tanθ×tanθ2=4
角がどこにあっても u2−v2=4 です。u が分かれば v の 2 乗もすぐ出る。
和と差の関係が 角によらず固定される のは、積が 1 という特別な値だからです。
正弦と余弦のときは積が p と動くので、こうはならない。
例:30 度で 2 乗の差を見る
u=2.3094、v=0.5774−1.7321=−1.1547。
u2−v2=5.3333−1.3333=4.0000
60∘ では v=+1.1547 に変わりますが、2 乗すると同じ値。差は 4 のままになります。
2 乗の和と 3 乗の和
積が 1 なので、対称式の書き直しがとても短くなります。
tan2θ+tan2θ1=u2−2,tan3θ+tan3θ1=u3−3u
和を u、積を 1 として対称式の一般形に当てはめた結果になっている。
例:30 度で 2 乗と 3 乗の和
tan230∘=31、tan230∘1=3 なので、和は 310≒3.3333。
u2−2=5.3333−2=3.3333 になり、一致する。
3 乗の和は u3−3u=12.3168−6.9282=5.3886。直接計算しても 0.1925+5.1962=5.3887 で合います。
鋭角では和が 2 を下回らない
tanθ>0 のとき、u=tanθ+tanθ1 は 2 以上になる。
理由は 2 乗の形にあります。(t−t1)2≧0 を展開すると t+t1≧2 が出る。
等号が成り立つのは t=1、つまり θ=45∘ のとき。
鈍角では tanθ が負なので、u は −2 以下になります。−2 から 2 のあいだの値はとれない。
tanθ+tanθ1=4 のとき、sinθcosθ の値はどれですか。
__RESULT__
和は sinθcosθ1 に等しいので、sinθcosθ=41 です。21 は sinθcosθ がとれる最大の値で、θ=45∘ のときの値になります。
例:正弦と余弦の条件から出す
sinθ+cosθ=21 という条件から始めます。ここから p=−83 が出る。
u=p1=−38≒−2.667
u が −2 以下なので、θ が鈍角だと確かめられます。
v の 2 乗は u2−4=964−4=928 になる。∣v∣=327≒1.764 です。
u=tanθ+tanθ1 とするとき、tan2θ+tan2θ1 を u で表したものはどれですか。
__RESULT__
u2 を展開すると tan2θ+2+tan2θ1 になります。真ん中の 2 は積が 1 だから出てくる項で、これを引けば答えです。
tanθ と tanθ1 の組は、積が 1 に固定された対称式の教材そのものになっています。和 u を 1 つ手に入れれば、あとの式は u の多項式で書ける。
参考文献
Eric W. Weisstein. *Cotangent*. MathWorld, Wolfram Research. Right Triangle Trigonometry. Algebra and Trigonometry 2e, OpenStax. Eric W. Weisstein. *Symmetric Polynomial*. MathWorld, Wolfram Research. Steven Butler. Notes from Trigonometry. Section 5.4, The Pythagorean identities.
tanθ と 1/tanθ は積が最初から 1 に決まっているので、和 u を 1 つ手に入れれば 2 乗の和も 3 乗の和も u の多項式で書けます。しかも u は sinθcosθ の逆数に等しい。1/tanθ は 90 度マイナス θ の正接なので、θ を余角にとり替えると 2 つが入れかわります。この入れかえで形が変わらないのが対称式、符号だけ変わるのが交代式です。和と差の 2 乗の差はいつも 4 になる。鋭角では和が 2 を下回らず、等号は 45 度でとります。鈍角では逆に -2 以下になる。
和は sinθcosθ1 に等しいので、sinθcosθ=41 です。21 は sinθcosθ がとれる最大の値で、θ=45∘ のときの値になります。